はぐれけんきゅういん♀リターンズ

マニアックな研究(?)に明け暮れる毎日……

え、知らないの?「コシヒカリBL」

2006年05月15日 | はぐれ♀は見た! 農村の実態
有名なブログ、finalventさんの「極東ブログ」で、コシヒカリBLの話が出ていました。

でもね、地元新潟じゃ、去年の騒動でしたのよん。

まんま引用します(孫引き失礼)

***

新潟コシヒカリ、品種変更したのに表示そのまま
2006年05月15日06時11分(asahi.com)

 「米の王者」新潟コシヒカリにちょっとした「銘柄騒動」が起きている。昨年産米から、新潟県とJAが産地偽装の防止などを目的に県内のコシヒカリを一斉に新品種に切り替えたが、品種変更を知らない消費者から「味が違う」との声が出始めたからだ。品種の切り替えには、消費者の試食も重ね、農水省から同じブランド名で売るお墨付きも得ているが、一部の農家や業者の中には、消費者の声を意識して従来品種を流通させる動きも出ている。


***

ここ(asahi.com)にも極東ブログにも書かれていない、非常に重大なコトがあります。

コシヒカリが新品種に切り替わっただけじゃなく、農家は新品種でなければ『新潟県産コシヒカリ』として実質JAに引き取ってもらえなくなったのです。
地元農家はコメのウマイマズイを良く知っています。うちの近所では、美味しい米を栽培し美味しいご飯を出す家があれば、「○○さんとこの飯にはかなわない。何が違うんだろうね? 」と正直に言ってます。水が違うとか、育て方だとか、炊飯の方法、炊くときの水だとか、色々言い合ってます。

そんな農家の誰が、自ら「若干まずいコシヒカリ」を率先して植えるでしょうか?

正直、いもち病って病気はコワイです。
それの耐性があるのが「コシヒカリBL」なのです。農家にはまずそこを説明しています。

正直、コシヒカリBLは若干まづいです(諸説ありますが「あんま美味くない」という噂は聞いてました)。
で、県はナニをしたかと言うと、実質、
「コシヒカリBLでなければ『新潟県産コシヒカリ』という名称では売れない。」
ようにしたのです。現場では、コシヒカリBLでなければ地元JAは新潟県産コシヒカリとして引き取らない模様です。(ひでー! )
ニュースには、
「JAは従来品種の種もみの販売をやめ、収穫の買い上げ価格もBLを従来品種より60キロ当たり200円高くした。」
云々と書かれています。こんな書き方では、200円安ければ従来のコシヒカリも買い取っている風に読めますが、もしそうならそっちの方が初耳です。ふーん。どっちにせよ、従来のコシヒカリの種もみ販売を止めた時点で、一般農家はコシヒカリBLしか選択肢がないんですが。ちなみに県は「県内のコシヒカリの作付面積は98%がBLに変わった」って胸を張ってるようですが、選択肢ないんだから当たり前。

真面目で研究熱心な農家の多くが、一昨年頃から「コシヒカリBL試験栽培中」の登り旗を立てて、試験栽培をやってました。(新潟県民らしい、人が良くて愚……おっとと)

ワタシはこれを知り、登り旗を見ながら、
「元のコシヒカリの種子を保存しておいた方がイイなこりゃ。」
と思ってました(ニヤリ)。

元々コシヒカリは栽培しやすい品種ではありません。いもち病もさることながら、台風には倒れやすい。でもなぜ農家が栽培するかといえば、ひとえに食味(&お値段)です。その唯一の強みである食味が劣る「コシヒカリ」って……、本末転倒です。
一般の消費者が、この新潟県・JAぐるみの「ごまかしの壁」を越えてコメの味の違いを分かってくれたのなら尚心強いです。むふ♪

幸い、親戚とこの家がやっている稲作(兼業農家)は、種もみから播いて育てているので、説得すれば1枚くらいBLじゃない方のコシヒカリで作ってくれるかも。ひょっとすると既にBLじゃない方のコシヒカリ作ってるのかも。
(今回はカラダの事情で田植えに参加できなかったので情報収集できんかった……)

※茶色部分は5/18訂正:訂正前は「コシヒカリBL」でなければ「コシヒカリ」という銘柄で売れない。こちら「銘柄」の使い方が間違っとりました。

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11 コメント

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Unknown (Bar)
2006-05-20 20:52:25
正直、10キロ1,500円の米しか食べてないので、どうでもいいや…と言ったらかわいそうかしらん。
いいんじゃないすか? (きのこ)
2006-05-20 21:13:53
職業農家じゃなきゃ近所でも他人事ですし、それでいいんじゃないですか。
Unknown (ま~)
2007-10-13 14:04:08
ウチで採れた米を消費者に提供していますが、BLに変わったとたん、苦情が来ました。
2006年秋の話です。
「新米なのに新米の味がしないし、炊くときの水の量が今までのもの(前年の米)と同じくらいいる」って。
このまま行くと新潟のコシヒカリは、他県のコシヒカリより不味いということになるでしょう。
名誉回復までの時間は、ずいぶんかかるでしょうね。。。
ちなみにウチのコシヒカリは、今年から従来のものに戻しました。
はじめまして (きのこ(torajya3291))
2007-10-16 08:34:21
ま~様、
お返事遅れてすみません。

コメント本当にありがとうございます。古いエントリですが掘り起こして頂き、大変嬉しく思います。
私の家でもコシヒカリBLを栽培しているので分かりますが、BLは新米にしては炊き上がりに若干パサパサ感があるため、炊く時に足す水を多めにしています。(てっきり我が家の栽培方法がヘタなせいかと・・・)

ですがBLも、事前に食べ比べなどの調査を行った時点ではそれほど不評では無かったようなのです。そのため、不味い旨いで議論すると異論が出てきます。
しかし、報道などによると、現場(特に小売・消費者サイド)では「違う」という声があがっています。

私個人の意見ですが、
消費者が何を望んでいるかを考えれば、いもち病のリスクを品種の耐性で克服するよりも、食味に変わりのない従来型のコシヒカリを上手に栽培する方が正解だと思います。
ま~様のように、従来のコシヒカリを独自に生産販売できるルートをお持ちでしたら、おそらく将来「勝ち組み」と言われるんだろうな、と思います。ちょっとうらやましい・・・
呼称について (かとう)
2008-01-30 09:34:56
我が国の伝統食文化である”米”の銘柄にまで外国語がくっ付いて来るのは、どうも解せないですね。
日本独自のものが外国語に置き換えられて語られている現状に、日本の精神文化がどんどん蝕まれていく感じがしています。新しく開発された技術であっても、是非国語(日本語)で表記して貰いたいと念願しています。
ちなみに、私もBarさん並の食生活ですが、コシヒカリは年に数度、人様にお呼ばれした時のご馳走です。
確かに違和感ありますね (きのこ(torajya3291))
2008-02-14 16:09:24
かとう様、
コメント有難うございます。公開が遅れ、大変申し訳ありません。ネットに繋ぐ時間が限られており、チェックが長い間出来ないでおりました。すみませんでした。

確かに、漢字とアルファベット略号の組み合わせは違和感がありますね。(と、ここまで書いてピップエレキバンのCM「幸子EX」を連想しました。)
結局、この呼称は店頭で「コシヒカリ」として販売するためにあえてこうしたように思えてなりません。これで日本的な別の呼び名なら、そちらを店頭で表記するでしょうから。

ローカルなニュースですが、新潟県知事が、BLを従来の「コシヒカリ」の名称のまま流通させたことを、なんと「消費者への情報隠しだ。」と批判し、ちょっとした騒動になっています。

正直、私には県知事の言ってることの方が、すごくまともに聞こえますが、メディアは「農業県のトップセールスマンとして今後の対応が厳しく問われる」と、批判的です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080122-00000015-san-l15

行政的にはそうでしょうね。しかし、新潟県が、遺伝的に異なるものを同じ「コシヒカリ」として売り、それが一部消費者の側から「味が違う。」と返されたのは事実です。
そんな商売続けてちゃいけない、そっちのほうこそ新潟県の信頼度が下がっちゃう行為だと私は思っています。

批判的記事と言っても上記の記事にはこんなことも書かれています。

「また、低農薬の環境保全米としてPRするとしても、都内の販売業者は「今は低農薬は当たり前の時代。販売促進にはつながりにくい」と、費用対効果に懐疑的だ。」
この一文は手痛い。

これらの諸問題の解決方法はたった一つ、「新潟県でも従来のコシヒカリをつくっておk」(選択できる)ってことで解決できると思えるのですが、なぜそうしないのかなぁ……。とここまで書いて農業行政のドロドロしたものをなんとなく感じる今日この頃です。



Unknown (こしいぶき)
2008-03-31 23:01:27
新潟県知事の発言は、新潟県主導で品種改良してきたのにもかかわらず、在任前だからということで発言したことは、叩かれるべきだと思います。
ウチもBL米ですが、香りや味は変わらないですよ。肥料をやるタイミングで味は大きく変わります。
それにBLは戻し交配によって99%以上従来コシヒカリと同じですし。
従来コシヒカリの流通量はほんの一部ですから、付加価値として従来コシを作っている農家もいるのではないでしょうか?
批判が出るということは、同じコシヒカリでも他県産より少し高いので、何とかして安く買い叩きたいのでしょうか?
BLに変わったことによって遺伝子検査による他県コシとの区別が容易になったことは良い事だと思います。
ご存知のとおりBLは遺伝子組み換え作物ではありませんよ。
長文すいません。
Unknown (きのこ(torajya3291))
2008-04-02 11:35:42
こしいぶきさんはじめまして。
まずはご意見有難うございます。

お返事させて頂きます。ちょっときつい言い方に聞こえるかもしれませんが、そんなつもりはありません。反論等ありましたらまたお返事ください。

> ウチもBL米ですが、香りや味は変わらないですよ。

食味云々については、以降私が書いてきたエントリのとおり、主観が入るので平行線を辿ってしまいます。間違いないのは「遺伝的に異なる」ということです。そして、こしいぶきさんではなく、買ってくださる方から「味が違う。」という声があがったと言うことです。

> 肥料をやるタイミングで味は大きく変わります。
> それにBLは戻し交配によって99%以上従来コシヒカリと同じですし。

大変残念ですが、この2行でこしいぶきさんのご意見は論理的に破綻しています。
同じコシヒカリを栽培してきた農家が従来の施肥のタイミングで、食味の異なるコシヒカリBLになってしまった、というならば、肥料をやるタイミングが従来のコシヒカリと違う、ということになります。それは、遺伝的に異なる、といっているのと同じです。
もうひとつ、99%以上従来コシと同じ遺伝情報であったとしても、いもち病抵抗遺伝子と連鎖している遺伝子は、従来コシとは異なっていると推測されます。
それは1%未満でも食味に関与する可能性があります。
個人的には、私もその1%未満の遺伝情報が「食味に関与する可能性はないかな。」と思っていましたが、何も知らず従来コシと思って購入した消費者から「味が違う。」とクレームがつき、騒ぎになったのです。(当初は、販売店が違う米を混ぜたのでは、と疑ったそうです。)

> 従来コシヒカリの流通量はほんの一部ですから、付加価値として従来コシを作っている農家もいるのではないでしょうか?

現に、ここの関連エントリにコメントを書き込んでおられる方にいます。しかし、一般農家は従来コシの種籾を事実上入手できなくなりました。そこまでして作っても直売以外に売ることも出来ませんよね。コメントされた方は、既に販売ルートを確立されている方でした。
半ば強制的にBLにシフトした方針は、私には生産者をバカにしているようにも見えました。

> 批判が出るということは、同じコシヒカリでも他県産より少し高いので、何とかして安く買い叩きたいのでしょうか?

おそらくその推測は間違っています。新潟県産コシヒカリの味が「変わった。」と判断した飲食店(高級日本料理店)の経営者は、他県産コシヒカリにシフトしたそうです。
あまり関係ありませんが、平成14年度で最も落札価格の高かったコシヒカリは富山県産です。BL以前から、新潟県だから高い、というものでも無くなっていたようです。

> BLに変わったことによって遺伝子検査による他県コシとの区別が容易になったことは良い事だと思います。
そうですね。私もそう思います。

> ご存知のとおりBLは遺伝子組み換え作物ではありませんよ。

存じ上げております。が名前が紛らわしく、アヤシイ響きですね。この点は知事の言っていることと同じですが。

蛇足ですが、冒頭
>新潟県知事の発言は、新潟県主導で品種改良してきたのにもかかわらず、在任前だからということで発言したことは、叩かれるべきだと思います。

県であれ国であれ、間違っていると気づいたら路線変更すれば良いだけではないでしょうか。知事と言う立場上、と考えられたのでしたらかなり公務員的な発想に思えます。


私も長文なので、気にしなくて良いですよ♪
Unknown (きのこ(torajya3291))
2008-04-15 20:17:47
超亀ですが、補足をしておきます。

いもち病抵抗性遺伝子と連鎖しているのが直接「食味」を司る遺伝子でなくても食味が変わる可能性があります。そこまで広げて考えれば、99%以上遺伝情報が同じなのに食味が違ってもありえない事ではないのです。

具体例を挙げると……
こしいぶきさんの言われた「肥料をやるタイミング。」つまり、施肥と成長に影響する因子が、いもち病抵抗性遺伝子と連鎖している場合です。
もしそうではあれば、仰る様に食味に影響しますね。

さらに、もし食味の違いが上記のようなシンプルな原因ならば、解決は容易ですね。BL栽培時の施肥のタイミングを指導すればおいしいコシヒカリが栽培可能、となります。
Unknown (にゅん)
2012-05-11 00:49:47
新潟は全国でコシヒカリが一番おいしく作れる県である(地理的、環境的に)のに、わざわざコシヒカリBLにしようとする県やJAも分かりませんが、農家側ももとの品種がいいと主張するだけでなく努力をすべきではないんでしょうか?まあ零細農地のひがみですが・・・
あと長年かけて品種改良を行った研究者の苦労も考えてほしいと思うのは育種遺伝学の研究者としてまだまだひよっこだからでしょうか

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