電車

学生時代に戻っているらしい。
電車に乗っていて、駅で降りたのだが、
ふと、昨夜、かばんに今日の時間割の教科書を
入れていなかったことに、気が付いてしまう。
これから家まで戻ったら、遅刻してしまう。
ふと、その駅から行ける別の路線の近くの駅に、
知人のＳさんが住んでいることに気が付き、
Ｓさんはいつもぎりぎりにやってくるので、
まだ家にいるだろうから、訪問して
教科書を借りようと思い立つ。
（Ｓさんは実際は学生時代の友人でもないし、
年下なのに同級生という設定になっているらしい。）
Ｓさんの家に着くと、やはりＳさんはまだいて、
私に快く教科書を貸してくれて、一緒に駅まで行くことに。
自分の切符を買うので、教科書のお礼代わりに、
Ｓさんの切符も窓口で購入すると、
切符に木彫りの動物の根付が付いている。
その電車会社の何十周年かの記念で配布しているらしい。
Ｓさんに渡した方は、フクロウのような鳥で、
私のはイノシシで、何かの由来や意味があって、
それを書いた紙が付いているようなのだが、
遅刻するといけないとＳさんが慌てているので、
ゆっくり読むことが出来なくて、
大急ぎの彼女に付いて行き、混んだ電車に乗り込んだ。
「いつもこんなに混んでいるの？」と
Ｓさんに聞くと、「そう。」と答えるので、
時間が違うせいか、路線が違うせいか、
自分はいつも空いた電車に乗っていて
楽をしているのだなと思っていた。