人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

秋山和慶+反田恭平+東京交響楽団で「ドラマティック,ラフマニノフ!」を聴く~フェスタサマーミューザ・フィナーレ コンサート

2017年08月12日 08時10分19秒 | 日記

12日(土).わが家に来てから今日で1046日目を迎え,ハンバーガーのマクドナルドが「マックなのか?マクドなのか?おいしさ対決」というキャンペーンをやっていることについてコメントするモコタロです

 

     

      ご主人はその昔マクドナルドの店長として内定してたらしい 違う道を選んだけど 

 

                                           

 

昨日,ミューザ川崎で東京交響楽団「ドラマティック,ラフマニノフ!」公演を聴きました   これは「フェスタサマーミューザ2017」のフィナーレ コンサートです   オール・ラフマニノフ・プログラムで①ピアノ協奏曲第3番ニ短調,②交響曲第2番ホ短調です   ①のピアノ独奏は反田恭平,指揮は秋山和慶です

午後3時からの開演に先立って,同じ会場で午前11時半から公開リハーサルが開かれました   この日は前半,3階センター左寄りの席で聴いてみました.楽員が思い思いの服装で個別に練習しているところに秋山氏が登場します   秋山氏が指揮台に上がり「おはようございます」と挨拶すると,楽員全員が立ち上がり「おはようございます」と一礼します.これは数ある在京オケの中でも東京交響楽団だけの慣習です   過日このブログでご紹介した堀俊輔氏の「こんな僕でも指揮者になれた」(ヤマハ ミュージック メディア)に書かれています   客員指揮者が東響のリハーサルに臨むと,全員が立ち上がって挨拶するので感動するそうです   とても素晴らしい慣習だと思います

リハーサルは演奏曲目順にラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」の第1楽章から開始されました   ソリストの反田恭平が普段着でピアノに向かいます.彼は高校在学中に第81回日本音楽コンクール第1位入賞,2013年にロシアへ留学,2014年にチャイコフスキー記念国立音楽院に首席で入学しています   曲を一通りさらって前半を終了します   15分休憩の間に2階右サイドの席に移り「交響曲第2番」のリハーサルを聴きました   ミューザは どこの席で聴いてもそれなりに満足できる音が聴けます  サントリーホール同様,ヴィンヤード方式のホールはどの席でも聴き易いように設計されているようです   さらに言えば,サントリーホールにないミューザ川崎のメリットは1階席,2階席,P席,3階席へと廊下に出ることなくホール内を自由に移動できることです

 

     

 

さて,本番です.オケの面々が登場し配置に着きます.オケはいつも通り,左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという編成.コンマスは水谷晃です

指揮者・秋山氏とともに反田恭平が登場,ピアノに向かいます.演奏するのはラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」です   ラフマニノフの手は相当大きかったことはよく知られていますが,その利点を生かして彼は超絶技巧曲を書きました.この第3番の協奏曲はその最たる曲で,聴きごたえのある作品です   第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」,第2楽章「間奏曲:アダージョ」,第3楽章「フィナーレ:アラ・ブレーヴェ」の3つの楽章から成ります

この曲を聴いて思い出すのは,1996年公開のオーストラリア映画「シャイン」です   厳格な父親からピアノを仕込まれ,ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」を弾いて国際ピアノ・コンクールで優勝しながら,その後精神に異常をきたした実在のピアニスト,デイヴィッド・ヘルフゴットの半生を描いた映画です   映画の中でメインテーマのように流れていたのはヘルフゴット自身の演奏による第1楽章の第1主題でした

秋山氏のタクトで第1楽章が開始されます   短い序奏の後,ピアノが第1主題を奏でますが,この主題はすべての楽章に登場します   その後,急激にテンポが速くなりピアニストとオケの丁々発止のやり取りが緊張感を高めます   そして中盤に長大なカデンツァが待っています.反田はロシア仕込みのパワフルなピアノで,力強く そして時に抒情的に長大なカデンツァを弾き切りました   第2楽章では冒頭,荒絵理子のオーボエが哀愁を漂わせていました   ラフマニノフの緩徐楽章はロマンティック(ロマン的)です.反田のピアノは自由自在といった感じです   そして,第3楽章では雄大な曲想とともに,迫力あるピアノがビシビシと迫ってきます   1階席の前の方なので余計そのように感じるのだと思いますが,4階席でも十分にこの迫力は伝わっているでしょう   言うまでもなくフィナーレはドラマティックです

反田はアンコールに臨みましたが,モーツアルトの「トルコ行進曲」のメロディーが流れると,客席から笑いが起こりました   ラフマニノフの超絶技巧曲の後に,同じラフマニノフの小品ではなく,正反対の性格を持つモーツアルトを持ってきたことに対する拍子抜けしたような笑いだったように思います   演奏は極めて速めのテンポで軽快に進みましたが,中盤で行進曲のリズムを刻む音が,トルコ軍の太鼓のドンドンという刻みに聴こえました   たかがモーツアルト,たかがトルコ行進曲ではなかったと思います   笑いは取り消しです

 

     

 

プログラム後半はラフマニノフ「交響曲第2番ホ短調」です   よく知られているように,1897年に初演した交響曲第1番は全否定ともいえるほど酷評され,ラフマニノフは自信喪失に陥ってしまったわけですが,その後,専門医の催眠療法によって立ち直り,ピアノ協奏曲第2番を完成させ,彼は復活しました   その波に乗って1906年秋から翌年の春にかけて作曲したのが交響曲第2番でした   この曲は第1楽章「ラルゴーアレグロ・モデラート」,第2楽章「アレグロ・モルト」,第3楽章「アダージョ」,第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4つの楽章から成ります

私がこの曲を好きになったのは,数年前の5月に「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」で聴いたドミトリー・リス指揮ウラル・フィルによる演奏を聴いたのがきっかけでした   スケールの大きなロマンティックな演奏だな,と思いました   それ以来 コンサートでこの曲がプログラムに載っていると聴きに行くようになりました

私が個人的に好きなのは第3楽章「アダージョ」です   まさにロマンティシズムの極致です   この楽章では吉野亜希菜のクラリネットが冴えわたりました   間を空けることなく続けた第4楽章では,冒頭の解放感溢れる舞曲的なメロディーが印象的です   そして,フィナーレはラフマニノフ独特の終わり方でドラマティックです

「フェスタサマーミューザ2017」もこれで終わりです   今年は1階C4列右端の席で12公演聴きました   今回は,コンサート会場としてのミューザ川崎の素晴らしさを見直した年でもありました  今のところ10月14日の「モーツアルト・マチネ」と12月10日の東京交響楽団の「ドン・ジョバン二」をミューザで聴くことが決まっています   東京からはちょっと遠いですが,これ以外に良いコンサートがあれば聴きに行こうと思います

 

     

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プラシド・ドミンゴ主演,ヴェルディ「ナブッコ」を観る~「M ETライブビューイング アンコール2017」

2017年08月11日 07時50分33秒 | 日記

11日(金).わが家に来てから今日で1045日目を迎え,米ワシントン・ポストが9日,トランプ大統領周辺とロシアとの不透明な関係をめぐる疑惑「ロシアゲート」で,米連邦捜査局(FBI)が7月にマナフォート元選対会長の自宅を家宅捜査していたと報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

               北朝鮮からもFBIからも矢が飛んでくる状況にトランプ氏はどうするつもりだろ?

 

                                          

 

昨日,夕食に「豚しゃぶ」「生野菜とサーモンのサラダ」「トマトとミックスビーンズのスープ」を作りました   夏は豚肉がいいですね

 

     

 

                                           

 

昨日,東銀座の東劇でMETライブビューイング,ヴェルディの歌劇『ナブッコ』」を観ました   現在 東劇ではこれまで上映してきた「METライブビューイング」の上映演目の中から傑作オペラを選んで上映中ですが,これはその一つです   今年1月7日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ録画映像です   キャストは,ナブッコ=プラシド・ドミンゴ,アビガイッレ=リュドミラ・モナスティルスカ,フェネ―ナ=ジェイミー・バートン,イズマエーレ=ラッセル・トーマス,ザッカ―リア=ディミトリ・ベロセルスキー.管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・同合唱団,指揮=ジェイムズ・レヴァイン,演出=エライジャ・モシンスキーです

 

     

 

「ナブッコ」はヴェルディの3作目のオペラ(全4幕)で,公私ともにどん底にあったヴェルディが起死回生を果たした記念すべき作品です   物語は『旧約聖書』に登場する『バビロン虜囚』と呼ばれるエピソードに基づいています

舞台は紀元前6世紀のイェルサレム.暴君ナブッコに率いられたバビロニア軍が迫っている.ヘブライ人たちはナブッコの娘フェネ―ナを人質にしていたが,フェネ―ナはイェルサレム王の甥イズマエーレと恋に落ちていた  ナブッコのもう一人の娘アビガイッレもイズマエーレを愛していたが,彼に拒否され,復讐に燃える   ナブッコが攻め入り,ヘブライ人が敬うソロモンの神殿を焼き払う(以上第1幕)

アビガイッレは,自分がナブッコと正妻の間の娘ではなく,正妻と奴隷の一人との間に生まれた子供だという事実が記された文書を読み,衝撃を受ける   一方,ナブッコはフェネ―ナが敵のユダヤ教に改宗したことを知って激怒し,自分こそ神だと宣言するが,神の怒りを買い稲妻に打たれて失神する   そして,ナブッコへの怒りに燃えるアビガイッレに王冠を奪われる(以上第2幕)

アビガイッレは錯乱したナブッコを巧みに言いくるめ,フェネ―ナを含むヘブライ人たちの死刑宣告書に署名させる   バビロニアに連行されたヘブライ人たちは故郷を懐かしむが,祭司長ザッカーリアはバビロニアの崩壊は近いと皆を励ます(以上第3幕)

アビガイッレに幽閉されたナブッコは,フェネ―ナの処刑を知らせる葬送行進曲の調べに我に返り,ユダヤの神に許しを乞う   部下たちが駆けつけ,ナブッコとフェネ―ナを救出する.ナブッコがバビロニアの神ベルの偶像を破壊するよう命じる   アビガイッレは毒を仰ぎ,ザッカーリアは信仰に目覚めたナブッコを讃える(以上第4幕)

 

     

 

私がこのライブ映像を観るのは今年2月に新宿ピカデリーで観て以来これが2度目ですが,何度観ても歌手陣といい,合唱団といい,オーケストラといい,演出といい,全てが超一流です

主役のナブッコを歌ったプラシド・ドミンゴは,かつてルチアーノ・パバロッティ,ホセ・カレーラスとともに「三大テノール」の一人として世界のオペラ界に君臨していましたが,70歳代半ばになった今では,テノール歌手からバリトン歌手に転向して活躍しています   この公演の時すでに75歳でしたが,とてもそうとは思えないしっかりとした美声を披露していました   「わが音楽人生,テノールがダメならバリトンがあるさ」という生き方を体現しています

他の歌手陣もそれぞれが文句の付けようのない素晴らしさですが,今回 改めて聴いて思ったのは,アビガイッレを歌ったウクライナ生まれのリュドミラ・モナスティルスカの抜群の存在感です   ヴェルディ「アイーダ」のタイトルロールでMETデビューを果たしたそうですが,良く分かります   声に力のあるドラマティック・ソプラノですが,彼女が素晴らしいのは演技力も抜群なところです

このオペラは合唱が大活躍します   とくに第3幕でヘブライ人たちが故郷を偲んで歌う「行け,我が想いよ,黄金の翼に乗って」は,イタリアの第2の国家にもなぞらえている愛唱歌ですが,素晴らしい合唱でした

その第3幕でのことです   合唱団が「行け,我が想いよ,黄金の翼に乗って」を歌い終わると,聴衆の拍手とブラボーが止みません   ここでカメラは指揮をしているジェイムズ・レヴァインの顔の表情を映し出します.満場の拍手を受けて喜色満面の顔でオケに向かって何度か頷き両手を胸に当てます.そして,「これはやらざるを得ないか」といった表情を見せてタクトをとります.次の瞬間「行け,我が想いよ,黄金の翼に乗って」のメロディーが流れ,再度合唱団によってこの名曲が歌われました   2016年まで40年以上もMETの音楽監督を務めてきたレヴァイン(現在は名誉音楽監督)は聴衆を心を良く知っています   もちろん聴衆はこのアンコールに大喜びです

この公演は演出・舞台作りの面でも素晴らしいものがありました   オーソドックスながら重厚感のある舞台でした

なお,この公演を観るに当たり,リッカルド・ムーティ指揮によるCDで予習しておきました

 

     

 

METライブビューイング「ナブッコ」は本日と,9月18,19,26日にも上映されます

 

     

 

2017-18シーズンのプログラムが発表されています  大好きなベッリーニ「ノルマ」から始まります.楽しみです

 

     

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小林研一郎+小林美樹+日本フィルでサン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」,マスネ「タイスの瞑想曲」,ベルリオーズ「幻想交響曲」他を聴く~フェスタサマーミューザ

2017年08月10日 07時54分19秒 | 日記

10日(木).わが家に来てから今日で1044日目を迎え,ワシントン・ポスト紙が8日,北朝鮮が大陸間弾道ミサイルに搭載が可能な水準まで核弾頭の小型化に成功しているという米国防総省の分析結果を報じ,トランプ大統領が「これ以上,米国に対する威嚇行為を行わないことが北朝鮮にとっての最善策だ.世界がまだ経験したことがないような炎と怒りを受けることになる」と強く牽制した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       炎のことならコバケンさんに任せておけば? トランプさんは先が読めないし

 

                                           

 

昨日,夕食に「鶏のトマト煮」「生野菜とツナのサラダ」「冷奴」を作りました   「鶏の~」は娘の大好物なので時々作ります

 

     

 

                                           

 

昨日,ミューザ川崎で日本フィル「コバケンの幻奏ー夢・情熱」公演を聴きました   これはフェスタサマーミューザの一環として開かれたコンサートです.プログラムは①ドビュッシー「小組曲」,②サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」,③マスネ「タイスの瞑想曲」,④ベルリオーズ「幻想交響曲」です   ②③のヴァイオリン独奏は小林美樹,指揮は小林研一郎です

午後3時からの本番に先立って,午前11時半から同じ会場で公開リハーサルが開かれたので見学しました   昨年ミューザで知り合いになったSさんに声をかけられ,一緒に4階センターの席で見学することにしました.ステージからは遠いですが,ステージと客席が一望でき,音が渾然一体となって聴こえてくるので,すごく良い席だと思いました

オケのメンバーが配置に着き,コバケンが登場します   最初にプログラム後半の「幻想交響曲」のリハーサルから始めました.しかも第3楽章「野辺の風景」の冒頭からです   ステージ上のコーラングレ(イングリッシュ・ホルン)と3階左側の後方客席に陣取ったオーボエとが会話をするシーンですが,コバケンの指示でオーボエがより遠くの位置に移動しました   その後は第4楽章⇒第5楽章に移り,金管楽器がごそっと抜け,第1楽章⇒第2楽章へと進めました.50分位経ったところで,コバケンが客席に向かって「ここで休憩に入ります.皆さんは休憩してください」とアナウンスしましたが,その後「これからアンコール曲のリハーサルに入りますので」と付け加えたので,外に出ていく聴衆はほとんどいませんでした   指揮者の本音としてはアンコール曲のリハーサルまでは見てほしくないのかも知れません.最後まで通して演奏し終わると,係員が「これから10分間の休憩に入ります」と”正式に”告げました

休憩後はドビュッシーの「小組曲」を通して演奏し,ソリストの小林美樹さんを迎え,サン=サーンスとマスネの2曲をさらいました

 

     

 

さて,本番です   会場はほぼ満席と言って良いでしょう.コバケン人気でしょうか   オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという編成です

1曲目はドビュッシーの初期の作品「小組曲」です   「小舟にて」「行列」「メヌエット」「バレエ」の4曲から成ります

実は,この曲は私のクラシック音楽入門曲の一つです   今から遡ることン十年前のことです.当時 多くの若者はFM放送から音楽番組を「ラジカセ」(ラジオ付きカセットテープレコーダー)に直接録音する「エアチェック」をするのに夢中になっていました(古っ).私の場合は,いろいろなジャンルの曲を聴いた中で,モーツアルト「フルート協奏曲第2番」,ドビュッシー「小組曲」, C C R(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)「トラベリング・バンド」,トワエモア「空よ」の4曲を録音し 繰り返し聴いていました   そして最後に残ったのがモーツアルトで,それ以来クラシックにのめり込んだというわけです   ドビュッシーは「マイ・ベスト4」に残ったという意味で特別な曲なのです

この曲ではフルートの音色が美しい1曲目の「小舟にて」が印象的です  4曲の中では最もドビュッシーらしい曲想ですが,とてもいい演奏でした

指揮台脇にソリストのスペースが空けられ,グリーン系の明るい衣装の小林美樹さんを迎えます   小林さんは2011年の第14回ヴィエ二アフスキー国際ヴァイオリンコンクールで第2位に入賞している実力者です   最初に演奏するのはサン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」です   この曲は,15歳のサラサーテの依頼により作曲した作品です.フランス人のサン=サーンスは隣国スペインの民族舞曲やロマ(ジプシー)の音楽などからヒントを得て作曲に当たっています   小林美樹さんの演奏は15歳の少年のそれではなく,大人の女性の艶やかさが良く出ているように感じました

次いで演奏されたマスネ「タイスの瞑想曲」は,マスネの歌劇の中で演奏される曲ですが,メロディーが美しいことで知られています   小林美樹さんは,たっぷりヴィブラートをかけ,美しく艶やかな演奏を展開しました ヴァイオリンそのものが名器なのではないかと感じましたが,どうなんでしょうか

演奏後「お気づきの方もいらっしゃると思いますが,演奏中にハエが飛んできました   ハエも喜んでくれたと思います(会場・笑)」と語っていましたが,私は音楽に夢中で気が付きませんでした   瞑想曲に誘われてハエが迷走してきたわけですね

アンコールにクライスラーの「レチタティーヴォとスケルツォ」から「スケルツォ」を鮮やかに演奏し,再び大きな拍手を浴びました

 

     

 

休憩後はベルリオーズ「幻想交響曲」です   この曲はベルリオーズがパリ音楽院の学生だった24歳の時に,シェイクスピアの演劇に出演していた女優のハリエッタ・スミッソンを見て一目ぼれし熱烈なラブレターを出したものの,まったく相手にされなかったため,その失恋の苦しい想いを作曲を通じて表現したものです   ストーリーは「感受性豊かな若い芸術家が,実らぬ恋に苦しんだ末,相手の女性を殺害し,裁きを受ける」というものです.第1楽章「夢,情熱」,第2楽章「舞踏会」,第3楽章「野辺の風景」,第4楽章「断頭台への行進」,第5楽章「魔女の夜宴の夢」の5つの楽章から成ります

リハーサルでも力を入れていた第3楽章「野辺の風景」におけるステージ上のコーラングレと3階客席のオーボエとの対話は素晴らしい演奏でした   その後,第4楽章「断頭台への行進」に至る打楽器総動員の迫力はステージの底が抜けるかと思いました   また,”行進”に入ってからのファゴットの演奏の素晴らしさは特筆に値します   また,全体を通してチェロとコントラバスの力強い演奏はオケ全体に迫力を与えていました

いつものようにコバケンは満場の拍手とブラボーを制し,

「今日はありがとうございました.日本フィルはミューザで演奏する機会があまりありません   どうか日本フィルが ミューザに より多く呼んでいただけますように,皆さまのお力添えをお願いいたします

と しっかりPRしたうえで,

「今日は長崎が・・・そういう日(※長崎に原爆が投下された日)ですので,祈りを捧げたいと思います   アンコールにマスネの歌劇『カヴァレリア・ルスティカ―ナ』から『間奏曲』を演奏します

とアナウンスして演奏に入りました   天下のコバケンさんも間違えることもあります   マスネではなくマスカーニの曲です.マスまでは合っていましたが・・・残念賞でした   それにしても,この曲は何度聴いても美しく感動的な曲です   私は「死ぬときはこの曲をかけて欲しい」という人を知っていますが,気持ちはよく分かります

 

     

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

林遺都・市原悦子主演「しゃぼん玉」,妻夫木聡・満島ひかり主演「愚行録」を観る~ギンレイホール

2017年08月09日 07時54分43秒 | 日記

9日(水).わが家に来てから今日で1043日目を迎え,米ケリー首席補佐官がトランプ大統領のツイッターの添削を始めたはずが,大統領が7日,ロシア疑惑を追及する民主党議員を「いんちき詐欺師」と中傷するなど,ツイッターで奔放な投稿を連発した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                「夏休み中でも働く」と言っていたのは ツイッターでつぶやくことだったのか!

 

                                           

 

昨日は夕食に「牛ハラミの焼肉」「生野菜とサーモンのサラダ」「にら玉」「冷奴」を作りました   「にら玉」は10年以上前に近所にあったラーメン屋さんの名物メニューでした   卵にだし汁を入れて混ぜ,ニラを乗せて30秒蒸し焼きにするだけです.凄く美味しいです

 

     

 

                                           

 

昨日,神楽坂のギンレイホールで映画「しゃぼん玉」と「愚行録」の2本立てを観ました

「しゃぼん玉」は,直木賞作家・乃南アサの小説を東信児監督が映画化した作品(2016年・108分)です

親に見捨てられ不良に走り,女性や老人ばかりを狙った通り魔や強盗を繰り返すようになった青年の伊豆見(林遺都)は,逃亡の末に宮崎県の山深い村にたどり着く.バイクから落ちて怪我をしていた老婆スマ(市原悦子)を助けたことから,伊豆見は彼女の家に世話になることになる   最初は金を盗んで逃亡する予定だったが,スマや村人たちの温かさに触れるうちに,人間性を取り戻していく   そんな中,ある事件をきっかけに10年ぶりに村に帰ってきた美和(藤井美菜)と知り合いになるが,自分が犯してきた罪の重さを自覚するようになり,人生をやり直すことを決意する

 

     

 

伊豆見が過去の罪を償う決心をして,スマに「何年かかるか分からないけど,ここに戻ってきたいんだ.ばあちゃん,それまで生きていてくれ」というシーンは感動的です   ラストは,2年後に伊豆見がスマの家を訪ね玄関の中に入っていくシーンですが,「ばあちゃん,ただいま!待ってってくれたんだね」「ぼう,おかえり!2年間よく頑張ったね」という会話が聞こえるようでした

 

                                           

 

「愚行録」は貫井徳郎の小説を石川慶監督が2017年に映画化した作品(120分)です

エリートサラリーマン一家が殺害された   犯人が見つからないまま1年が過ぎた頃,週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は改めて事件を追うことを決意する.一方,田中の妹・光子(満島ひかり)は子供の虐待で逮捕される   殺された一家の関係者へのインタビューを通して,夫婦の複雑な交友関係が明かされるが,光子がなぜか一家の妻・淳子と接点があった   いったい誰がどういう理由で一家を殺害したのか,意外な真相が明かされる

 

     

 

この「愚行録」はいつか本を読みたいと思っていたのですが,映画を観るのが先になってしまいました   登場人物が多く,人間関係が複雑に絡み合っていて,ストーリーもどんでん返しに次ぐどんでん返しなので,追いかけるのが大変でした.この映画では,光子を演じた満島ひかりが存在感抜群でした   彼女は園子温監督「愛のむきだし」での迫真の演技(というより狂気の演技!)を観てから注目していますが,並みの女優ではないな,と思います

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中山七里「月光のスティグマ」を読む~予測不能のどんでん返し小説

2017年08月08日 07時47分47秒 | 日記

8日(火).わが家に来てから今日で1042日目を迎え,江崎鉄麿・沖縄北方相が7日午前,「(国会答弁では)役所の答弁書を朗読する」などとした自身の発言について,「不用意な発言で軽率だった」と内閣府で記者団に語った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     答弁書を読むだけだったら誰でも出来る  こういう人を大馬鹿正直と言うんだろう

 

                                           

 

昨日は夕食に「カレイの煮つけ」「マグロの山掛け」「生野菜とタコのサラダ」「冷奴」を作りました   カレイは千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君が送ってくれたものです   とても美味しかったです   持つべきものは友だちです

 

     

 

                                           

 

中山七里著「月光のスティグマ」(新潮文庫)を読み終わりました   著者の中山七里氏については,このブログでも多くの作品をご紹介してきたのでご存知のことと思いますが,念のために略歴をご紹介します  1961(昭和36)年岐阜県生まれ.「さよならドビュッシー」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し2010年にデビュー   以後「おやすみラフマニノフ」「いつまでもショパン」「さよならドビュッシー 前奏曲」「どこかでベートーヴェン」など音楽シリーズを展開するとともに,「贖罪の奏鳴曲」「ヒポクラテスの誓い」など本格的なミステリーでも話題を呼んでいます

 

     

 

淳平は優衣と麻衣の美人双子姉妹と幼馴染みで,いつも一緒に遊んだ仲だった   しかし,中学生になったある日,淳平は兄・省吾を姉妹のどちらかが刺殺するところを目撃してしまう   しかし,その直後に阪神・淡路大震災が起こり,麻衣は死亡してしまう   その15年後,東京地検特捜検事となった淳平は,クリーンなイメージを売りにしている若手政治家が,慈善団体を隠れ蓑に資金作りをしているのではないかという疑惑を解明するため内偵に入る   ところが,その政治家の秘書として現れたのはすっかり大人の女になった優衣だった   二人は再会を喜びながらも敵対する関係にあることを自覚し,お互いに騙し合いを続けることになる   政治家の指令により優衣はアルジェリアに飛ぶが,淳平は彼女に気付かれないように後を追う.しかし,二人はそこでテロに巻き込まれ人質にされてしまう.二人の運命やいかに

この本のタイトルになっている「スティグマ」とは,社会の多数者が少数者に押し付けたネガティブな刻印のことです   汚名,恥辱,不名誉を意味します.この小説におけるスティグマとは,直接的には麻衣と優衣が幼い時に変質者から右眉の上に付けられた傷を指しています.普段は見えないものの,彼女たちの身に大きな異変が起きた時に傷跡が浮かび上がるのです

どういう理由で姉妹のどちらが兄を刺殺したのかが最後に明かされますが,中山七里の作品は本当に最後の最後までどんでん返しの連続で予測が付きません   小さな森の中の幼い子供たちの”お医者さんごっこ”の話から,最後はアルジェリアでのテロ事件まで物語が飛ぶとは思いもよりませんでした   一気読み必至の小説です.お薦めします

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鈴木秀美+神奈川フィルでメンデルスゾーン「序曲:フィンガルの洞窟」「イタリア」,ハイドン「ロンドン」を聴く~フェスタサマーミューザ

2017年08月07日 07時57分28秒 | 日記

7日(月).わが家に来てから今日で1041日目を迎え,新聞を遠目に見ながら独り言を言っているモコタロです

 

     

       トランプ大統領が夏休みに入ったからネタがなくて困る  米国民にはラッキーだけど

 

                                           

 

昨日,ミューザ川崎で神奈川フィル「シンフォニーで,ヨーロッパ旅行」公演を聴きました   これはフェスタサマーミューザの一環として開かれたコンサートです.プログラムは①メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」,②同「交響曲第4番”イタリア”」,③ハイドン「交響曲第104番”ロンドン”」です   指揮はオーケストラ・リベラ・クラシカ創立者の鈴木秀美です

午後3時からの開演に先立って,2時半から指揮者の鈴木秀美氏によるプレトークがありました   この日演奏する3曲について解説しましたが,印象的だったのは,メンデルスゾーンの「イタリア交響曲」について,鈴木氏の知人が「この曲は,秋から始まる『四季』を表している,つまり第1楽章『秋』,第2楽章『冬』,第3楽章『春』,第4楽章『夏』だ」と言っていたという話です   これは本番で聴いてから改めて判断しようと思います

 

     

 

さて,本番です.オケのメンバーが配置に着きます.弦楽器の並びは中央奥にコントラバスが横に4本並び,前に左から第1ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,第2ヴァイオリンという対向配置をとります   7月23日の井上道義+オーケストラ・アンサンブル金沢と同様,コントラバスの人数が少ないのでこのような配置にしたと思われます   コンマスはウェールズ弦楽四重奏団のヴァイオリニスト 崎谷直人です.ステージに登場してからチューニングの指示を出して着席するまでの彼の仕草・物腰が,同フィルのソロ・コンマス 石田泰尚 によく似ているなと思いました.そっくりです まさか「遺伝性コンマスポーズ症」か

さて,この日のプログラムはメンデルスゾーンとハイドンですが,つながりは1809年です   ハイドン(1732年生まれ)が死去したのが1809年,そしてメンデルスゾーン(1847年没)が生まれたのも1809年でした

1曲目はメンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」です   この曲は,メンデルスゾーンが1829年夏に旅行したスコットランドのへブリディーズ諸島の印象をもとに書かれたものです   鈴木秀美+神奈川フィルのあいさつ代わりの演奏ですが,個人的なことを言えば,神奈川フィルの演奏はほとんど聴く機会がないので,どうもしっくりきません   管楽器は特に優れているといった演奏がありません.全体に溶け込んでいるといえばそうなのかも知れませんが

2曲目はメンデルスゾーン「交響曲第4番”イタリア”」です   この曲はメンデルスゾーンがイタリア旅行中に書かれました.第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」,第2楽章「アンダンテ・コン・モート」,第3楽章「コン・モート・モデラート」,第4楽章「サルタレッロ(プレスト)」の4つの楽章から成ります

この曲では,プレトークで言われていた「四季」を頭の隅の置いて聴きましたが,そう言われてみれば なるほど第1楽章は「天高く馬肥える秋」だな,と思いました   第2楽章は一転,憂いを帯びた曲想で冬ごもりを連想します   第3楽章は優雅でいかにも春めいています   中間部のホルンとファゴットによる曲想は春の到来を告げるファンファーレのようでした   第4楽章はヴィヴァルディの「四季」の「夏」の世界に通じる世界で,「夏の嵐」を感じさせる激しい音楽です   これはイタリアの舞曲「サンタレッロ」様式が導入されていると言われていますが,第4楽章にきてやっとイタリアらしい演奏になりました

 

     

 

プログラム後半はハイドン「交響曲第104番”ロンドン”」です   この曲は交響曲だけでも生涯に108曲を書き「交響曲の父」と呼ばれているヨーゼフ・ハイドンが,ロンドン滞在に当たって作曲したことから「ロンドン」の愛称で知られています   多くの作品にニックネームが付けられていますが,これらはハイドンの付けたものではありません   冷静に考えてみると,100以上も交響曲があると,それぞれにニックネームでも付けないと分別できません.後世の人たちの気持ちがよく分かります   この曲は第1楽章「アダージョ ー アレグロ」,第2楽章「アンダンテ」,第3楽章「メヌエット:アレグロ」,第4楽章「フィナーレ:スピリトーソ」の4つの楽章から成ります

第1楽章が重心の低い堂々たる序奏で開始された時,前半の”普通の”演奏から脱却して一段上のレヴェルに達したな,と思いました   早い話が,これでこの演奏は成功した,とさえ思いました   この楽章は途中から一転,軽快な音楽に転換し,いかにもハイドンらしい明るい曲想になります   フルート,オーボエといった木管楽器が冴えています.第2楽章は,鈴木氏がプログラム掲載のインタビューで述べているように,短い音と休符が多用されていて,まるでハイドンが何かを語り掛けているように聴こえました   第3楽章は力強いメヌエットです.第4楽章はハイドンらしい明快で推進力のあるフィナーレです

前半の演奏と比べると,これが同じオケの演奏だろうか,と思うほど生き生きとした演奏が展開し,「現代に息づくハイドン」を感じさせました   これはもちろん,オケを鼓舞し 持てる力を最大限 引き出した鈴木秀美氏の力によるところが大きいですが,それに応えた神奈川フィルの熱演があってこそです

繰り返されるカーテンコールで呼び戻された鈴木氏は,拍手を制して,

「メンデルスゾーンがバッハを蘇演しなければ,現代のわれわれはバッハの偉大な音楽を聴くことが出来なかったと言えます   そういう意味で 私は,メンデルスゾーンの曲を演奏するたびに,メンデルスゾーンに感謝しつつ,バッハの音楽を紹介したくなります   アンコールにバッハのカンタータ第107番からコラール『主よあなたの栄光を与えてください』を演奏します

とアナウンスし,演奏に入りました 補足すると,メンデルスゾーンは1825年(16歳)に祖母のベラ・ザロモンから,当時ほぼ忘れられていたバッハの「マタイ受難曲」の草稿の写譜を入手し,1829年(20歳)に自らの指揮ベルリン・ジングアカデミーの演奏により蘇演を果たしています   1750年にバッハが没してから初となるこのコンサート(79年後!)は大成功を納め,ドイツを越えて広くヨーロッパ諸国にも輪が広がりました   鈴木氏の指摘のように,この蘇演がなければ今ほどバッハの偉大な曲の数々は知られていなかったかもしれません

最近では,自ら主宰する「オーケストラ・リベラ・クラシカ」の定期演奏会以外に,在京各オーケストラへの客演など,鈴木秀美氏の活躍が目立ちますが,彼の指揮するバッハ,ハイドン,ベートーヴェンは本当に素晴らしいと思います

 

     

 

 

本日 当ブログのトータル訪問者数が80万 I P を超え800,583 I P となりました   普段からご覧いただいている読者の皆さまのお陰と感謝いたします   なお,本日現在のトータル閲覧ページ数は296万7,150 P V,登録読者数は1333人となっております

また,直近1週間(7/30~8/5)の訪問者数は 3,038 I P ,閲覧ページ数は 12,116 P V で,gooブログ全体における週間ランキングは 275万875ブログ中 1015位 となっています.また,本日午前7時現在における「人気ブログランキング:コンサート部門」における順位は 432ブログ中 第57位,「にほんブログ村:コンサート・演奏会感想部門」における順位は 50ブログ中 第1位 となっています

これからも1日も休まず根性で書き続けて参りますので,モコタロともどもよろしくお願いいたします

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「真夏のバッハⅡ~冨田一樹パイプオルガン・リサイタル」を聴く~バッハ・コレギウム・ジャパンの主要メンバーも参加~フェスタサマーミューザ

2017年08月06日 07時52分19秒 | 日記

6日(日).わが家に来てから今日で1040日目を迎え,トランプ米大統領が 過去にオバマ前大統領の休暇取得を繰り返し批判していた一方で,自身が所有するニュージャージー州のゴルフ場で2週間あまりの夏休みに入ったというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      「仕事をしながらの休暇」と弁明してるけど 行き先がゴルフ場じゃ  どうだろね?

 

                                           

 

昨夜,ミューザ川崎で「真夏のバッハⅡ~冨田一樹パイプオルガン・リサイタル」を聴きました   これはフェスタサマーミューザの一環として開かれたコンサートです.プログラムは①J.S.バッハ「シュープラー・コラール集」から「目覚めよと呼ぶ声あり」BWV645,②同「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調」BWV1043,③ヴィヴァルディ/バッハ「オルガン協奏曲ニ短調」BWV596,④バッハ「管弦楽組曲第3番ニ長調」BWV1068より「アリア」(オルガンソロ版),⑤ヴィヴァルディ「四季」より「夏」,⑥バッハ「パッサカリア  ハ短調」BWV582です  

演奏は,パイプオルガン=冨田一樹,バロック・ヴァイオリン=若松夏美,高田あずみ,竹嶋祐子,丸山韶,ヴィオラ=秋葉美佳,チェロ=山本徹,コントラバス=今野京というメンバーで,冨田氏を除き 古楽器のスペシャリスト集団「バッハ・コレギウム・ジャパン」のレギュラーメンバーです

午後6時からの本番に先立って,5時20分からロビーコンサート「オルガン・カフェ」が開かれました   早めに並んだので2列しかない椅子席の2列目ど真ん中に座れました   最初にバッハのコラール「ただ愛する神の摂理にまかせる者」BWV691が冨田氏によりポジティブ・オルガンで演奏されました   そして,冨田氏がマイクを持って挨拶しました

「今日は暑い中,ようこそミューザ川崎にお出でいただきました   私は留学していたドイツのリューベックから つい先週帰国したばかりです   2年間せっかくリューベックにいるのだからということで現地の音楽家の曲を勉強しました   次に演奏するのはいずれもリューベック出身者の曲です.1曲目はジーフェルト『ファンタジア第1番』,2曲目はスヴェーリンク『トッカータSwWV295』です

そして演奏に入りました.ポジティブ・オルガンは小学校にあるオルガンくらいの小さいオルガンですが,「小さなパイプオルガン」で,出てくる音はパイプオルガンの音そのものです

次にバッハ・コレギウム・ジャパンの弦楽奏者(若松夏美,高田あずみ,秋葉美佳,山本徹)を迎え,冨田氏の通奏低音のもとバッハ「管弦楽組曲第3番」BWV1068から第2楽章「アリア」が演奏されました   B.C.Jコンマスの若松夏美さんがメロディー・パートを弾きますが,こんなに近くで若松さんのソロを聴くのは初めてです   古楽器特有のガット弦のくすんだような柔らかい音がロビーを満たします   いつ聴いても若松さんのヴァイオリンは素晴らしいです   理想を言えば,古楽器による演奏は大ホールでなく,この日のように演奏者の近くで聴くのが一番だと思います

 

     

 

さて,本番です.1曲目はJ.S.バッハ「シュープラー・コラール集」から「目覚めよと呼ぶ声あり」BWV645です.この曲はバッハ晩年の1740年代に出版されたオルガン曲集に収録された1曲で,シュープラーとは楽譜出版者の名前です   もともとは1731年の教会カンタータ第140番の第4曲に基づいています   冨田氏が2階正面のパイプオルガンに向かい,演奏に入ります   まずはあいさつ代わりの演奏といったところですが,一時的に敬虔な気持ちになりました   演奏後,冨田氏はP席脇の階段を通り,1階のステージまでストレートに降りました.ここが同じヴィンヤード方式でもサントリーホールとは違うところです

ステージにバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーを迎え,2曲目の「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調」BWV1043の演奏に入ります   バッハはヴァイオリン協奏曲を3曲(「2つの~」の他にBWV1041,BWV1042)作曲しています.この曲は第1楽章「ヴィヴァーチェ」,第2楽章「ラルゴ・マ・ノン・タント」,第3楽章「アレグロ」の3つの楽章から成ります

言うまでもなく,主役の「2つのヴァイオリン」は第1ヴァイオリンの若松夏美さんと第2ヴァイオリンの高田あずみさんが担当します   小気味よいテンポ感といい,楽器間の見事なアンサンブルといい,まさにバッハ・コレギウム・ジャパンの縮図です

3曲目はヴィヴァルディ/バッハ「オルガン協奏曲ニ短調」BWV596です   この曲はヴィヴァルディの合奏協奏曲集「調和の霊感」作品3の11番をもとにバッハがオルガン用に編曲した作品です   冨田氏はステージから階段で2階のパイプオルガン席まで上がります.忙しい人です

この曲は3つの楽章から成りますが,第1楽章はオリジナルのヴィヴァルディらしい曲想ですが,第3楽章になると大バッハそのものといった堂々たる曲想です   それにしても,ヴィヴァルディという作曲家はバッハにまで影響を与えた大音楽家だったのだなあ,とあらためて感じました

 

     

 

後半の1曲目はバッハ「管弦楽組曲第3番ニ長調」BWV1068より「アリア」です  プレ・コンサートで同じ曲を管弦楽版で演奏したので,今度はオルガン・ソロでの演奏です    バッハが作曲した4つの管弦楽組曲のうち第3番は,トランペットやティンパニを加えた華麗な編成が取られている曲です.第1曲「序曲」,第2曲「アリア」,第3曲「ガヴォットⅠ/Ⅱ」,第4曲「ブーレ」,第5曲「ジーグ」から構成されています   第2曲「アリア」は,後の音楽家がヴァイオリンの4本の弦のうち一番低い音域を鳴らす弦(G線)だけで演奏できるように編曲して以来,「G線上のアリア」として親しまれるメロディーになりました   冨田氏はゆったりしたテンポで曲を進めます.弦楽器による演奏とは一味違う趣があります

2曲目はヴィヴァルディ「四季」より「夏」です   「四季」はヴァイオリン協奏曲集「和声とインヴェンションへの試み」に収録された4つのヴァイオリン協奏曲集です   それぞれ「急ー緩ー急」の3つの楽章から成っていますが,楽譜にはソネットという14行の詩が書かれています.「夏」のソネットは「灼熱の太陽に動植物は朦朧とする カッコー,鳩,ゴシキヒワが鳴き出す 急に冬のような北風が吹く 羊飼いは嵐を恐れるが雷鳴と蚊と蜂が襲ってくる 雹が降り穀物を荒らしてしまった」という内容になっています

再び冨田氏がパイプオルガン席から1階のステージに降りてきます.本当に忙しい人です   それと同時に,ステージ左サイドからバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーが入場します   この曲でも若松夏美さんがソロを担当します.ソネットを頭の隅において聴いていると,まさに音楽が表す情景が浮かんでくるようです.自然描写の音楽としてヴィヴァルディの「四季」は超一流と言っても良いでしょう

最後の曲はバッハ「パッサカリア  ハ短調」BWV582です   冒頭に足鍵盤で主題が演奏され,20の変奏曲が繰り広げられます.まさにパイプオルガンによる音の大伽藍が築き上げられます  

冨田氏はこの日のコンサートで,終始 譜めくりを置かず一人でパイプオルガンに向かいました   予算の関係とかいろいろ事情があるのでしょうが,とくに最後のパッサカリアなどは大変そうでした.もちろん冨田氏は何の苦もなさそうに演奏に集中していましたが

白熱の演奏に対する会場いっぱいの拍手に応え,冨田氏はバッハの「来たれ造り主にして聖霊なる神よ」BWV667を演奏,大きな拍手を浴びました

初めてバッハ・コレギウム・ジャパン(B.C. J)のメンバーが「フェスタサマーミューザ」に参加した公演でしたが,これを機会に古楽器の良さが認識され,B.C.Jの定期会員が増えてくれればいいなあと思います

 

     

 

     

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セルゲイ・パラジャーノフ監督「アシク・ケリブ」「スラム砦の伝説」を観る~サン=サーンス「序奏とロンド,カプリチォーソ」も流れる / 直木賞受賞の佐藤正午さんのインタビューを読んで

2017年08月05日 07時57分01秒 | 日記

5日(土).このブログでも何度か作品をご紹介してきた長崎県佐世保市在住の小説家で,今回「月の満ち欠け」で直木賞を受賞された佐藤正午さんのインタビュー記事が昨日の朝日朝刊「文化・文芸欄」に載っていました   それによると,いつも「ポケモンGO」をしながら,佐世保の街を歩いているそうです   小説家=佐藤正午さんらしいな,と思ったのは次の発言です

「小説家が小説家でいるのは,姿を見せず沈黙したまま世間から忘れられて,一人机に向かっている時です   自分に書く意欲があって,おまけに書かせてもらえる場所があるなら,つらいことは何もありません.怖いのは,自分の中に書く意欲がなくなることだけです」「賞に選ばれたのはありがたいことですが,小説家にとって頼りになるのは自分の中の書く意欲だけ   それは賞を取ろうが取るまいが,関係ありません.現にそうやって,売れない作家を30数年続けてきたんですから,これくらい言っても許してもらえるのではないでしょうか

スマホで「ポケモンGO」をやったりしていると,わざとぶつかって正義を振りかざす傍若無人のヤカラが増えているようです   佐藤さんには十分気を付けてピカチュウなど レア・アイテムをゲットしてほしいと思います

ということで,わが家に来てから今日で1039日目を迎え,中国IT大手騰訊のSNS「QQ」上で利用者と交流する人工知能(AI)キャラクター「ベビーQ」が,ユーザーの「共産党万歳」という書き込みに対し「こんなに腐敗して無能な政治のために万歳できるのか」と返答したり,習近平国家首席が掲げる政治スローガン「中国の夢」について,「あなたの『中国の夢』は何?」と尋ねられて「私の『中国の夢』は米国への移民」と答えた というエポックメイキングなニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                 中国の人工知能の技術レヴェルは「ベビーQ」じゃなくて「ヘビー級」じゃね!?

 

                                           

 

昨日の夕食は久しぶりにカレーライスを作りました   あとは生野菜サラダです.この写真では気が付きにくいかも知れませんが,カレーライスはお皿,カレー,ライスでライオンの顔を形取っています   お皿は10数年前にミスタードーナツの景品でもらったものです

 

     

 

                                            

 

昨日,早稲田松竹で1924年グルジア(現・ジョージア)トビリシ生まれのアルメニア人セルゲイ・パラジャーノフ監督の映画「アシク・ケリブ」と「スラム砦の伝説」の2本立てを観ました

「アシク・ケリブ」は,貧しい吟遊詩人と富豪の娘の許されぬ恋を描いたパラジャーノフ監督の遺作(1988年・ソ連映画・74分)です

 

     

 

吟遊詩人アシク・ケリブは,領主の娘マグリ・メヘルと恋に落ちる   しかし,彼女の父親は貧しい若者との結婚を許さなかった.詩人は1000の夜と1000の昼の後に帰ると彼女に約束し旅に出る   多くの困難を乗り越えながら冒険を続ける彼の前に,ある日,白馬に乗った聖人が現れ,故郷で待つ恋人が他の男と結婚させられる危機が迫っていることを告げる   アシク・ケリブは聖人に導かれ故郷に帰る

このストーリーは,ロシアの詩人ミハイル・レールモントフのおとぎ話をもとに映画化した作品ですが,映画を観ていて思ったのは,監督はストーリーなどはどうでもいいのではないか,ということです   場面が次々と切り替わり,カラフルな映像が目に入ってきます   少なくともインターナショナルなスタイルに背を向けて,自国の民族に拘った映画作りが感じられます

全編を通じてシタールのようなマンドリンのような楽器による民族色豊かな音楽が鳴り続けていて,はっきり言って”音楽過多”に感じるのですが,映画の序盤でサン=サーンス「序奏とロンド,カプリチォーソ」の冒頭のメロディーが流れたのには驚きました   アルメニアと言えばハヤトゥリアンを思い浮かべるので,意外でした

 

                                           

 

「スラム砦の伝説」は,度重なる敵の侵入のため多大な戦死者を出していた頃の中世グルジアで,予言に基づいて生きたまま砦に埋められた青年の伝説を,1984年に映画化した作品(ソ連映画・83分)です

戦乱の頃の中世グルジアで,皇帝は民との平等を宣言し,祖国を護る砦の建設に立ち上がった   しかし,トビリシの南門のスラム砦だけは何度建造しても破壊されてしまう.スラム砦建設はグルジア民族の宿願となっていた.予言者に砦再建の方法を尋ねると,「青い眼の美しい若者の人柱を砦の壁に埋めろ」と答える.青年は壁に埋められトビリシの伝説となる

 

     

 

この映画は,「アシク・ケリブ」とは違って,ストーリーこそ大事で,パラジャーノフ監督の生まれ故郷のトビリシの伝説に拘って作り上げた作品です   この映画でも民族色溢れる色彩感が強烈です

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「楽譜をまるごと読み解く本」を読む / 小宮正安「コンスタンツェ・モーツアルト」,中村文則「教団X」,中山七里「月光のスティグマ」,誉田哲也「プラージュ」,安生正「ゼロの激震」を買う

2017年08月04日 07時51分02秒 | 日記

4日(金).わが家に来てから今日で1038日目を迎え,米キニピアック大が2日発表した世論調査によると,トランプ大統領の支持率が過去最低の33%を記録し,不支持率も過去最高の61%となった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

        トランプ大統領と安倍首相の支持率はリンクしている  さすがは似た者同士だ

 

                                          

 

昨日,夕食に「豚の生姜焼き」「トロまるステーキ」「生野菜とサーモンのサラダ」「冷奴」「アボカドの食べるラー油のせ」「卵スープ」を作りました    トロまる(青なす)は,なぜか息子が大学近くのスーパーで安売りのを1個だけ買ってきたので,息子がネットでレシピを調べて私が作ったのもです   塩コショウで味付けして焼いて,醤油とレモンのソースをかけました.ちょっと焦げましたが,とても美味しかったです

 

     

 

     

 

                                             

 

西村理ほか著「楽譜をまるごと読み解く本」(ヤマハ ミュージック メディア)を読み終わりました   これは「1冊でわかるポケット教養シリーズ」の最新本です

 

     

 

この本は,大阪音楽大学准教授の西村理氏はじめ5人の共同執筆による楽譜の解説書です   「音楽は好きだけれど,楽譜が読めなくて」という人のために,音楽そのものではなく,音楽を伝えるための一種のメディアである「楽譜」について,わかり易く解説した入門書と言っても良いでしょう   この本は,次の4つの章から構成されています

第1章「さまざまな楽譜の世界」 

 この章では楽譜の歴史が語られています.楽譜には300年にも及ぶ歴史があるそうですよ

第2章「楽譜の基礎知識」

 この章では音符,音名,休符,調号,拍子,速度記号,装飾音など,楽譜に書かれた様々な記号について解説しています

第3章「楽譜に関する20のQ&A」 

 この章では「楽譜を見ただけで,音楽が聴こえるのか」「楽譜を見ただけで,誰の作品か分かるのか」「楽譜はどうしてイタリア語なのか」「作品番号って何」など,誰もが思っている疑問を取り上げ,回答を示しています

第4章「大作曲家と楽譜」

 この章ではバッハ,モーツアルト,ベートーヴェン,マーラー,ブルックナーなど有名な作曲家の楽譜の特徴を紹介しています

この本は,最初から最後まで通読することが望ましいのですが,楽譜に書かれた記号で分からないものがあった時,目次によって「辞書」的に利用することが出来るので便利です

私がこの本を読んで一番参考になったのは「大作曲家と楽譜ーモーツアルト」です   モーツアルトの音楽的天才を象徴するエピソードの中に,「モーツアルトは頭の中ですでに作曲を完成させ,楽譜には頭にある作品を書くだけ,したがって,彼の自筆譜には書き直しがない」というものがあります.これについて,このコーナーを担当している桐朋学園大学准教授・安田和信氏は

「小規模でシンプルな作品であれば,書き直しの見られない楽譜になっていても不思議ではないでしょう(即興演奏の名手でもあったのですから).しかし,大規模で複雑な作品では,書き直しがないというような『天才神話』は,モーツアルトに関しては間違っているとさえ言えます.実際に,モーツアルトの自筆譜を見ると,書き直しや書き誤りがあることがむしろ普通です   訂正等がほとんど含まれない自筆譜は,ほとんどの場合,浄書譜と思われます.つまり,作曲作業をしている時に書かれた作業用の楽譜ではなく,その作業が修了してある程度完成したあとに,改めて丁寧に書かれた楽譜というわけですから,訂正等が見られないのは当然でしょう

と述べています   モーツアルト好きにとって,小林秀雄著「モオツァルト」(新潮文庫)はバイブルのようなエッセイですが,日本におけるモーツアルトの「天才神話」の醸成はこの作品によるところが大きいのではないかと思います

「楽譜をまるごと読み解く本」の各章の間には「楽譜をめぐる映画」「絵画の中の楽譜」「楽譜をめぐる小説」と題するコラムが掲載されています   たとえば,「楽譜をめぐる映画」では,大作曲家を主人公として取り上げた映画は「未完成交響楽(シューベルト)」(1933年),「楽聖ショパン」(1945年),「マーラー」(1974年),「アマデウス」(1984年),「ラフマニノフ ある愛の調べ」(2007年)などがあるが,楽譜そのものを取り上げた映画はそれ程多くないとして,「敬愛なるベートーヴェン」(2006年),「シャネルとストラヴィンスキー」(2009年),「間諜X27」(1931年)を取り上げています

マレーネ・ディートリヒが主役を務めた「間諜X」だけは観たことがありませんが,楽譜が暗号として用いられているそうです   ディートリヒは女優になる前にワイマール音楽大学でヴァイオリンを学んでいたそうで,映画で楽譜を書くシーンでは,とても慣れている様子がうかがえるそうです   意外な才能の持ち主だったのですね   この本はそんなことも教えてくれます

 

                                           

 

いつものことですが,まだ以前買った本を全部読み終わらないのに本を5冊買っちまいました   1冊目は小宮正安著「コンスタンツェ・モーツアルト 『悪妻』伝説の虚実」(講談社選書メチエ)です   小宮氏の著作では,当ブログで「モーツアルトを『造った』男ーケッヘルと同時代のウィーン」(講談社現代新書)をご紹介しました

 

     

 

2冊目は中村文則著「教団X」(集英社文庫)です   以前から文庫化するのを待っていた作品です

 

     

 

3冊目は中山七里著「月光のスティグマ」(新潮文庫)です   中山七里の作品は当ブログの常連です  

 

     

 

4冊目は誉田哲也著「プラージュ」(幻冬舎文庫)です  誉田哲也の作品も文庫化するとすぐに買い求めている当ブログの常連です

 

     

 

5冊目は安生正著「ゼロの激震」(宝島社文庫)です   安住正の作品では「生存者ゼロ」(宝島社文庫)をご紹介しました

 

     

 

いずれも,前に買った本でまだご紹介していない本に続いて,順次ご紹介していきます

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リチャード・パンチャス+サラ・チャン+アジアユースオーケストラでシベリウス「ヴァイオリン協奏曲」,ベートーヴェン「交響曲第7番」他を聴く / 東京オペラシティ文化財団に場内アナウンスで要望を出す

2017年08月03日 07時58分39秒 | 日記

3日(木).わが家に来てから今日で1037日目を迎え,ティラーソン米国務長官が1日 国務省で会見し,「米国は北朝鮮の敵でも脅威でもない」と語り,北朝鮮の金正恩体制の崩壊や転覆を目指さない姿勢を強調した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                トランプ政権の動向を見ると 北朝鮮の体制崩壊以前に米国が自滅しそうじゃね?

 

                                           

 

昨日,夕食に千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君が送ってくれたカマスを塩焼きにし,イカをバター焼きにしました   あとは「生野菜とツナのサラダ」「マグロの山掛け」です   持つべきものは友だちです

 

     

 

                                           

 

1日(火)午後3時からミューザ川崎での読売日響のコンサートに続き,午後7時から東京オペラシティコンサートホールで「アジアユースオーケストラ日本公演」(第2日目)を聴きました   プログラムは①リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」,②シベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」,③ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」です   ②のヴァイオリン独奏はサラ・チャン,指揮はAYO芸術監督リチャード・パンチャスです

アジアユースオーケストラ(AYO)は,アジア諸国で厳しいオーディションによって選ばれた109名の若手音楽家から構成される臨時編成オーケストラです   毎年夏の6週間,リハーサル・キャンプと演奏ツアーを行っています.今年は「香港特別行政区設立20周年」を記念してアジア諸国に限らずアメリカ,ヨーロッパも含めたワールド・ツアーを組んでいます 

指揮者のリチャード・パンチャスは,1987年にユーディ・メニューインとともにAYOを設立し,1990年のツアーコンサート以来 芸術監督兼指揮者を務めています

 

     

 

自席は前日と同じ1階5列11番,センターブロック前から3列目の左通路側席です.会場は前日よりも入っているように思います

109人のメンバーがステージ狭しと入場し配置に着きます   コントラバスとチェロを左サイドに置き ヴァイオリン・セクションを左右に分ける対向配置をとります   前日の公演で入場しにくかったのか,コンマスと指揮者は舞台右サイドから入ります.コンマスは前日と同じ女性です.この時点では彼女を含めた全員の国籍は分かりません

指揮者のパンチャスが登場,指揮台に上がります.例年彼は白の上下の衣装ですが,この日は黒でした   彼のタクトで1曲目 リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」が開始されます   分厚い弦楽器の風圧が押し寄せてきます   エネルギーに満ちた迫力に圧倒されます.ホルン,オーボエが素晴らしい   弦は言うまでもありません

「ドン・ファン」は作曲者24歳の時 1888年に完成し,1889年11月11日にワイマールの宮廷でハンス・フォン・ビューローの指揮により初演されました   スペインの稀代の好色家で貴族のドン・ファンの一代記を音楽で表したものです   モーツアルトは同じ主人公を歌劇「ドン・ジョバンニ」として音楽化したことはご存知の通りです

2曲目はシベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」です   指揮台の脇に独奏ヴァイオリンのためのスペースが空けられ準備が整います.ソリストのサラ・チャンがグリーン系のラメ入り衣装で颯爽と登場します   その堂々たる態度はまるでヴァイオリンの女王さながらです   サラ・チャンは1980年アメリカ・フィラデルフィア生まれ.8歳でニューヨーク交響楽団とデビューを果たして以来,世界的に活躍しています

この曲は1903年に作曲され,1904年2月にヘルシンキで初演されましたが,その後,1905年に訂正完成されています   第1楽章「アレグロ・モデラート」,第2楽章「アダージョ・ディ・モルト」,第3楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の3つの楽章から成ります

パンチャスのタクトで第1楽章が開始されます   サラ・チャンのヴァイオリンは最弱音から最強音までのレンジが広く,演奏がダイナミックです   しかも音が抜群に美しい   それもそのはず,彼女の使用楽器は1717年製グァルネリ・デル・ジェスです   第2楽章では冒頭のクラリネットとオーボエが印象深い演奏を展開しました   サラ・チャンは抒情性に満ちた曲想を情熱を込めて演奏します   そして間断なく演奏される第3楽章では,ティンパニの小気味の良いリズムに導かれて力強い演奏を展開します   全体を通してパンシャス+AYOは良くソリストを盛り立てていました

 

     

 

休憩時間にロビーに出ると,CD販売コーナーに人だかりができており,近くに次のような掲示が出ていました

 

     

 

アナウンスでは確か「休憩時間は15分」と言っていました.いくら何でも15分でサイン会は時間不足だろう  と思いました.案の定,サラ・チャンがロビーに出てくるまで5分くらい過ぎていました   それでも何とかサイン会はチャンと終了したようです

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」です   この曲は1813年12月8日にベートーヴェン自らの指揮で初演されました.第1楽章「ポコ・ソステヌート・ヴィヴァーチェ」,第2楽章「アレグレット」,第3楽章「プレスト」,第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の4つの楽章から成ります

パンチャスの指揮で第1楽章が ゆったりしたテンポで開始されます   この曲でもオーボエ,ホルンが素晴らしく,またフルートも冴えています   テレビドラマ「のだめカンタービレ」のテーマ曲としても使われたリズム中心の曲想は,人々の興奮を呼び起こします   第2楽章では分厚い弦楽器が良く歌います   第3楽章のスケルツォ風の速いテンポの曲を経て,間を置かず第4楽章に突入します.何度かこのブログで書きましたが,私はこの4楽章終盤のチェロとコントラバスによる”通奏低音”的な音楽が大好きです   ヴァイオリン・セクションや管楽器がメイン・メロディーを奏でている間,それを底辺で支える頼もしい低弦楽器の活躍がたまりません   とくに今回は,チェロとコントラバスが自席に近い左サイドに陣取っているので,迫力のある重低音が押し寄せてきて大満足でした.若さ溢れる迫力満点の演奏でした

アンコールは例年決まってエルガーの「エニグマ変奏曲」の中の「ニムロッド」なので,今回もそうだろうと予想していましたが,な,なんとロッシーニの歌劇「ウィリアム・テル」の序曲(スイス軍の行進)でした   考えてみれば,例年は東京公演が最後なので,別れを惜しむような曲想の「ニムロッド」が選ばれていたわけで,今回は,これからアメリカ,ヨーロッパに向けてコンサート・ツアーに打って出ていくので,勇ましい曲を選んだのだと思います   最後のチューバのひと吹きが勇ましく,会場の爆笑を誘っていました

最後にパンチャスは,例年恒例となったイベントとして,109名のメンバーを出身国別に紹介しました   パンチャスが国名を告げると,その国の出身者がその場で立ち上がります.香港から順に紹介されていきます.一番多いのは台湾の31人です.中国と日本は共に16人です   ビックリしたのは,コンマスの女性が日本人だったことです   第2ヴァイオリンのトップも日本人でした.メンバーは皆 日本人みたいな顔をしているので見分けが付かないのです   今回は日本公演なので,あえて日本人を据えたのかも知れませんが,正直言って嬉しかったです   これから彼らは日本を離れ,約1か月 アメリカ,そしてヨーロッパ諸国にワールド・ツアーに出ることになります   健康に留意して,今回日本公演で示してくれたように,世界各地の聴衆に感動を与えて欲しいと思います

 

     

 

                                           

 

今回のAYOのコンサートの時もそうでしたが,会場の「東京オペラシティコンサートホール」の場内アナウンスで気になることがありました   どこのコンサート会場でも,開演前と休憩時間には,ケータイ電話の電源を切るようにという場内アナウンスを流しますが,東京オペラシティコンサートホールだけが,休憩時に限って「開演中にケータイ電話の着信音が鳴りますと,ほかのお客様のご迷惑になることがあります」とアナウンスしています.これだと「それでは,他のお客に迷惑にならないこともあるのか?」という疑問が生じます   開演中のケータイ着信音がいかに迷惑か,何度も同じような迷惑を被っている立場から言えば「ご迷惑になることもあります」なんて甘っちょろい言い方です   ここは「ご迷惑になります.電源をお切りください」と断言すべきです

概ね上記のような趣旨を手紙に書いて今朝,新宿区の 公益財団法人 東京オペラシティ文化財団 あて郵送しました   さて,どういう反応があるでしょうか? 願わくば,その辺のクレーマーと間違わられず,まっとうに対応して頂きたいと思っています   何らかの反応があったらこのブログでご紹介します

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする