靖国神社へ行く

2019年01月15日 08時36分51秒 | 創作欄

「私のおじいさんは、戦死しているの。1度、靖国神社に行ってみたい。どこにあるの?」
「近くにあるよ」
「それなら、行ってみたい」
昼休みに靖国神社へ行く。
右翼の街宣車が3台停車していた。
「あの人たちは何なの」由紀は立ちどまる。
迷彩服の若者が日の丸の鉢巻きをしている。
「戦前の亡霊のようなもの」と徹は皮肉を込める。
「亡霊?」由紀は怪訝な顔をした。
「大きいわね」大きな鳥居(第一鳥居)を見上げる。
ついで、大村益次郎の銅像を見上げる。
「誰なの」
徹は詳しくないので、「明治維新の人だね」と曖昧に答えた。
神門の金の菊の紋を見て「おごそかね」と由紀は目を留めた。
軍服姿の老人たちの姿に由紀が注目した。
「写真で見た。私のおじいさんみたいね」
「あれも、亡霊かもね」と徹は笑う。
紋付の和服姿の高齢の女性も居た。
「人が多いのね」とキョロキョロする。
右手方向の能楽堂に興味を示した。
拝殿で由紀は手を合わせた。
それから朱印所でお守りを買う。
徹には無縁のものだ。
神池庭園へ行く。
「この雰囲気、いいわね」由紀は笑顔を見せる。
帰り道は南門を出て靖国通りを九段下へ向かう。
「明日、ドライブで熱海に行くの」と由紀が言う。
徹には関係ないことだと思っていた。
「徹さんは、車持っているの」
「持っていない」
「そうなの。私は姉の車に時々乗っている。明日誰とドライブ行くと思う?」由紀がニヤリとした。

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