嶽南亭主人 ディベート心得帳

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【解釈に係る雑感1- 3】 質問1の検討

2009-06-10 23:30:44 | ディベート
まず、質問1を再掲しておこう。

●問い(1)~「中略あり」バージョンの場合

以下の引用文を読まれたい。

1)グローバリゼーションが拡大・深化するなかで、人口減少や急速な少子・高齢化社会を迎える日本は、健全な経済社会を構築し、次世代に引き継ぐことが不可避の課題となっている。
2)(中略)
3)特に、グローバリゼーションがもたらす多様かつ複雑な国内外の課題に対して、的確かつ迅速な対応を可能とする政府の改革に早急に取り組むべきである。

質問1: 上記、問い(1)の文章において、「政府の改革」は何を意味するのか。また、そのように考えられる理由は何か。

***

【検討】

1)の文については、特にいうべきことはない。「日本は、健全な経済社会を構築し、次世代に継承することが課題だ」というだけである。

3)の文について。

・2)の部分に中略があるため、「特に」という語句が、浮いて見える。1)の文の「不可避の課題」に係るかもしれないし、2)の中略文のどこかに係るかもしれない。

・ただ、いずれにせよ、「国内外の課題に対して、的確かつ迅速な対応を可能とする」ような『政府の改革』とは、課題に対応する主体たる「政府」に関する「改革」を推進すべきだ、と資料は主張しているように読める。

・で、問題となるのが、資料上の「政府」が何を意味するかである。しかし、この時点では、「政府」の定義が与えられているわけではないので、読み手が自らの論理に従って解釈するしかない。

・通常、「政府」は、狭義の解釈である「行政府」、もしくは広義の解釈である「行政の他、立法・司法を含む統治機構」という、2つの意味にとれる。いずれの意味をあてはめても、それなりに論理は通る。ということは、どちらの解釈も合理的に成立していると言ってよい。

【質問1に係る個人的見解、及びその後の展開】

個人的な印象としては、【理由】国内外の課題に対して、立法府の仕事である法制度の導入・変更ぬきに「行政府だけ」が対応するというのはちょっと考えにくいし、我が国は議院内閣制をしいており、政治・行政が一体化しているところに特徴があるという点をも勘案すると、【結論】ここは後者、すなわち「統治機構」を指すものとして、「政府」という語句を解釈した方が良いのではないか、と、この時点では思われた。

ここで、否定側の指摘により、(中略)部分の内容が明らかにされた。

かくして論争が始まった。

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