366日ショートショートの旅

毎日の記念日ショートショート集です。

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わたしを選んだ理由

2012年11月24日 | 366日ショートショート

11月24日『進化の日』のショートショート



わたしのフィアンセ、とってもステキなんです。
なかなかのイケメンだし、スタイルだって悪くない。それに、植物の育種を研究しているインテリなんです。
花と花をかけあわせて、品種改良していく専門家。
ショッキングピンクのペチュニアやら、かわいいアマリリスやら。
新しい品種を次々発表して、世界中の園芸家から注目されている学者さんなの。
研究生のころ、彼のほうから食事に誘ったんです。
なぜ、わたしなんかを?正直、そんなふうに考えてしまったわ。
中学のときも高校のときも男子に注目されたことなんてなかった。
スタイルだって顔だって十人並み。いやもっとひどいかもしれない。
最近の若者って手足が長くて小顔で可愛らしいけど、わたしだけなんか先祖がえりしたみたいにヤボったい感じ。
明治、大正の白黒写真に写ってる日本女性みたいっていうか。
彼とデートをしていると、他の女性のとげとげしい視線を感じることさえありました。
「なんであんな女が?不釣り合いもはなはだしい。きっとすぐに捨てられちゃうわ」
でも先月、彼、プロポーズしてくれました。
今日は、彼のちょっとした講演会があって、わたしも聴きに来ました。
彼は、植物や花の神秘の世界を素人にもわかるように話してくれるので人気があるんです。
「皆さん、植物はどうして多種多様な美しい花を咲かせるのでしょう?
答えは、動物を利用するためです。昆虫やハチドリなどに存在をアピールして花粉を運ばせるために、葉を美しく進化させたのです。
その証拠に、風を利用するだけだった裸子植物は、美しい花を咲かせることはありません。
そして今、植物は花の美しさによって人間という動物も利用して繁栄しています。われわれ育種家や園芸家はその最たるものですね」
会場に笑いがおこる。
「人間の立場から言えば品種改良ですが、植物が人間を利用して進化の速度を何千倍にも加速させているといってもいいでしょう。
ただ、ボクたち育種家が注意しなくてはならないのは、花を大きくしたり色を派手にしたりしているうちに、極端に走ってしまう点です。
見た目はバリエーションに富んで見えるけど、生物としての可能性の偏った、弱い品種になっていく」
品種改良っていいことばかりじゃないのね。
「その種の可能性を維持するためには、元々の可能性の全てを内に持っている品種、つまり、より原始的な野生種を保存することが大切です」
へ~、なるほどなぁ。
・・・って、ソレ、植物だけの話だよね? 


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