人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

スティーブン・スピルバーグ監督「ウエスト・サイド・ストーリー」を観る ~ バーンスタインのジャジーな音楽と洗練されたダンスで彩る楽しいミュージカル:早稲田松竹

2022年07月21日 07時18分12秒 | 日記

21日(木)。昨日、午前中に近くのクリニックで「特定健診」(健康診断)を受けてきました 血液採取、胸部レントゲン、心電図など一通り検査をして、別のクリニックで眼底検査を受けました 血圧が高めでしたが、薬を飲むほどではないとのことで、安心しました あと 悪いのは頭だけか

ということで、わが家に来てから今日で2748日目を迎え、米司法省は19日、北朝鮮のサイバー攻撃グループが米中西部カンザス州などの病院から身代金として受け取ったり、その資金洗浄に使ったりしていた仮装通貨(暗号資産)計約50万ドル(約6900万円)相当を押収したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     他国から強奪した資金は 金正恩と政権幹部にしか回っていない どんどん取り戻せ

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「赤魚を塩焼き」にして、「里芋の煮っころがし」「冷奴」「生野菜サラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 「里芋の煮っころがし」は、前回味がよく浸み込んでいなかったので、煮た後たっぷり時間をおいたのでよく浸み込んで美味しかったです

 

     

 

         

 

早稲田松竹でスティーブン・スピルバーグ監督による2021年製作アメリカ映画「ウエスト・サイド・ストーリー」(157分)を観ました

本作は、スピルバーグ監督が、1961年に映画化された名作ブロードウェイミュージカル「ウエスト・サイド物語」を再び映画化したものです

物語の舞台は1950年代のニューヨーク。マンハッタンのウエスト・サイドには、夢や成功を求めて世界中から多くの移民が集まっていた 社会の分断の中で差別や貧困に直面した若者たちは同胞の仲間と集団を作り、各グループは対立し合っていた 特にポーランド系移民の「ジェッツ」とプエルトリコ系移民の「シャークス」は激しく対立していた そんな中、ジェッツの元リーダーであるトニー(アンセル・エルゴート)は、シャークスのリーダーの妹マリア(レイチェル・セグラー)と出会い運命的な恋に落ちる 二人の禁断の愛は、多くの人々の運命を変えていく

 

     

 

レナード・バーンスタイン(作曲)とスティーブン・ソンドハイム(作詞)による数々のミュージカル・ナンバーが、ダイナミックで洗練されたダンスとともに歌われます 「トゥナイト」「アメリカ」「クール」「マンボ」「チャチャ」・・・。指揮をとるのはパリ・オペラ座音楽監督のグスターボ・ドゥダメルです

マリア役のレイチェル・セグラーは、約3万人ものオーディションから選ばれたというだけあって、歌も踊りも演技も素晴らしい

言うまでもなく「ウエスト・サイド・ストーリー」はシェイクスピアの戯曲「ロメオとジュリエット」をモチーフにした物語ですが、スピルバーグ監督はなぜ今、映画化しようと思ったのか?  しかも一度映画化されている作品を

本作は、1950年代のポーランド系移民の「ジェッツ」とプエルトリコ系移民の「シャークス」、さらに彼らを取り締まる白人警官という、人種により分断された世界を描いています それから70年経った現代のアメリカで差別は解消されたのか? 解消されたどころか、トランプ前大統領の移民排斥政策によってますます人種による分断が深まったのではないか

スピルバーグ監督は次のようなメッセージを表明しています

「『異なる立場』の者同士は、手をとりあうことができるのか? この物語は、現代を生きる我々へのメッセージが込められた人間賛歌です」

本作は2022年、第94回アカデミー賞で、作品賞、監督賞ほか計7部門にノミネートされ、アニータ役を演じたアリアナ・デボースが助演女優賞を受賞しました 難しいこと抜きで、歌とダンスだけでも楽しめる映画です

 

     

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ウェス・アンダーソン監督「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」を観る ~ 早稲田松竹

2022年07月20日 07時13分11秒 | 日記

20日(水)。わが家に来てから今日で2747日目を迎え、フィギュアスケート男子で2014年ソチ、18年平昌両冬季五輪王者の羽生結弦が19日、東京都内で記者会見し「プロのアスリートとしてスケートを続けることを決意した。競技会というものに出るつもりはない」と話し、競技会からの引退を表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     後進に道をゆずる! 今後はアイスショーに出演し 客入り1日4回転半を目指すか

 

         

 

昨日、夕食に「ピーマンのチーズ肉詰め焼き」「生野菜とツナのサラダ」「冷奴」「大根の味噌汁」を作りました 肉詰め焼きはチーズが味のポイントです

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でウェス・アンダーソン監督による2021年製作アメリカ映画「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」(108分)を観ました

物語の舞台は20世紀フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ誌」の編集部。米国新聞社の支社が発行する雑誌で、国際問題からアート、ファッション、グルメに至るまで深く切り込んだ記事で人気を集めている アメリカ生まれの名物編集長アーサー・ハウ一イッツァー・Jr(ビル・マーレイ)のもとには、向こう見ずな自転車レポーターのサゼラック(オーウェン・ウィルソン)、批評家で編年史家のベレンセン(ティルダ・スウィントン)、孤高のエッセイストのクレメンツ(フランシス・マクドーマンド)ら、一癖も二癖もある才能豊かなジャーナリストたちが揃っていた ところがある日、編集長が仕事中に心臓まひで急死し、遺言によって廃刊が決定してしまう。かくして記者たちは編集長の追悼号にして最終号の編集に取り組むことになる

 

     

 

最終号は1つのレポートと3つの物語が掲載されることになり、4つのエピソードに分けてオムニバス形式でコミカルに描かれていきます

サゼラック記者による「自転車レポート」では、編集部があるアンニュイ=イシュール=ブラゼの街が紹介されます

美術評論家J.K.L.ベレンセンによる「確固たる名作」では、殺人罪で服役している天才画家と、その価値を見出した画商、そして画家もモデルとなった女性看守のエピソードが描かれます

クレメンツ記者による学生運動の記録を扱った「宣言書の改定」では、学生運動のリーダーと、彼に恋する会計係の学生らによるエピソードが紹介されます

祖国を追われたライト記者による「警察署長の食事室」では、美食家の警察署長と、お抱えシェフを巡って起こる大きな事件を扱っています

街の名前からして「アンニュイ」(憂鬱)が付いているように、どの物語もフランスのエスプリとアメリカのユーモアを混在させたようなエピソードが展開しますが、ストーリーが若干分かりにくいのが難点です 「ディスパッチ」というよりも、画面が小間切れに切り替わるので「パッチワーク」のようです

出演者の中で映画を通じて知っているのは編集長役のビル・マーレイとエッセイストのクレメンツ役のフランシス・マクドーマンドの2人です ビル・マーレイはソフィア・コッポラ監督「ロスト・イン・トランスレーション」に出演していました フランシス・マクドーマンドは2021年製作映画「ノマドランド」で第93回アカデミー賞の主演女優賞を受賞しました 二人に共通するのはベテランならでは熟練した演技力です

本作「フレンチ・ディスパッチ」はもう一度観たら理解が相当深まるような気がします

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坂入健司郎 ✕ 新交響楽団でバーバー「管弦楽のためのエッセイ第2番」、ガーシュイン「パリのアメリカ人」、ドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界より”」を聴く ~ 第258回演奏会

2022年07月19日 07時05分37秒 | 日記

19日(火)。わが家に来てから今日で2746日目を迎え、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は17日、田中富広会長が安倍晋三元首相襲撃事件を受けて開いた11日の記者会見で、2009年以降は信者との間で「トラブルがない」と発言したことについて、「コンプライアンス順守の結果が表れているという趣旨であり、トラブルがゼロになったという意味ではない。言葉不足で誤解を招いたことを率直にお詫びする」などとする声明を出した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     信教の自由は誰にも認められるが 宗教団体が信者から 財産を強奪する権利はない

 

         

 

昨日、夕食に「青椒肉絲」「生野菜サラダ」「冷奴」「ブナピーの味噌汁」を作りました チンジャオロースーは、若干オイスターソースの味が濃く出たので、次回は少なめに修正しようと思います

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで新交響楽団「 第258回演奏会」を聴きました プログラムは①バーバー「管弦楽のためのエッセイ 第2番」、ガーシュイン「パリのアメリカ人」、ドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 ”新世界より” 」です 指揮は坂入健司郎です

坂入健司郎は1988年生まれの34歳。音楽大学には進まず慶応義塾大学で学び、卒業後は「ぴあ株式会社」でWEBマーケティングに携わり、2008年から自分で設立したオーケストラ「東京ユヴェントス・フィルハーモニー」を指揮しながら、昨年プロの指揮者として活動を開始した俊英です 初めて聴くので楽しみです

楽団側から送られてきたチケットの座席は1階G列24番、センターブロック右通路側です

拍手の中、楽団員が配置に着きます 弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新響の並び コンミスは内田智子さんです

 

     

 

1曲目はバーバー「管弦楽のためのエッセイ 第2番」です この曲は、ニューヨーク・フィルハーモニック創立100周年を記念して、指揮者ブルーノ・ワルターがサミュエル・バーバー(1910ー1981)に委嘱したことを受けて1942年に作曲し、同年4月16日にニューヨーク・カーネギーホールで初演されました バーバーは「管弦楽のエッセイ」を約40年にわたって3曲書いていますが、この作品は2番目の曲です

坂入の指揮で演奏に入ります 冒頭のフルートの演奏をはじめ木管楽器群が素晴らしい演奏を展開します 後半では弦楽器群が美しいアンサンブルを奏でます フィナーレ近くの弦楽セクションによる渾身の演奏は悲痛な叫びのように聴こえました 作曲当時の第二次世界大戦の暗い影が反映しているのかもしれません 短い曲ですが、坂入は新響から中身の濃い演奏を引き出しました

2曲目はガーシュイン「パリのアメリカ人」です この曲はジョージ・ガーシュイン(1898ー1937)がパリ滞在中の1928年に作曲、同年12月13日にウォルター・ダムロッシュ指揮ニューヨーク・フィルによりカーネギーホールで初演されました

坂入の指揮で演奏に入りますが、シンフォニック・ジャズとしての作品の魅力を存分に引き出し、車のクラクションが鳴り響く大都会パリの喧騒の中、右往左往するアメリカ人を見事に描き切っていました 堀内コンミスの独奏によるパリの貴婦人の優雅さは特筆に値します 全体的に賑やかで楽しい演奏でした

 

     

 

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 ”新世界より” 」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841ー1904)がニューヨークのナショナル音楽院の院長としてアメリカ滞在中の1893年に作曲、同年12月16日にニューヨークで初演されました 第1楽章「アダージョ~アレグロ・モルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・コン・フォッコ」の4楽章から成ります

コンミスが堀内真美さんに代わり、坂入の指揮で第1楽章に入ります 坂入の指揮は、音楽の流れが自然で心地よさを感じます チェロが素晴らしい 坂入もチェロを演奏するので、特別に思い入れのある指導があったのかもしれません そしてフルートを始めとする木管楽器も冴えています 金管ではホルンが安定しています 第2楽章「ラルゴ」では、例によって「遠き山に陽は落ちて」のメロディーがコーラングレ(イングリッシュホルン)によって叙情的に演奏されます 他の楽器がいくら頑張ってもこの楽器によるこのメロディーには勝てません 良いところを全部かっさらっていきます 坂入の指揮を見ていて感心するのは、各楽器への指示が明確であるということです 全体のバランスの中でいつどの楽器を強調したいのか、それが明確です 「ここでヴィオラはこういう演奏をしていたのか」と気づかされる場面もありました 第3楽章ではフルート、オーボエを始めとする木管楽器、そしてティンパニが素晴らしい 毎回聴くたびに感心します そしてホルンが素晴らしい 第4楽章の冒頭は機関車オタクのドヴォルザークらしい音楽です 蒸気機関車が動き出す様子を音楽で表していると言われていますが、力強い音楽はまさに汽車の発進する時のエネルギーそのものです 金管楽器が咆哮し、打楽器が炸裂し、弦楽器がエネルギッシュな演奏を展開しフィナーレに突入します

満場の拍手が坂入 ✕ 新響の面々に押し寄せます 集中力に満ちたアグレッシブな演奏でした

プログラム冊子に坂入氏のインタビュー記事が載っています それによると、幼稚園生の頃に誕生日に両親や親戚からCDをプレゼントされたが、それが「新世界交響曲」だったそうです 意外にもこの曲を指揮するのは本公演が初めてとのこと   また、新響の演奏は飯守泰次郎、高関健らの指揮で20年近く聴いているそうです その意味では、本公演は坂入にとっては30年近く温めてきた曲を20年近く聴いてきたオケと演奏する特別な演奏会であり、オケにとっても長年の新響ファンがタクトをとる特別な公演ということになります 坂入は新響を信頼し作品に対する演奏の意図を伝え、新響は坂入の意図を十分理解し、演奏で答えを出していたと思います 何年か後に本公演を振り返る時、素晴らしい演奏は プロのオケではなくアマチュア・オケ新響によるものだったことを懐かしく思い出すかもしれません

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「N響2022ー2023シーズン」Bプロ申し込み / 養老孟司 ✕ 隈研吾 「日本人はどう死ぬべきか?」(新潮文庫)を読む ~ 死は眠りと同じ、考えても無駄

2022年07月18日 07時11分41秒 | 日記

18日(月・祝)。N響2022ー2023シーズンの年間定期会員「Bプログラム・2日目」を申し込みました すでにAプロの年間チケットは手元に届いているので、追加申し込みです 実は定期会員先行発売日が14日から17日までとなっていたのに、何をとち狂ったか、手帳に「17日先行発売」と記入していたので手配が大幅に出遅れてしまいました 最近この手のミスが多発していて困っています Bプロは水・木の公演ですが、案の定どちらもS席、A席とも条件の良い席は売り切れていて、かろうじて1階センターブロック後方の通路に近い席を押さえました 他のオケだったらA席ですが、N響は強気でS席にしています Bプロは協奏曲が中心なので出来るだけステージに近い席の方が良いのですが、1階は前方の左右外側の席しか空いていないので諦めました 取りあえず、押さえた席で1年間聴いて、その先どうするか判断したいと思います 今日から一般発売日ですが、ほとんど良い席は残っていないと思います

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2745日目を迎え、アメリカで去年1月に起きた議事堂占拠事件を巡り、議事堂に侵入したトランプ前大統領の支持者がトランプ氏の演説やツイートに従って動いていたと証言した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     どんどん真実が明らかになっていくが 保身第一の共和党議員はまだ目を覚まさない

 

         

 

ここだけの話ですが、実は 娘が数か月前から「ゴールデンカムイ」に凝っていて、家の中にもキャラクターグッズがはびこっています 例えばリビングの壁はこんな具合です

 

     

 

ダイニング・テーブルの上はこんな感じです

 

     

 

本当は”趣味”を目に見えるところで披露してほしくないのですが、こちらにも下の写真のような弱みがあるので文句のつけようがないのです

 

     

     

     

     

そんな折、娘が注文しておいた「サッポロCLASSIC ゴールデンカムイ 杉元・白石デザイン缶」(350ml ✕ 6缶パック)と「同 ゴールデンカムイ 鶴見・土方・尾形デザイン缶」(500ml ✕ 6缶パック)が届きました 「サッポロCLASSIC」は私がさんざんあちこちの店で探し回って手に入れる前に、娘が「ゴールデンカムイ」のキャラクターグッズの一つとして注文しておいたものです

 

     

 

そんなわけで、ますます「壁にゴールデンカムイのキャラクターグッズをあちこちに飾るな」とクレームが付けられなくなってしまいました しかし、親子そろってサッポロCLASSICが大好きなので、「ゴールデンカムイ」のクレジットが付いていようがいまいが飲めればいいや、と思っています もちろん、昨日の夕食のお供もサッポロCLASSICでした 念のために付け加えておきますが、toraブログはアフィリエイトを採用していないのでサッポロビールから1円も広告料をもらっていません 一人の CLASSIC ファンに過ぎません

 

     

 

         

 

養老孟司・隈研吾「日本人はどう死ぬべきか?」(新潮文庫)を読み終わりました 養老孟司は1937年鎌倉生まれ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。1989年「からだの見方」でサントリー学芸賞受賞 新潮新書「バカの壁」は空前のヒットとなり2003年のベストセラー第1位となる 著者多数。一方、隈研吾は1954年横浜生まれ。建築家。1979年東京大学大学院建築学科修了。コロンビア大学客員研究員、慶應義塾大学教授を経て、2009年から東京大学教授。主な作品は「サントリー美術館」、「根津美術館」、「歌舞伎座」(5代目)、国立競技場(オリンピックスタジアム)をはじめ国内外に多数

 

     

 

本書は「知の巨人」二人がそれぞれの死生観を語った章と、二人が死について縦横無尽に語り合った対談による章とで構成されています

第1章「自分は死んでも困らない」~ 養老孟司氏の死生観

第2章「年を取った男はさすらうべきだ」~ 対談

第3章「『方丈記』から考える」~ 対談

第4章「時間を超越する歌舞伎座」~ 対談

第5章「日本人とキリスト教的死生観」~ 対談

第6章「人が死んだ後も残る『舞台』が都市に必要だ」~ 隈研吾氏の死生観

第7章「これからの日本人の死生観」~ 対談

第1章で養老氏は、「10年以上前に自分の葬式を済ませている。ということで、僕はもう死んでいるので、死について何も心配はいりません」と述べています。さらに「自分が死ぬことに関してあれこれ考えるのは『意味がない』と決めてしまっています。もし、それが問題ならば『生き残ったやつが考えればいいだろう、俺の知ったことじゃないよ』というのが、基本にして不動のスタンスです」と述べています。そして、「死は眠りと同じで、僕たちは毎日寝ている、だとしたら、それ以上考えても無駄」としたうえで、「最近は『終活ノート』といったものが流行っていますが、ばかなことはおやめなさいと言いたい。宗教学者の島田裕巳さんもおっしゃっていますが、終活は無意味な運動です」と断定しています

さらに、養老氏は「僕は死を『一人称』『二人称』『三人称』に分けて考えています 一人称は自分の死、二人称は家族を含めた知り合いの死、三人称は赤の他人の死を指します。『一人称の死』を考えたり、恐れたりしようとしても、その主体である自分は死んでいるのだから、そもそも、そんなことはできません 『三人称の死』は今この瞬間、世界中で大勢の人々がご臨終を迎えていますが、自分はそれらにいちいち心を動かされたりしない 人にとって『死ぬこと』が意味を持ったり、問題になったりするのは、『二人称の死』以外にありません ですから、死を考えるという行為は『二人称の死を考える』ということにほかなりません。死に関して一番難しい問題は、そういった『二人称の死』をどう乗り越えたらいいのか、ということになります」と述べています

第2章の対談で興味深かったのは「墓」の話です 養老氏は次のように語っています

「だいたい本来の仏教では墓というものはないですからね。上座部仏教、つまり日本で言うところの小乗仏教の国のラオスにしろ、チベット仏教の流れを汲むブータンにしろ、墓がないです

これに対し、隈氏は次のように語っています

「カイロの墓地って人間がそのまま住める家が並んでいるんです。死人がそのままそこに住めるようにということで、墓が家そのものなんです もちろんお金がある人だけの墓地ですが、家がば~っと並んでいる光景は、墓地というよりは住宅地です

国によって死生観が違うことが良く分かるエピソードです

第4章「時間を超越する歌舞伎座」の対談を読んで興味深かったのは、隈氏の紹介している次のエピソードです

「初代の歌舞伎座はパリのオペラ座がモデルなので、ある角度から見ると屋根の形状が驚くほど似ていて、『日本のオペラ座を東京に作ろう』という意識が明確に伝わってくる設計です そういった福地桜痴一流の感覚があったから、歌舞伎座は今、ほかの伝統演劇と比べてまったく違うポジションにあるわけです そういう構想力が建築というメディアを利用しきった時に、どんなことが起こるかということを、先代までの歌舞伎座の歴史を見ながら僕は再認識しました

福地桜痴というのは明治時代に大蔵官僚を経て「東京日日新聞」(毎日新聞の前身)の主筆・社長を務めた文化人です 大学の「日本新聞史」の授業で習いました

第7章「これからの日本人の死生観」の対談では、これからの日本人の進むべき道が示されています

隈:新型コロナ終息後には、自然に向かった爆発が起こると思うんです 前回の爆発によって作られた高層都市に、僕たち人間は閉じ込められ、そして追い詰められていたんだということが、今回のコロナで顕在化しました

養老:都市の持っている力に対抗するには、やはり参勤交代によって、自然の多い場所で一定期間過ごすことが重要だと思います

隈:その通りです。都市から地方に出ていき、もっと自然と触れ合った生活を送る そのために、うちの事務所も参勤交代を始めましたし、コロナをきっかけに地方移住に踏み切ったという話もたくさん聞きます

養老:コロナが終息した後は、巨大都市で人間相手に仕事をするより、地方で物や自然を相手にする仕事が再評価されていくと思いますよ

二人の考えには総論賛成ですが個人的には同調できません 本書のタイトル「日本人はどう死ぬべきか?」を「日本人はどう生きるべきか?」に読み替えて考えたいと思います 私は3つの目標(①クラシックコンサート鑑賞、②映画鑑賞、③読書)を掲げ、それぞれについて前年実績をクリアすべく毎日頑張っていますが、とくに①と②については、東京にいるからこそ目標が達成できる(=生き甲斐をもって生きることができる)と考えています 東京都内のコンサートホールや映画館の数とそこへのアクセスを考えれば地方に移転することは考えられません ただし、自分の足で歩いてどこにでも行ける健康があって初めて目標が達成できると思っています

本書は普段考えることのない「死」について、あらためて考えさせられる本です。お薦めします

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ジョナサン・ノット ✕ ユリア・クライター ✕ 東京交響楽団でラヴェル「海原の小舟」、ベルク「7つの初期の歌」、マーラー「交響曲第5番」を聴く

2022年07月17日 07時12分21秒 | 日記

17日(日)。わが家に来てから今日で2744日目を迎え、トランプ前米大統領が、14日にニューヨークの自宅で死亡した元妻イバナ・トランプさんの訃報を受けて支援者らに送信したメールに、寄付を呼び掛けるボタンが付いていたことが物議を醸している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     秋に実施される大統領選中間選挙に向けた寄付金募集は明らか どこまで卑しい男か

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第701回定期演奏会を聴きました プログラムは①ラヴェル「海原の小舟」(管弦楽版)、ベルク「7つの初期の歌」、マーラー「交響曲第5番 嬰ハ短調」です 演奏は②のソプラノ独唱=ユリア・クライター、指揮=ジョナサン・ノットです

 

     

 

ジョナサン・ノットのマーラーということでか、会場は文字通り満席です いつもこうだと楽団側も経営的に助かるでしょう

オケの配置は左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスは水谷晃、その隣は小林壱成というダブル・コンマス態勢を敷きます

1曲目はラヴェル「海原の小舟」(管弦楽版)です この曲はモーリス・ラヴェル(1875ー1937)が1904年から翌05年にかけて作曲したピアノ曲「鏡」の1曲「海原の小舟」を、1906年に管弦楽用に編曲した作品です

ノットの指揮で演奏に入ります。まるで波間にたゆたう小舟を思わせるような曲想で、ドビュッシーの「海」を思い浮かべます 「管弦楽の魔術師」の異名をとるラヴェルの色彩感豊かな音楽が独特の浮遊感を持って展開します

2曲目はベルク「7つの初期の歌」です この曲はアルバン・ベルク(1885ー1935)が1905年から08年にかけてピアノ伴奏用の曲として作曲、20年後の1928年にウィーンでオーケストラ伴奏に編曲した版により初演されました 第1曲「夜」、第2曲「葦の歌」、第3曲「ナイチンゲール」、第4曲「夢の冠を載せられ」、第5曲「部屋で」、第6曲「愛の賛歌」、第7曲「夏の日」の全7曲から成ります

ソプラノ独唱のユリア・クライターはドイツ出身で、2004年にオペラ・バスティーユでモーツアルト「魔笛」パミーナ役でデビューし、アーノンクール、ミンコフスキ、アバド、ムーティなどと共演しています

深緑系のシックな衣装のユリア・クライターが登場し、ノットの指揮で演奏に入ります 全曲を通して聴いた印象は、声そのものが美しく、自然なビブラートによるリリカルな歌唱で、説得力がありました 特に印象に残ったのは第3曲「ナイチンゲール」です リヒャルト・シュトラウスに代表される後期ロマン派の香りが色濃く反映した曲で、彼女にピッタリだと思いました リートでもオペラでもよいから彼女の歌うリヒャルト・シュトラウスの曲を聴いてみたいと思いました

 

     

 

プログラム後半はマーラー「交響曲第5番 嬰ハ短調」です この曲はグスタフ・マーラー(1860ー1911)が1901年から翌02年にかけて作曲、1904年10月18日にケルンでマーラーの指揮で初演されました 第1楽章「葬送行進曲:正確な速さで、厳粛に、葬列のように」、第2楽章「嵐のような荒々しい動きをもって。最大の激烈さをもって」、第3楽章「スケルツォ:力強く、速すぎずに」、第4楽章「アダージェット:非常に遅く」、第5楽章「ロンド・フィナーレ:アレグロ、楽しげに」の5楽章から成ります

この作品は当初、4楽章形式による交響曲として構想されましたが、アルマ・シンドラーとの出会いにより5楽章に拡大したという経緯があります マーラーはアルマと出会った1901年11月のわずか1か月後の12月8日に、彼女と秘密裏に婚約を交わし、当時作曲中だった「第5交響曲」の中にアルマへの愛の告白を組み入れたのです それが第4楽章「アダージェット」です マーラーは手紙の代わりに「アダージェット」の楽譜をアルマに送り、アルマはその意図を理解したのです アルマも作曲家でしたから、独特の感性でマーラーの想いを受け止めることが出来たのでしょう

ノットが登場し、第1楽章に入ります 冒頭はトランペット独奏によるファンファーレですが、残念ながら不調でした この不調は第2楽章以降の演奏にも尾を引きました 中盤ではクラリネットとオーボエがベルアップ奏法を見せました ノットの指揮は激烈です。速いテンポでグイグイ進めます 間断なく入った第2楽章は驚くべき速さで荒々しく演奏されます何かに対して怒りをぶつけているかのようです 第3楽章はさながらホルン協奏曲のようです 冒頭から上間善之の独奏ホルンが冴え渡ります また、ホルンセクションのアンサンブルが見事です ホルンセクションは終盤でベルアップ奏法を見せました 第4楽章は弦楽セクションとハープのコラボレーションにより夢幻的でロマンティックな音楽が繰り広げられます この音楽を聴くと、ヴィスコンティ監督の「ベニスに死す」を思い出します ホルンの開始で演奏される第5楽章は、喜びの爆発です 結婚直後のマーラーの幸福の絶頂とも言うべき華々しい音楽です 咆哮する金管・木管楽器、軽快に打ち込まれる打楽器、渾身の演奏を展開する弦楽器 ノットのアグレッシブな指揮のもと、オーケストラ総力を挙げての熱演でフィナーレを飾ります

この日ノットは、第1楽章と第2楽章を続けて、第4楽章と第5楽章を続けて演奏しました それはこの曲が第1楽章と第2楽章を「第1部」、第3楽章を「第2部」、第4楽章と第5楽章を「第3部」とする3部構成を取っているからです ノットは間の取り方でマーラーの意図を反映したと言えます

満場の拍手がノットと東響の面々に送られ、カーテンコールが繰り返されました ノットは2014年度から東響第3代音楽監督を務めていますが、もはや東響は手中にあります

終演後、楽団員が捌けてからもノットがステージに呼び戻されていました ノットの人気は凄いものがあるな、とあらためて思いました

 

     

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高野麻衣著「F ショパンとリスト」を読む ~ 故郷を追われたショパンは誰にも明かせない秘密を抱えていた。リストはそれを受け入れ共有した

2022年07月16日 07時14分23秒 | 日記

16日(土)。新型コロナウイルスワクチンの4回目接種券が届いていたので、ウエブサイトから予約を入れました 3回目接種日から5か月以上後に接種できるので、私の場合は7月22日以降が接種可能です。手帳を見ると7月中はコンサートが詰まっているので8月にしました 場所は豊島区役所1階の接種会場です。予約状況を検索すると、ファイザーは接種可能日が多いのにモデルナは少ないことが分かりました しかし、私はこれまで3回ともモデルナだったので4回目もモデルナにしました。深い考えはありません 8月も第2週までかなりコンサートの予定が入っているので第3週の18日(木)午前9時からを予約しました

ということで、わが家に来てから今日で2743日目を迎え、ブリンケン米国務長官は13日、ロシアが侵攻を続けるウクライナで26万人の子どもを含む90万~160万人を支配地域などに強制連行したとの推計を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     日本人を拉致した北朝鮮とどこが違う? 人口が少ない小国ロシアは人が欲しいんだ

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」と「キャベツと魚肉ソーセージのスープ」を作りました チキンステーキは久しぶりですが、ソフトで美味しく出来ました ただ、スープについては娘から「魚肉ソーセージでは脂が出ないじゃない?」とクレームが付いたので、次回はウインナとかハムにしようと思います

 

     

 

デザートに、先日高校時代の友人たちと箱根旅行に行ってきた娘のお土産「栗饅頭 月のうさぎ」をいただきました 大きな栗がそのまま入っていてとても美味しかったです

 

     

 

         

 

高野麻衣著「F  ショパンとリスト」(集英社文庫)を読み終わりました 高野麻衣は新潟県出身。上智大学文学部史学科卒業。音楽雑誌記者などを経て独立。音楽と歴史、人物の関連性を題材にエッセイ等を執筆・講演している

本書は、2021年11月に上演された朗読劇「リーディングシング『F  ショパンとリスト』の脚本をもとに、大幅に加筆・修正を加えて書き下ろした作品です

舞台は19世紀のパリ。フレデリク・ショパン(1810ー1849)とフランツ・リスト(1811ー1886)という2人の「F」が出会う 幼少期からピアノの神童・天才としてヨーロッパ中で注目され、出会う前からお互いを見えざるライバルと意識していた2人は、すぐに無二の親友となり、ともにピアノの頂点を目指そうと誓い合う しかし、故国ポーランドを追われたショパンは誰にも明かせない秘密を抱えていた

 

     

 

【以下ネタバレ注意】

本書は事実に基づき脚色を加えた小説ですが、当時のピアノ製作事情についても触れています     フランツがフレデリックにこう言うシーンがあります

「いまはピアノの時代なんだ。ピアノはどんどん進化している。おまえのプレイエルに、俺のエラール。完璧な7オクターブの音域に、素早いアクション反応 最新の楽器こそが、俺たちの演奏を支えている」「これからのツアーでは、行く先々の地元メーカーにも協賛してもらう。ウィーンではグラーフとシュトライヒャー。イギリスではブロードウッド。スペインではボワスロに。各社はますますしのぎを削って、技術開発に邁進するはずだ そこから生まれる音は、モーツアルトやベートーヴェンの時代とは比べ物にならない。弱音から大音響まで、ピアノ1台で・・・この10本の指で作り出せる!生まれた場所も身分も関係ない ハンガリー生まれのリスト・フェレンツーー病弱だった少年が、憧れの大スターになれる!ピアノは、無限大の希望なんだ!」

現在、世界中で使用されているスタインウェイもベーゼンドルファーもベヒシュタインもファツィオーリもヤマハもカワイもない時代には、上記のようなピアノメーカー同士の競争により新しい技術が日進月歩で開発され、新製品がショパンやリストに提供され、コンサートで演奏されていたことが分かります

この小説のハイライトはフレデリックがフランツに、自分が抱えている秘密を告白するシーンです フレデリックは「俺は、革命と引き換えにこのパリにいる」と告白します 絶句するフランツに、「パリのポーランド亡命政府を監視し、動きがあれば知らせるようにと言われている。ロシア諜報部に。そして、ロシアの動きを知りたいフランス政府に。いわば二重のスパイだ」と続けます なぜそうした経緯になったのかは本文に書かれていますが、果たして事実なのかフィクションなのかは分かりません

本書にはフレデリックとフランツの間で交わされた書簡が4篇登場しますが、最後に紹介されたショパンからリストに宛てた1849年の手紙が印象的です 抜粋すると次のように書かれています

「俺は、音楽という使命にすべてを捧げた。名前など、忘れ去られてもかまわない ただ俺の音楽が、誰かの心を震わせ、彼ら自身の新たな物語となって生き続けてくれるなら、それだけでいい 俺はずっと自由にー音楽そのものになりたかったのだから。ピアノの詩人と呼ばれ、周囲から天使のように褒めそやされることは、いつも苦しかった 人には言えない汚い俺を、自分だけが知っていたからだ。その苦しみを、おまえだけがわかってくれた まるで共犯者のように秘密を共有し、助けようとしてくれた。暗闇のような孤独を分かち合えるのは、おまえだけだった

この手紙を読むと、「ショパンはロシアとフランスの二重スパイだった」ということが事実だったようにも推測されます ショパンは39歳の若さで肺結核により亡くなったと言われていますが、二重スパイ説が事実だとすれば、その立場による心労が大きかったことも大きな要因だったのではないかと思います

一方のリストは75歳まで生き延び、ハンガリーの英雄とまで祭り上げられました いくら神童と呼ばれたり、天才と呼ばれたりしても、人生なんて分からないものです

音楽好き、とくにピアノ好きには興味が尽きない本です。お薦めします

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ホロヴィッツの弾くラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」? ~ 亀山郁夫氏のエッセイから / 「霧丘朱代ピアノサロンコンサート & すずかけコーラス」を聴く ~ アットホームな楽しいコンサート

2022年07月15日 07時04分35秒 | 日記

15日(金)。昨日の日経夕刊第1面のコラム「あすへの話題」に名古屋外国語大学長の亀山郁夫さんがエッセイを寄せています 超略すると次の通りです

「つい先日、知人からのメールの添え書きに、往年の大ピアニスト、ホロヴィッツの演奏でラフマニノフを聴いている、との1行があって、急に第2番が聴きたくなった ところが、肝心のホロヴィッツに、第2番の録音がない 一体、どういうことか、とネット検索をはじめた。あの、情緒纏綿たるロシア風を鬱陶しく感じたか それとも、あまりに通俗的すぎるという理由で、たんに取り上げなかっただけなのか ネットの情報だけでは、納得のいく正当に出会えなかった その代わり、別の興味深い事実に突き当たった。キーウに生まれ(これには諸説ある)、革命後まもなくソ連を出たホロヴィッツが、61年ぶりに故国への帰還を果たしたのが、1986年4月。モスクワ、レニングラード(現サンクトペテルブルク)、キーウでの演奏会が予定されていたが、皮肉にも、最後の、故郷での演奏会だけは実現しなかった 同4月26日、キーウ郊外のチョルノービリ(チェルノブイリ)で起こった原発事故がその理由だという

ホロヴィッツの弾くラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」の録音・・・「第3番」ならユージン・オーマンディ指揮ニューヨーク・フィルをバックにホロヴィッツが演奏したCD(BMG)を私も持っています しかし、「第2番」は見たことも聴いたこともありません 私もネットで調べてみましたが、見い出せませんでした もし「第2番」の演奏を収録したCD等をお持ちの方は情報を「コメント」欄にお寄せいただければ嬉しいです

ホロビッツが故郷に錦を飾れなかった1986年4月26日のキーウ郊外のチェルノブイリ原発事故・・・・私はその時、モーツアルトの墓参りのため、休暇を取ってオーストリアにいました 現地の新聞やテレビは見なかったし、人々も大騒ぎをしている様子はなかったので、5月の連休明けに帰国してから新聞を見て初めて、ヨーロッパに近いキエフで原発事故が起こったことを知りました きっと放射能が風に乗ってオーストリアにも流れて落ちてきたに違いありません 「知らぬが仏」とはよく言ったものです。「知らない」のは怖いものなしです それにしても、それから25年後の2011年3月に東日本大震災の発生に伴って東電の原発事故が起こるとは思ってもみませんでした

ということで、わが家に来てから今日で2742日目を迎え、安倍元総理が銃撃された事件で、世界平和統一家庭連合は、逮捕された山上容疑者の母親らに対し、2005年から2014年までの10年間に5000万円が返金されていたことを明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     献金した1億円の半分しか戻ってこないわけか それは怒るよね ぼろ儲けじゃね?

 

         

 

昨日の夕食は「鰻丼」と「白舞茸の味噌汁」にしました 今年の「土用の丑の日」は7月23日(土)と8月4日(木)だそうですが、そんなの関係ありません 値段が鰻登りに高くなる前に食べれば良いのです

 

     

 

         

 

昨日、東急田園都市線「すずかけ台」駅前の「すずかけ会館」で「ピアノサロンコンサート & すずかけコーラス」を聴きました これは地元出身のピアニスト霧丘朱代さんのプロデュースによる公演で、第1部は霧丘朱代ピアノ独奏による公演、第2部は地元の「すずかけコーラス」による合唱というプログラムです

 

     

 

プログラムは次の通りです

〇オープニング コーラス「青い夜」(ショパン「ノクターン作品9-2」に霧丘さんが詩を付けたもの)

【第1部 霧丘朱代 ピアノサロン コンサート

①マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「間奏曲」

②メンデルスゾーン「歌の翼に」

③シューマン「トロイメライ」

④リスト「愛の夢  第3番  変イ長調」

⑤サン=サーンス(ゴドフスキー編曲)「白鳥」

⑥ショパン「練習曲 作品25-1 ”エオリアン・ハープ”」

⑦ショパン「前奏曲 作品28-15 ”雨だれ”」

⑧ショパン「ノクターン 第18番 ホ長調 作品62-2」

⑨ショパン「舟唄 嬰へ長調 作品60」

⑩ショパン「華麗なる大円舞曲 変ホ長調 作品18」

【第2部 すずかけコーラス

①浜辺の歌

②あざみの歌

③歌はともだち

〈みんなで歌おう〉

④夏は来ぬ

⑤われは海の子

⑥高原列車は行く

⑦線路は続くよどこまでも

第1部のピアノ・ソロの演奏は、霧丘さんが前半の5曲について簡単に曲目解説をしてから5曲続けて演奏、後半のショパン5曲は1曲ごとに解説してから演奏に入りました プロのピアニストは”より速く”弾くことを目指しますが、フジコヘミングを尊敬する霧丘さんは、ゆったり目のテンポでじっくりと演奏します どちらかと言うと、後半のショパンの方が弾き込んでいるという印象を受けました ピアノ教室で教える傍ら自らの練習を重ね、その上、コーラスも指導もこなすわけですから並大抵の努力ではなかったと推察します 限られた時間の中でよく頑張ったと思います

第2部のコーラスは、霧丘さんのピアノ伴奏により最初の3曲を男声2人+女声5人で歌いましたが、平均年齢が日本の平均寿命にさほど遠くないメンバーを、何とか揃って歌うところまで持ってくるのは並大抵のことではなかったのではないか、と思いました 4曲目以降は”聴衆参加型”によりみんなで歌いました 私も最初のうちはマスクの内側でモゴモゴしていましたが、他の皆さんがノリノリで歌っているのを聴いて、だんだん声が出るようになり、「高原列車は行く」からは霧丘さんの伴奏に励まされて、いつの間にか一緒になって歌っていました コロナ禍以降、カラオケをはじめ歌を歌う習慣が消失していたので、久しぶりに声を出して歌い、爽やかな気分になりました

この日のミニ公演は、出演者も聴衆も地元の人たちが中心となったアットホームなもので、和気あいあいとした雰囲気が良く伝わってきました 地域住民の結びつきが叫ばれる中、地元のシニアを集めてコーラスを指導し、自らのピアノ演奏とともに成果を披露するという霧丘さんの企画は素晴らしいと思います これからも、ご自身はもちろんのこと、地元の人たちのためにも頑張ってほしいと思います

演奏に 伴奏に 八面六臂の活躍を見せた霧丘さんが、一仕事を終えて一息入れたところを写メしました 霧丘さん、お疲れさまでした

 

     

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外でマスクをしてませんか? / 新保裕一著「おまえの罪を自白しろ」を読む ~ 代議士の孫を誘拐した犯人の要求は「記者会見での罪の自白」だった

2022年07月14日 07時19分36秒 | 日記

14日(木)。「ツイッター、マスク氏を提訴」・・昨日の日経夕刊第1面の見出しです マスクと言えば、現在でも、外ですれ違う人の99%はマスクをしています 反面、自転車に乗っている人の半数はノーマスクです 周知の通り、5月20日に後藤厚生労働大臣が新型コロナウイルスに関わるマスク着用について、「2メートル以上を目安に、周りの人との距離が確保できる場面では、屋内で会話をする場合を除いて『着用の必要はない』。室内で会話をする場合でも、十分な換気などの対策をとっていれば『外すこともできる』」と政府の見解を説明しました

この説明の背景には、暑い夏を迎えるに当たり、マスクを着用し続けると熱中症に罹る恐れがあるので、無理にマスクをしない方が良いという判断があります それでもなお、人々が外でマスクをするのはなぜか? 一つは最近再び感染拡大傾向が見えてきたことがあると思います さらに、日本人特有の「新型コロナ感染に対する普段からの慎重な態度」と「みんなが着用している中で、自分だけ外すと白い目で見られる」という「同調圧力」があるように思います 私の場合は、外に出るとマスクを外しますが、手に持って歩き、いつでも着用できるようにしています 経験から言うと、ポケットなどに入れてしまうと、ついうっかり忘れてしまい、バスに乗る時やお店に入る時にノーマスクでいることに後から気が付いてハッとすることが ままあるからです

コンサート会場や映画館ではマスク着用が”義務”のようになっています せめて外ではノーマスクで歩きたいと思います   マスク氏のように提訴されることはないでしょう

ということで、わが家に来てから今日で2741日目を迎え、10日投開票の参院選で「暴露系ユーチューバー」として動画投稿サイトで活動するガーシー(本名・東谷義和)氏がNHK党の比例区で初当選したが、朝日新聞の取材に対し「帰国すれば詐欺容疑などで警察に逮捕されたり、『暴露』に対する報復で身に危険が及んだりするリスクがある。いま(ドバイから)帰るのは正直怖い。様子をみながらと思っている」と答え、国会に出席するか不確実な状況であるとした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     政党交付金が欲しいという立花党首に利用されただけ 国民をなめるな! 国会に出ろ

 

         

 

昨日、夕食に「豚の生姜焼き」「冷奴」「長ネギの味噌汁」を作りました 生姜焼きは野菜サラダを別にしないで、ワンプレートに乗せて洗い物を少なくしました

 

     

 

         

 

新保裕一著「おまえの罪を自白しろ」(文春文庫)を読み終わりました 新保裕一は1961年東京都生まれ。1991年「連鎖」で第37回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー 96年「ホワイトアウト」で第17回吉川英治文学賞を受賞したのをはじめ受賞歴多数

衆議院議員・宇田清治郎の孫娘・柚葉が誘拐された。犯人からの要求は「記者会見を開いて、過去のすべての罪を自白せよ」という前代未聞の内容だった 清治郎の次男で秘書を務める晧司は、父と幼い姪を救うため奔走する 総理官邸や警察組織との入り乱れる思惑や、姪の命のタイムリミットが迫る中、政治家一家・宇田家の命運を背負った晧司は独特の推理を働かせ、真相の究明と姪の救出に邁進する

 

     

 

政治家同士の裏での取引など話としては面白かったのですが、今まで登場していなかった真犯人が急に登場してきて、「実はこういう理由で大物政治家の孫を誘拐し、記者会見で罪を告白するように要求したのでした」と言われても、肩透かしを食らったような気分です 宇田晧司の政治家秘書としての成長譚と読めなくもないですが、はっきり言って、プロットがイージーだと思います 巻末の「解説」を新保博久氏(著者と縁戚関係があるのか?)が書いていますが、一般的な「犯罪小説」の解説を延々と書いていて、肝心の「おまえの罪を自白しろ」についてはほとんど触れていません 理由は分かるような気がします 本文だけで372ページですが、それだけのボリュームが必要だったのか、極めて疑問です 残念ながら本書はあまりお薦めできません 次作に期待したいと思います

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出口大地 ✕ 木嶋真優 ✕ 東京フィルでハチャトゥリアン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」「交響曲第2番」「バレエ音楽『ガイーヌ』 ~ 剣の舞ほか」を聴く

2022年07月13日 07時16分16秒 | 日記

13日(水)。わが家に来てから今日で2740日目を迎え、米ブルームバーグは、米電気自動車メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者がトランプ前大統領について、2024年の大統領選への出馬を断念し、デサンティス・フロリダ州知事に道を譲るべきだと主張したと報道した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプはマスク氏がツイッターを買収しても利用しないと言ってたし 見放したか

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた鯵を塩焼きにして、「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「玉ねぎの味噌汁」を作りました 鯵は脂がのっていてとても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで「東京フィル第973回サントリー定期シリーズ」公演を聴きました オール・ハチャトゥリアン・プログラムで、①バレエ音楽「ガイーヌ」より「アイシェの目覚めと踊り」「山岳民族の踊り」「ガイーヌのアダージョ」「剣の舞」「レズギンカ」、②ヴァイオリン協奏曲 ニ短調、③交響曲第2番 ホ短調 ”鐘”が演奏されました 演奏は②のヴァイオリン独奏=木嶋真優、指揮=出口大地です

出口大地は大阪府出身。2021年の第17回ハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門で日本人初の優勝 クーセヴィツキー国際指揮者コンクール最高位及びオーケストラ賞受賞。関西学院大学法学部卒業後、東京音楽大学指揮科で学び、2022年ハンスアイスラー音楽大学ベルリンオーケストラ指揮科修士課程修了予定

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東京フィルの並び。コンマスは三浦章宏です

1曲目はバレエ音楽「ガイーヌ」より「アイシェの目覚めと踊り」「山岳民族の踊り」「ガイーヌのアダージョ」「剣の舞」「レズギンカ」です 「ガイーヌ」はアラム・ハチャトゥリアン(1903ー1978)が1939年から42年にかけて作曲、1942年12月9日に初演された作品です 物語は、勇気ある女ガヤネー(ガイーヌ)が、コルホーズ(集団農場)への放火を企む怠惰な夫ギコを告発するという内容です 現在ではバレエが上演されることはほとんどなく、「剣の舞」だけがハチャトゥリアンの代名詞的な曲として知られています

指揮者の出口大地が登場し、1曲目の「アイシェの目覚めと踊り」に入りますが、指揮姿を見て「おやっ?」と思いました 彼はタクトを左手に持って指揮をしています 極めて珍しいケースだと思います。若きサウスポーはどういう指揮をするのか、期待が高まります この曲では「目覚め」を表すピッコロの演奏が素晴らしい 2曲目の「山岳民族の踊り」はリズム中心の「これぞハチャトゥリアン」と言いたくなる曲です。メリハリの利いた演奏が素晴らしい 次の「ガイーヌのアダージョ」では最初にチェロによって、次にヴァイオリンセクションによって美しいテーマが演奏されます そして「待ってました大統領」の「剣の舞」で狂喜乱舞の演奏が繰り広げられます さらに「レズギンカ」では、スネアドラムの激しいリズムに乗って管弦楽総動員による熱い演奏が展開します

2曲目は「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調」です この曲は1940年にわずか2か月で完成、同年11月16日にモスクワでダヴィッド・オイストラフの独奏により初演され、大成功の裡に迎えられました 第1楽章「アレグロ・コン・フェルメッツァ」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の木嶋真優は2016年第1回アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクール優勝 2011年ケルン国際音楽コンクールのヴァイオリン部門優勝 2015年ケルン音楽大学大学院首席修了。ドイツの国家演奏家資格取得

協奏曲のためオケは12型に縮小します 大きな拍手に迎えられて木嶋真優が虹色のカラフルな衣装で登場します 上が横のストライプ、下が縦のストライプですが、私は故郷の七夕祭りの吹き流しを思い浮かべました(あくまでも個人の感想です。悪意はありません。悪しからず)。彼女にとってアルメニアのイメージなのかもしれません

出口の指揮で第1楽章に入ります オーケストラ総奏による迫力ある序奏に続き、独奏ヴァイオリンが力強く入ってきます。木嶋は超絶技巧をものともせず、目の覚めるような演奏を展開します カデンツァでは、クラリネットの万行千秋との掛け合いに次いで、ヴァイオリン・ソロによる演奏が繰り広げられますが、唖然とするくらい鮮やかな演奏です 第2楽章では、序奏に続いて独奏ヴァイオリンがアンニュイな雰囲気のテーマを歌い上げます 第3楽章に入ると、独奏ヴァイオリンが軽快でアグレッシブな演奏を展開、聴衆を魅了しました とても楽しそうに演奏していたのが印象的でした

鳴りやまない拍手に木嶋は、コミタス「クランク」 ~ イグデスマン・ファンタジー(木嶋真優編)を、唖然とするくらい鮮やかに演奏、聴衆を熱狂の渦に巻き込みました 恐るべきヴァイオリニストです

 

     

 

プログラム後半は「交響曲第2番 ホ短調 ”鐘”」です この曲はハチャトゥリアンが作曲した3つの交響曲の1つで、1943年に作曲(44年に改訂)されました 第二次世界大戦中という時代背景もあり、ショスタコーヴィチ「交響曲第7番”レニングラード”」に通じる悲痛な感情が全体を覆った作品です なお、副題の「鐘」は、全曲を通じて鐘が印象的に使われていることから、ある音楽評論家が命名したもので、作曲者もこれを了承しているとのことです 第1楽章「アンダンテ・マエストーソ」、第2楽章「アレグロ・リゾルート」、第3楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第4楽章「アンダンテ・モッソ~アレグロ・ソステヌート、マエストーソ」の4楽章から成ります

出口の指揮で第1楽章に入ります 冒頭のオーケストラ総動員による激しい音楽を聴いて、まるで合唱による叫び声のように聴こえました ハチャトゥリアンがそういう効果を狙ったのかどうかは分かりませんが、私には人の声による慟哭に聴こえました 中盤ではショスタコーヴィチ風の音楽が聴こえてきて、親近感を持ちました 第2楽章では中盤以降の弦楽器による民族的な音楽が印象に残りました 第3楽章では、弦楽器のウネリが凄い 第4楽章では印象的な鐘の音とともに、オーケストラ総力あげての音の大伽藍が築き上げられ、圧倒的なフィナーレで曲を閉じました

スケールの大きな指揮ぶりを見せた出口大地と、渾身の演奏を展開した東京フィルの面々に満場の拍手が送られ、カーテンコールが繰り返されました

それにしても、昨年のハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門で優勝したばかりの若手指揮者を、その翌年の定期演奏会に迎え、オール・ハチャトゥリアン・プログラムで構成するコンサートを任せる東京フィルの大英断と先見の明には脱帽するしかありません 東京フィルには目利きの新人発掘人がいるのだろうか

 

     

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クリスティアン・アルミンク ✕ 今井実希 ✕ 清水徹太郎 ✕ 晴雅彦 ✕ 二期会合唱団 ✕ 新日本フィルでバルトーク「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」を聴く

2022年07月12日 07時17分00秒 | 日記

12日(火)。わが家に来てから今日で2739日目を迎え、安倍元総理が銃撃され死亡した事件で、逮捕された男が「母親が宗教にのめり込み破産して恨んでいた」と供述したことに関し、その宗教団体の「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」が11日 記者会見を開き、「山上徹也容疑者の家庭が破綻していたことを把握していたが、破綻後に寄付を要求したかどうかは記録が残っていない」と説明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ”宗教団体”って 困ってる人を助けるものだと思っていたけど 勘違いだったみたい

 

         

 

昨日、夕食に「豚もも薄切り肉のシソ巻焼き」「生野菜とツナのサラダ」「冷奴」「ジャガイモの味噌汁」「キュウリの浅漬け」を作りました 豚肉シソ巻焼きはニンニクの微塵切りを入れて焼いているのでスタミナが付きます

 

     

 

         

 

昨夕、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「第642回定期演奏会」を聴きました プログラムは①バルトーク「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」、②オルフ「カルミナ・ブラーナ」です 出演は②のソプラノ独唱=今井実希、テノール独唱=清水徹太郎、バリトン独唱=晴雅彦、合唱=二期会合唱団、児童合唱=柏少年少女合唱団・流山少年少女合唱団、指揮=クリスティアン・アルミンクです

アルミンクは2003年~2013年に新日本フィルの音楽監督を務めました その間、定期演奏会で指揮を執るとともに「室内楽シリーズ」を提唱し、楽団員と聴衆の距離を縮めることに貢献しました これは新日本フィルにとって大きな財産となって現在に受け継がれています

 

     

 

臨時に取った席は1階13列29番、右ブロック左から2つ目です

1曲目はバルトーク「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」です この曲はベーラ・バルトーク(1881ー1945)が1936年に作曲、翌1937年1月21日にバーゼルで初演されました 第1楽章「アンダンテ・トランクイッロ」、第2楽章「アレグロ」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

弦楽器の並びは完全対抗配置です 第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれる対抗配置ではなく、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの全てがそれぞれ左右に分かれて向かい合う形です これはバッハ・コレギウム・ジャパンが「マタイ受難曲」を演奏する時に採用する配置で、下手がオーケストラⅠ、上手がオーケストラⅡとなります 中央にはハープ、チェレスタ、ピアノが並びます。コンマスは崔文洙です 個人的には入団以来応援している第2ヴァイオリン奏者の松崎千鶴さんがビルマン聡平の隣でトップを務めているのが嬉しいです

アルミンクの指揮で第1楽章に入ります。弦楽器による静謐な音楽が緊張感を高めます 第2楽章は一転、左右に分かれた弦楽器同士の対話が楽しく聴かれ、要所でチェレスタやピアノや打楽器がアクセントをつけて、演奏を引き締めます 第3楽章では、冒頭の川瀬達也のティンパニの演奏が神憑り的です 第4楽章では、弦楽セクションの疾走感溢れる演奏が堪りません

 

     

 

プログラム後半はオルフ「カルミナ・ブラーナ」です 「カルミナ・ブラーナ」とは「ボイエルンの歌」という意味のラテン語で、1803年にドイツ南部バイエルン選帝侯領にあるベネディクト会のベネディクトボイエルン修道院で発見された詩歌集の写本です カール・オルフ(1895ー1982)はこの詩歌集を基に、1935年から翌36年にかけて世俗カンタータとして作曲、翌1937年6月8日にフランクフルトで初演されました

作品は全25曲が次の5つの部分で構成されています

〇「運命の女神フォルトゥナ、世界の女帝よ」

〇第1部「初めての春」

〇第2部「酒場で」

〇第3部「愛の宮廷」

〇「運命の女神フォルトゥナ、世界の女帝よ」

オケの編成は、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並びに変わります    2階正面P席には二期会合唱団(女声22名,男性18名)が、第3部から児童合唱(20名)が加わります ソリストは舞台上手のコントラバスの後方で歌います

アルミンクの指揮で「おお、フォルトゥナよ」の演奏に入ります 力強いコーラスがカンタータの開始を高らかに歌い上げます その後、アルミンクはオケの音を最弱音に抑えしばらく続けましたが、個人的には「抑えすぎ」のように感じました アルミンクとしては、次の最強音に向けて「落差」を狙ったと思われますが、ちょっと物足りなさを感じました

二期会合唱団のコーラスは健闘していました 最初は男声コーラスに押されていた感のある女声コーラスは後半にいくにしたがって声が良く通るようになりました ソリストではテノールの清水徹太郎とバリトンの晴雅彦が第2部「酒場にて」で、ちょっとお酒が入ったような歌い方で、作品の雰囲気を良く出していました

曲の雰囲気がガラッと変わったのは第3部「愛の宮廷」に入った時です フルートやオーボエに誘われるように児童合唱が入ってきますが、世俗の世界から一気にピュアな世界に入ったような気もちになりました 柏少年少女合唱団と流山少年少女合唱団の皆さん、素晴らしかったです それに輪をかけて素晴らしかったのがソプラノ・ソロによる「とまどう心の天秤の上で」です 今井実希は美しいソプラノで叙情的に歌い上げました 全曲のハイライトと言ってもよいでしょう 今井はその後も、最高音の音域も無理なく歌い上げ、聴衆を魅了しました

アルミンク ✕ 新日本フィルは、集中力を途切れさせることなく、終始緊張感をもって70分を駆け抜けました とくに印象に残ったのは、最初と最後の「運命の女神フォルトゥナ、世界の女帝よ」におけるティンパニの川瀬達也の鮮やかなマレットさばきです

終演後、3人のソリストをはじめ、二期会合唱団、柏少年少女合唱団、流山少年少女合唱団、新日本フィルの楽団員、そして久しぶりに新日本フィルに帰ってきたアルミンクに満場の拍手が送られ、カーテンコールが繰り返されました

終演後、受付にいたパトロネージュ部の登原さんに、「久しぶりにオーボエの古部賢一氏(特任首席)の演奏を聴いたけど、アルミンクが指揮をするということで呼ばれたのかな?」と語りかけると、「そうかも知れませんね」との返事でした 古部氏はアルミンクが音楽監督時代に首席オーボエ奏者として何回演奏したか分からないほど演奏したと思われます 登原さんに「次にお目にかかるのは9月定期ですね」と言うと、「お待ちしております。お気をつけてお帰りください」と言われました。彼女は、私が昨年10月、コンサート帰りに階段から落ちて頭を5針縫う手術をしたことを知っているので、そういう言葉になったのです ということで、階段を降りる時には特に気をつけて帰ってきました

【訂正】(12日10時半)

コンサート会場をすみだトリフォニーホールと書きましたが、サントリーホールの誤りです。夏ボケでした。ここに訂正するとともに、ご指摘いただいた ままはは さんに改めてお礼を申し上げます

 

     

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