366日ショートショートの旅

毎日の記念日ショートショート集です。

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ハイビジョン

2012年11月25日 | 366日ショートショート

11月25日『ハイビジョンの日』のショートショート



真夜中に目が覚めて、どうにも眠れずリビングのハイビジョンテレビをつけた。
こんな夜中にやってるの、ショッピングかドラマの再放送くらいかな。
と、映し出されたのは、私の顔。
え?どうなってんの?この自分撮り状態。どこかにカメラが?
いやぁ、それにしてもどうだ、私の顔。
鏡みたいにしげしげと見る。
お化粧落とした真夜中起きでもこれはないよなぁ。
お肌の荒れもくすみもこんなにだっけ?目じりのしわ、ほうれい線、首のたるみ。
「こりゃヤバイわ」と思わずひとりごちた、その時、
「ア、そっちからも見えるんだ」と、テレビの中の私。
どゆこと?
「こ、これって夢?」
「夢みたいよねぇ。十年前の私と会話できるなんて」
十年前の私?ってことは、テレビの中の私は十年後の私?
十年後って五十五歳か。五十五でこの程度の老化なら上出来かな♪
「あの、説明してくれる?」
未来の私が教えてくれた。
ハイビジョンの解像度がアップし続けた未来、多くの女性があまりに鮮明に映し出された現実にショックを受けた。そこで対策として、現在の容貌を解析して何年か前の姿に瞬時に差し替える機能つきテレビが開発された。さらに技術は進んで・・・
「でも、まさか過去の自分自身と交信できるなんて思わなかったわ」
おかげで私は未来の私と交信できるわけか。
私は聞かずにはいられない質問をした。
「ね、今、幸せ?」
私がうなずいた。
「ええ、もう、とっても。悠々自適。こうして最新のテレビも買って」
よかった。ありがとう、私。
そのとき。
「お~い、なんでテレビなんか見てんだ?こんな真夜中に」
亭主だ!
私は慌ててテレビの電源を切った。
「なんでもないわ。ちょっと目が覚めただけ。もう寝るわ」
テレビの前から立ちあがる。
「おい、オレのほうが目が冴えちゃったヨ。一杯ひっかけてから寝るわ」
と、今度は夫がテレビをつけた。
「なんだ、何もやってないじゃないか」
ボトルとグラス、氷をのせたお盆を夫の傍らに置く。
確かに画面は真っ暗のまま。
「あまり深酒しちゃお体に障りますよ。おやすみなさい」
「わかってる、わかってるって。じゃ、おやすみ」
じゃあ私だけ。悠々自適の未来のビジョンでも夢見て。 


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