とねり日記

とりことや舎人(とねり)の
どげんかせんとの日々

アニキが大根背負って

2016年11月07日 | 山里から
今期初のイノシシ解体。
猟期は11月15日からなのに…
密猟?
いえいえ、隣の福井県でも狩猟者登録をし猟をしている師匠のイマやんからいただきました。


福井県は積雪の関係で解禁日が京都府より15日早い11月1日。
猟期は各都道府県で独自に定めている。狩猟免許を持っていれば全国どこでも猟はできるはずなのだが、実際には各都道府県ごとに決まりがあり、それぞれに登録料を払って狩猟者登録をしなければ猟はできない。

11月4日の昼ごろ「こんまいイノシシが掛かったんやけど、いらんけ?」と電話がかかってきた。
小さいイノシシは脂が少ないのでよい値で売れない。
去年までは小さいのは逃がしていたのだが、またやってきて罠にかかる。そうすると結局大物が獲れない。だから今年からは小さいのも止め刺しして持って帰ることにしたのだという。

わが舎ではイノシシをボタンではなく、カツやステーキなど、赤身肉を主体にして料理するので、柔らかくクセのない子イノシシは歓迎だ。
それに今回の子イノシシは小さいながら脂もそこそこ乗っている。

ありがたく頂戴してきて、肉を冷やすために近くの川に浸けた。
夕方、川から上げ、小屋に吊す。
翌5日、ランチのお客さんが帰られた後、お泊まりのお客さんがチェックインしてくるまでの間に、急ぎ解体にかかる。

丁寧にさばき丁寧に肉を取った。
背骨と大腿骨は寸胴で煮てダシを取った。「このスープで大根を炊いたらメチャ美味いで」と、肉捌きの名人で、私のもう一人の師匠のシカタはんに教えてもらっていた。それで舎長と「明日はどこかで大根を調達しよう」と話しながら、その晩は寝床に就いた。

そして、その翌6日朝、なんと、ヒトシ兄貴が「大根いらんけ?」と言って、畑で引っこ抜いたばかりの大根と小松菜とネギとチンゲンサイを持ってきたのだ。


思わず舎長と顔を見合わせましたよ。
「鴨がネギしょって」じゃないけれど、ヒトっちゃんが大根背負ってやってきたぁ~。

午後から炭山で炭切りと炭詰め作業をして、美山の「おもしろ農民俱楽部」からの注文分の100キロを箱詰めしたあと、大阪・枚方から炭切りに来てくれたノグさんも交え、試食会。
イノシシのダシで炊いた大根と頬肉、そして、イノシシのダシに塩と胡椒とネギと少しの醤油を加えただけのスープ。


ノグさん「メチャうまいっす!」
頬肉は口の中で溶けるように崩れてゆく。

前脚の肩の肉は炭火で焼いた。


これもメチャうまいっす!

自分たちで焼いた炭、頂戴したイノシシと野菜、教えてもらった解体法や調理法…。
舎長が「贈与経済」とつぶやいた。
ハハハ…、確かにそうだ。

マチで暮らしていたとき、モノやサービスはほぼすべてお金で手に入れていた。お金がなかったら惨めだった。
でも与え与えられる経済のなかでは、かなりの贅沢がお金なしで実現できる。
もちろんお金も必要だけどね…
コメント
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