2月句会 結果 ◎特選 ○ 並選 △ 佳作 参加者23人 一人4句
○出初式海に七色噴水す 添削 放水に虹でてをりぬ出初式
○謡初め師病癒え朗々と 〃 病癒え師の朗々と謡初め
○長距離のバスこぼしゆく雪しずく
○浅き川歪に映る寒の月 〃寒月の歪に映る浅き川
○初ダイバー海中神社に手を合わす 〃海神に手を合わしをり初ダイバー
○書初めの墨痕美しき十枚目 〃書初めの一枚ごとに墨をすり
美しいはつかわないほうがよい
△氷る道一歩のあゆみ選びつつ 〃氷る道一歩一歩を気遣って
説明にならないように
◎舌きり雀伝へるお宿春障子 〃舌きり雀伝へたる宿春障子
お地蔵、お宮、などに「お」をつけない
△幼な日の娘の手袋はすてられず 〃幼なき日の娘の手袋をすてられず
幼な日をきちんと言う
△雪雪雪やり場無き雪空見つむ 〃やり場無き雪空見つむ越の国
○さらさらと枝のこぼるる今朝の雪 〃さらさらと枝をこぼるる今朝の雪
△外国船上大寒の誕生日 〃外国船の上大寒の誕生日
○高層を写す大川冬鴎 〃高層ビル写す大川冬鴎
○大試験始まる前のしじまかな
○寒晴や富士見櫓の葵紋
△松とれて笛の音久し豆腐売り
説明になっている
△寒厳しほうとうの味濃くしたり 〃大寒のほうとうの味濃くしたり
△風花の頬にあたりてしゅんと消ゆ 〃風花の頬にあたりて消えにけり
しゅんとが説明
○親御前(おやごぜ)の児に曳かれるどんど焼き なかなかの良い句
おやごぜ 他人の親を尊敬する言葉
△寝(い)ねがての枕の下をラッセル車
ひやくがありすぎ
△大寒の手抜き料理を夕餉とし 〃大寒の手にきをしたる夕餉とす
○実南天葵・義仲ゆかりの湯
○しづり雪神楽太鼓の高鳴りて 〃天神の太鼓なりをりしづり雪
△はぐれしか声を限りの寒鴉 〃寒々と声を限りの大鴉
擬人法でよくない
△初社絵馬に書き足す願ひこと 〃初詣絵馬に書き足す願ひこと
願ひことを絵馬に書き足す初社
△樹氷背に煙ゆうゆうログハウス
擬人法で×
○子供等がほほ赤く染め寒稽古 〃ほほ赤く染める子供等の寒稽古
○麦の芽や笛を吹きつつ下校の子 このままでもよい
「や」があるので 〃麦の芽や下校の子等が笛吹いて
△明日朝の掃除気になり豆を撒く
やや理屈になっている
○人日や足元に猫ついて来る
△荒星や先住民の時代より 〃寒星(いてぼし)や先住民の遺跡にて
説明になっている
△枝渡る笹子捉へし静寂かな 〃枝渡る笹子捉へし眼かな
○選り抜きの寒の卵の濃かりけり
△ろう梅の花弁を透かす蒼き空 〃ろう梅の花弁を透かし見つめけり
○熱燗に明治を語る祖父は亡く 〃熱燗や明治を語る祖父は亡く
○春待つや旅のちらしを裏表 〃春隣裏表見る旅のちらし
○積雪に朝刊入れの足の跡 〃積雪や朝刊入れし足の跡
△窶れ(やつれ)野に日の当たりをり冬菜畑 〃冬ざれの野に日の当たる菜の畑
擬人法で×
△寄せ鍋を三世代にて囲みをリ 〃寄せ鍋を囲んでいたり三世代
「にて」が説明的
△雨戸洩るる朝の光や雪霽(はれ)て 〃雪晴れや雨戸より洩れ陽の光
○見晴るかすグランドキャニオン冬三日月
△日脚伸び隣町まで小買物 〃日脚伸ぶ隣町まで買物に
小買物は×
△立春や未だ未だ寒さ続くらし
季重なり。直しようなし
◎さきがけて蝋梅咲けり画家の庭
◎凍滝の芯に犇く(ひしめく)水の音
△冬蝶や沓脱ぎ石のベビー靴 〃冬蝶や沓脱ぎ石にきていたり
○家路へと促すチャイム日脚伸ぶ
飛ばし 時間切れで
△牡蠣食へば爆死のうめき遠く聴く
飛ばし
△妙義山個性の山肌春を待つ 〃山肌の春を待ちをリ妙義山
説明的
○裸木の空ひろがりぬ並木道
飛ばし
△月白く足に応ふる霜柱
「応ふる」いらない
○名に惹かれ花かんざしの蕾買ふ
飛ばし
◎拾ひたる薄氷透かし見る子供
△雪の庭雨戸繰ること惜しみをり 〃ゆっくりと雨戸繰りをり雪の庭
「惜しみをり」?
△冬落暉山の端珊瑚色に染む 〃冬落暉珊瑚色なる山の端
同じ意味のことばを重ねない
△朝早し寒禽騒ぐ大師道 〃大師への道寒禽の騒ぎをり
朝早し × 大師道とかってに名をつけない
○鷽替(うそかえ)に並びてめぐる心字池
○猫柳うぶ毛にやさし光あり 〃猫柳うぶ毛の光やさしかり
△不夜城のラスベガスにも寒の月 〃寒月を見つめていたりラスベガス
「不夜城」が説明的
○宿坊の炬燵置かるる四人部屋
○読み止しの頁飛ばしぬ春一番
○寡黙なる爺(じじい)に婆(ばばあ)雪卸す 〃寡黙なる爺婆(じじばば)雪を卸しをり
俳句では「じじい」「ばばあ」と言わない
△初場所の優勝を決め栃東 〃初場所の優勝したり栃東
△千社札禁ずる山門雪積める 〃千社札禁ずるさんもん雪降り積む
○薄氷の(うすらいの)池渡りゆく太鼓橋
飛ばし
○将軍塚枝に残れる枯紅葉
飛ばし
○立春大吉引越し荷物の三輪車
飛ばし
○初場所や力士の癖を楽しめり 〃初場所や力士の癖を楽みて
切れ字なので
○校庭に一つ大きな雪だるま
飛ばし
△腕白坊氷る残雪踏み歩く 〃腕白坊主氷る残雪踏み歩く
△綿入着米寿友より手作りを
飛ばし
△豆を打つ柱に子鬼の影はなく 〃豆を撒く家に子供の影はなく
△雪止みて庭木の支柱立て直す 〃雪の庭木々の支柱立て直す
○憚りを借りし農園春の泥
飛ばし
○助け合いひねもす除雪北の国 〃助け合いひねもす除雪していたり
△金柑の艶やかなるを選りて?ぐ(もぐ) 〃艶やかなる金柑の実を選りてをり
△薮こぎて編目のびたる毛糸帽
飛ばし
△鳰(にお)潜く(かずく)雨の古利根暮れてをり
◎卵塔の碑文探るや笹子なく
○水煙や雪の霽れ(はれ)たる空の青
飛ばし
△鴨の背の色際立ちてぬるむ池 〃鴨の背の色際立ちて心字池
「水ぬるむ」季語あり 季重なり
△長距離で入学式の日の知らせ 〃長距離電話入学式の日を知らせ
○雪礫追うては犬の跳ね上がる
飛ばし
○東京湾のはるかに富士山(ふじ)や寒夕焼
飛ばし
○探梅や雁坂みちの信玄廟
飛ばし
○蝋梅の雪被(かず)きをり六義園
飛ばし
△春泥の庭より入りてともを訪ふ 〃春泥の庭より入りぬ友の家
○栴檀の実晴天に散らばりて
○雪掻きの路地の人々うからめく
飛ばし
○風邪抜けず動かぬ日々を過ごしをリ
○庭の木に小鳥巣作る気配かな