映画『フライペーパー史上最低の銀行強盗』

2012年11月17日 | 映画の感想



監督 ロブ・ミンコフ
脚本 ジョン・ルーカス、スコット・ムーア
パトリック・デンプシー (Tripp Kennedy)
アシュレイ・ジャッド (Kaitlin)
ティム・ブレイク・ネルソン (Billy Ray 'Peanut Butter' McCloud)
プルット・テイラー・ヴィンス (Wyatt 'Jelly' Jenkins)
オクテイヴィア・スペンサー (Madge Wiggins)

慌ただしい閉店間際のとある銀行。窓口係のケイトリンは、大量の小銭を両替しに来た、ハンサムだけどちょっとおかしなトリップという男の応対をしていた。その時、一発の銃声が銀行内に響き渡る。現れたのは、完璧にハイテク武装した三人組の銀行強盗!だけかと思いきや、別方向から現れたのはTシャツ、短パン姿というコンビニ帰りのような出で立ちの銀行強盗コンビ!なんと全く別の二組の銀行強盗が、同時に襲撃してきたのだ!そしてすぐさま銀行のセキュリティシステムが作動し、人質となった職員や数人の客を含め全員が銀行内に閉じ込められてしまう。銀行強盗たちは、トリップの仲裁によってそれぞれ金庫とATMの金を盗み出すことになったが、トラブルの連続で思うように事が進まない。そして戸惑う人質たちの中にも、新たな犯罪者の影が……。互いを怪しみ疑心暗鬼になる中、ついに銃弾の犠牲者が出てしまう。

★★★★☆
同じ銀行、同じ時間に、ド素人みたいなクソ泥棒二人組とプロフェッショナルな強盗集団三人衆が鉢合わせというとんでもなく間抜けな犯罪コメディ映画。両グループは妥協し合って、ATMはクソ泥棒に金庫の中身は強盗集団にとシェアするし、人質をグループ分けするし、という展開だけで前半は楽しませてくれる。まあこんな斬新な設定のコメディなんて後半は面白くないのが常なんだけど、この映画はこのあとさらに仕掛けがあって後半も楽しませてくれる。実はこの設定のすべてがひとりの犯人によって仕組まれていたことが判明するのだ。しかも閉ざされた銀行の数名の中に紛れ込んでいるってんで最後までハラハラドキドキ。
そりゃもうツッコミどころ満載の展開。基本的に強盗犯たちや真犯人が計画どおりに行かなくなっている原因であるアヤツを始末しようとしないのがあまりにも不自然だ。少なくとも頭の足りないヤツをうまく使って殺させるように仕向けるはず・・・。まあ、そういうふうに状況をリアルに考えても仕方がない。基本、コメディなんだもの。
しかし、こんなにキレイに唸らせてくれる展開の犯罪コメディは久しぶり。脚本は、あの爆笑二日酔い映画『ハングオーバー』の連中らしい。さすがノッているなあ。
これは拾い物、面白かった!!
 

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映画『ブレイクアウト』

2012年11月17日 | 映画の感想



監督 ジョエル・シュマッカー
ニコラス・ケイジ (Kyle Miller)
ニコール・キッドマン (Sarah Miller)
ベン・メンデルソン (Elias)
キャム・ギガンデット (Jonah)
リアナ・リベラト (Avery Miller)
ジョルダーナ・スパイロ (Petal)
ダッシュ・ミホク (Ty)
エミリー・ミード (Kendra)
ニコ・トートレッラ (Jake)

ダイヤモンドディーラーのカイルは、郊外に建てた瀟洒な邸宅で、妻のサラ、娘エイヴリーと3人で何不自由ないリッチな生活を送っていた。ある日、カイルは帰宅した後、仕事の準備をしていると、突然覆面武装した4人組が家に押し入ってきた。彼らは「おまえの持っているものをすべていただく」と宣告、ダイヤモンドの入っている金庫を開けるように脅す。しかしカイルには、そのダイヤモンドをどうしても渡せない理由があった…。

★☆☆☆☆
ニコラス・ケイジとニコール・キッドマンを主役に据えてサスペンス映画を作って、こんだけ面白くないって・・・。ニコラス・ケイジはけっこう羽振りのいい父親役で登場、高級な車を颯爽と運転してご帰宅中。終始携帯電話をかけて口八丁のやり手ぶりが伝わってくるけれど、その会話の内容から決して思惑どおりに仕事が言っていないことは早々に説明済みだ。ニコール・キッドマンは奥さん役。遊びたい盛りのティーン娘は言うこと聞かないし、夫は仕事仕事で相手にしてくれないしで、なんか隠しごとありそう。黒い下着で性的な不満を表現していたけど、やっぱりせめて身につけてもらわないとなあ。
とにかくこのへんの人物描写あたりで、そのあと強盗が押し入ってからの展開がだいたい見えてしまう。予知能力がなくてもそのあとの展開が見えてしまう作りがあまりにも安っぽいのだ。犯人から逃げ出そうとする場面が何度もあって新たな展開を期待するたびに裏切られる展開はもどかしいばかり。これぞ退屈B級映画である。ニコラス・ケイジはこういうB級が最近やたら多いような。ニコール・キッドマンもB級路線へと突き進んでいくのだろうか?
美味そうなラーメン屋かな?と、ラーメン屋さんに入ってみて、出てきたラーメンを食ってみたら、ただのインスタントラーメンだったみたいな失望感・・・そういう映画。


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七五三

2012年11月17日 | ショートショート



♪通~りゃんせ、通りゃんせ♪こ~こはど~この細道じゃ♪
おや?
歌声に誘われて玄関ドアを開くと、真っ赤な振袖姿の女の子が立っています。
♪天神さまの細道じゃ♪ちょ~っと通してくだしゃんせ♪
女の子はボクの腕をするりと抜けて家の中へ。
「この子、だれ?」
♪御用のない者、通しゃせぬ♪
妻が玄関をのぞきました。
「何言ってるの、美沙希じゃないの」
♪この子の七つのお祝いに♪御札を納めにまいります♪
え?言われてみればいたような、七つの娘。美沙希は、妻とリビングへ。
♪行きはよいよい、帰りはこわい♪
そうだ。娘は確か七五三の帰りに交通事故で・・・。
♪こわいながらも、♪通~りゃんせ、通りゃんせ~♪
歌い終わると、ソファにちょこんと座りました。
妻が冷蔵庫から千歳飴を出して、美沙希に手渡します。
「冷た~い」
飴を握りしめて、美沙希は大喜び。どこからどう見ても生身の女の子です。
「もう、どこにも行っちゃダメよ。ママ、とっても淋しかったんだから」
なんて言いながら鼻を鳴らします。
そんな様子を見ていたら、ボクまで鼻の奥がツーン。ヤバイ・・・。
幽霊だってなんだってかまわない!また三人一緒に暮らそう。それがどんなに幸せなことか。
ボクも美沙希の隣に寄り添いました。
幼児らしい、汗っぽい髪のにおい。幽霊なんかじゃない。
無心に飴をしゃぶっている美沙希に妻が諭します。
「美沙希ちゃん、先にお着替えしましょう。飴がついたら汚れちゃう」
「やだもん!美沙希、着物がいい!」
急に立ちあがると逃げ出しました。
「あちこち触らないで!ベタベタになっちゃうじゃない!」
妻が追いかけます。ボクも慌てて追いました。
美沙希はキャッキャッと歓声をあげて逃げていきます。そして玄関ドアを開けて外へ。
玄関を出ると、もうそこには影も形もありません。
美沙希・・・美沙希・・・美沙希・・・

「ミサキって、だれ?」
妻の声に目が覚めました。え?夢?
ボクは慌てて今見た夢を話しました。
「もう。うちには子どもはいないじゃないの」
そうです。ボクたち夫婦に子どもはいません。子どもほしさのあまり、こんな夢を見たんでしょうか。
そして翌朝。
ボクが目を覚ましてリビングに行くと、おや?
早起きした妻がドアノブを濡らしたタオルで無心に拭いていました。
妻が洗面所に消えると、ボクもドアノブを触ってみずにはいられませんでした。



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