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映画『フェアウェル~さらば哀しみのスパイ』

2012年06月05日 | 映画の感想



監督 クリスチャン・カリオン
エミール・クストリッツァ (Sergei Gregoriev)
ギヨーム・カネ (Pierre Froment)
アレクサンドラ・マリア・ララ (Jessica Froment)
インゲボルガ・ダプコウナイテ (Natasha)
アレクセイ・ゴルブノフ (Choukhov)
ディナ・コルズン (Alina)
フィリップ・マニャン (Francois Mitterrand)
ニエル・アレストラップ (Vallier)
フレッド・ウォード (Ronald Reagan)
デイヴィッド・ソウル (Hutton)
ウィレム・デフォー (Feeney)
エフゲニー・カルラノフ (Igor)
ヴァレンチン・ヴァレツキー (Anatoly)
1981年のモスクワ。KGBの幹部グリゴリエフ大佐は、フランスの国家保安局を経由して接触した家電メーカーの技師ピエールに奇妙な親近感を覚え、ある重要な情報を渡す。それは、スペースシャトルの設計図やフランスの原子力潜水艦の航路図など、ソ連が調べ上げた機密情報だった。世界の国家勢力を一変させる力を秘めたその情報の壮大さに、一介の技術者に過ぎないピエールは目を見張り興奮する。

★★★★★
『ザ・スパイ~裏切りのミッション』を観てガッカリした翌日に性懲りもなくスパイ映画に挑戦。しかも、主演の役者も同じギヨーム・カネのフランスもの。なんでこんなの借りたかなぁ。って観はじめると、これがすこぶるいい!出だしの銃殺を示唆する場面から引きつけて、モスクワと家族で駐在中の家電メーカー技師に過ぎない男ピエール・フロマン=ギヨーム・カネの日常へ。なぜか彼にKGBの男が接触して情報を提供しはじめる。なぜスパイでもなんでもない彼なのか?KGBの男、セルゲイ・グリゴリエフ大佐= エミール・クストリッツァの日常もまた並行して描かれていき、彼の家族への思いや祖国への思い、そして祖国を裏切る理由もリアルに伝わってくる。このあたりの日常的な描き方ってのがホームドラマかと見紛うほどでもう心憎いばかり。しかし、一方では合衆国中枢にまで食い込んだKGBの情報網が明らかになって、ミッテラン大統領が、レーガン大統領が驚愕する様が痛快。まさにミクロとマクロ。個人と国家。このへんのダイナミズムがこの映画の面白さ。ハデハデのアクションシーンも不要、ギリギリのサスペンスシーンも不要。さりげなく迫る危険にハラハラドキドキしてしまう。ピエールとセルゲイ、それぞれの国を思う気持ちや正義、そして家族を守りたいという切実な思いなどがひしひしと伝わってくる。そしてラストのなんとも冷徹で皮肉などんでん返し。ああ、そのためにいたのか!CIA長官フィーニー役のウィレム・デフォー!この映画、なんといってもセルゲイ・グリゴリエフ大佐役のエミール・クストリッツァの強面が強烈なインパクトだ。強烈にして繊細、そして情熱的。スゴイ役者だなぁと思ったら、なんとご本人も監督さん。しかも、あの世界大戦後も地下でコミュニティーを作って生活するユーゴスラヴィアの人々を描いた名作『アンダーグラウンド』の監督なんだそうだ。さすがだなぁ。ついでにこの映画、フランス政府が初めてエリゼ宮殿で撮影許可した映画なんだとか。実はレーガンとミッテランが協力してソ連崩壊の引き金を引いたこと、冷戦終結にフランスが多大な貢献をしたことを描いたこの映画に協力するあたり、フランス政府の意図がうかがえる。それにしても、この映画のタイトル、なんとかならないか。安っぽい三流スパイ映画じゃないんだから、「さらば哀しみのスパイ」はないんじゃないの。ここは、思い切って『フェアウェル事件』というタイトルどかん!で、よかったと思うのだが。


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4 コメント

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すごいですね (もぐら)
2012-06-06 00:29:19
矢菱さん本当にこれだけの映画観てるんですか?
いえ疑ってるわけではありませんが。(^^ゞ
すごいですね。
逆に無限に楽しみがあっていいなぁと思います。
私ね映画とか本とか読めなくなっちゃたんです。
感情の波が抑えられないというか、気持ちが
コントロールできないというか。
変ですね。

あ、お願いです。
「結婚式おまかせ君」を朗読させていただきたいのです。
よろしくお願いいたします。m(__)m

それと・・・
「こんにゃく侍」を講談調でやらせていただいたんですが
聞いていただける出来ではないのでお蔵入りしてるんです。
矢菱さんだけに・・・は無理ですね。
やっぱお蔵入り決定~!!
もぐらさんへ (矢菱虎犇)
2012-06-06 01:02:01
5月から映画の感想をサボっていたのでここ数日で整理したんです。書いたはずのテキストが紛失したりして、も~大変。なんか夏休み終わり数日の学生気分でした。
われながら映画、よく見ますよねぇ。昨年12月から観た映画の感想だけで130本くらいか~。人生でいったい何本観るんでしょうねぇ。

朗読もちろんOKです。
講談調、例のニャーも傑作だったじゃないですかあ。そうだ、今度「結婚式~」をやったときにオマケでつけてくださ~い。

最近、さとる文庫にうかがってなくてごめんちゃいです。捨て猫を見かけても見ないフリをして通りすぎてしまうボクとしては、なんかコメント書きづらくて、以来・・・(ポリポリ)
ありがとうございます。 (もぐら)
2012-06-07 23:02:33
ありがとうございます。
「結婚式おまかせ君」は本当は去年の6月に
お願いしようと思ったんです。
それがちょうど親戚の結婚式と重なって、しかも
日下さん。
・・・えっと、来年お願いしようかなぁってなりました。( ;^^)

さとる文庫は気にしないでくださいね。
朗読って音楽じゃないから聞くのは大変ですもん。
ときどき気になったらのぞいてやってください。m(__)m

ありがとうございます。
もぐらさんへ (矢菱虎犇)
2012-06-08 02:04:15
お心遣い、いたみいります。

朗読、楽しみにしていま~す。

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