人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

坂入健司郎 ✕ 北村陽 ✕ 日本フィルでドヴォルザーク「チェロ協奏曲」&「交響曲第8番」を聴く ~ 都民芸術フェスティバル / 「光熱費高騰 苦境の博物館」~ 朝日の記事から

2023年02月07日 07時04分38秒 | 日記

7日(火)。昨日の朝日新聞朝刊文化面に「光熱費高騰  苦境の博物館 ~ 文化財  24時間の温湿度管理が必要」という見出しの記事が載っていました リード記事は次のように書いています

「ロシアのウクライナ侵攻などによる燃料価格の高騰は、博物館の運営にも影を落としている 文化財の保存には適切な温度や湿度の管理が必要で、空調を止めるわけにはいかないからだ 光熱費が例年の倍以上に膨れ上がっている施設もあり、文化財の修理や購入にも影響しているという

記事を東京国立博物館(東博)のケースを中心に超訳すると次の通りです

「昨年、創立150年を迎えた東京・上野の東京国立博物館(東博)は、本館や東洋館など6館の展示施設を持ち約12万件の文化財を所蔵する、国内最大級の文化施設だ 昨年12月まで開いた特別展では、所蔵する国宝89件を一挙に公開し、活況だった だが、光熱費の問題が現場を悩ませている 東博によると、年間の光熱費は例年約2億円で予算全体の7%ほどを占める。しかし、今年度は倍以上の約4億5千万円に膨らむ見込みといい、各部署で支出を減らすなどして対応している 担当者は、『東博は展示施設が多い上、貴重な文化財を守る収蔵庫では原則24時間、空調が稼働している。仏画や書跡など古い紙や布は特に脆弱で、退色や腐食を防ぐためにも徹底した温度と湿度管理が必要』と話す 東博などを運営する独立行政法人国立文化財機構は、文化庁を通じ、光熱費の高騰分を補充するための予算措置を要望したが、認められなかった 燃料価格の高騰が今後も続く場合、東博では2023年度の光熱費が7臆円まで膨らむ可能性もあるとみている 東博は、一方で自ら収入を増やすための取り組みにも力を入れるという 『より多くの人に入場してもらえるよう企画を工夫するほか、文化財保護の大切さを広く伝えて会員制度や寄付制度にもつなげていきたい』とする 博物館や文化財行政を担う永岡桂子文部科学相は1月27日の会見で、博物館の光熱費は『設置者の管理運営の経費』で『それぞれの館の経営努力で適切な対応がなされるもの』だとした。政府が補正予算で電気・ガス価格の激変緩和の事業を計上しているとした上で、『文科省としても引き続き注視していきたい』と述べるにとどめた 文化庁の担当者は『光熱費高騰で社会全体が苦しい中、博物館の支援をしっかりするべきだなどとは言いにくい』と漏らす」

記事を読んでまず驚いたのは、東博だけで年間2臆円もの光熱費がかかっていることです それが今年度は倍以上の4億5千万円になり、23年度は7臆円になるかもしれないという話です 日本国民の共通財産とも言うべき文化財を適正に管理することは国の重要な役割で、光熱費は管理上の最低限の必要経費です 光熱費高騰分をカバーするためには、入場料金を値上げする方策も考えられますが、あまり金額を高くすると入場者の減少に繋がり、逆に収益を圧迫することになりかねません 博物館側の自助努力とともに、政府の補正予算を期待したいところです

ということで、わが家に来てから今日で2948日目を迎え、ドローンをぶつけて風船を割るという単純なルールの新しいスポーツが徐々に広がりつつある  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     米軍が米国領海上空で 中国の気球を撃墜したのも このスポーツのノリだったのかな

 

         

 

昨日の夕食は「サーロインステーキ」にしました 今日から 娘が休暇を取って北海道旅行に出かけるので、旅行前夜の晩餐として用意しました

 

     

 

         

 

昨夜、東京芸術劇場コンサートホールで「2023都民芸術フェスティバル」参加公演「日本フィル」のコンサートを聴きました プログラムは①ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」、②同「交響曲第8番 ト長調 作品88」です 演奏は①のチェロ独奏=北村陽、指揮=坂入健司郎です

坂入健司郎は慶応義塾大学経済学部卒業。指揮法を井上道義、小林研一郎、三河正典、山本七雄各氏に、チェロを望月直哉氏に師事。2008年から東京ユヴェントス・フィルを主宰、2016年に川崎室内管弦楽団音楽監督に就任。2021年以降、読響、日本フィル、新日本フィル、神奈川フィルをはじめ全国各地のオーケストラと共演しています

 

     

 

自席は1階H列12番、左ブロック右通路側です

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成です コンマスは扇谷泰明、その隣はアシスタント・コンマスの千葉清香です 残念ながら、私は日本フィルの会員ではないので、その他のメンバーは一人も分かりません

1曲目はドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1894年から翌95年にかけて作曲、1896年3月にロンドンで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります

チェロ独奏の北村陽は2004年生まれ。2022年に第18回ハチャトゥリアン国際コンクール第2位入賞。2017年に第10回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール優勝 現在、特待生として桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)3年に在籍しています

坂入の指揮で第1楽章が開始されます オケの前奏に導かれて北村のソロが力強く入ってきます 北村の演奏は、多くの中堅やベテランのチェリストのように体を大きく動かすことはしません。極めて自然体でクールに演奏します 「余計なパフォーマンスはいらない。音で評価してくれ」とでも言いたげです 彼の演奏はクールではあるが訴求力があります フルート、オーボエといった木管楽器群が素晴らしい演奏でソリストに華を添えます 第2楽章では独奏チェロが良く歌います 第3楽章では、北村は力強くも軽快な演奏を繰り広げ、演奏の難しさを表面に出しません 実に見事な演奏でした。坂入 ✕ 日本フィルはしっかりとソリストを支えました

 

     

 

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です この曲は1889年から90年にかけて作曲され、1890年2月に作曲者自身の指揮によりプラハで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ ~ モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

坂入の指揮で第1楽章が開始されます 坂入はメリハリのある指揮でオケを統率します この曲でも木管楽器群が素晴らしい演奏を展開します 第2楽章では弦楽器のアンサンブルが美しく響きました 中盤でのトランペットの演奏は爽快そのものでした 第3楽章はこの曲の白眉です。ドヴォルザーク特有の哀愁に満ちたメロディーが弦楽器群を中心に繰り広げられます 中盤でのオーボエの演奏が素晴らしい 間を置くことなく続けられた第4楽章では、冒頭のトランペットが爽快でした フルートが大活躍です。中盤ではヴィオラが渾身の演奏で ものすごい音を出していました    このオケ、弦楽セクションに底力があるようです    坂入 ✕ 日本フィルはアグレッシブな演奏で華やかなフィナーレを飾りました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されます 何度目かのカーテンコールで坂入が指揮台に上り、アンコールの態勢に入ります すると静まった会場に2階席から歌謡曲のようなケータイ着信メロディーが響き渡りました 坂入はそれに合わせて踊るような仕草を見せた後、会場に向き直り、「アンコールにドヴォルザークのスラブ舞曲第2番をお送りします」とアナウンスして演奏に入りました おそらく、2階席の当該者は、まさかアンコールがあるとは思いもせず、演奏が終わったと判断してケータイの電源を入れたら、ちょうど電話がかかってきたのでしょう その音を感知した坂入は、その音楽に合わせて踊る仕草を見せ、さらにアンコール曲名をアナウンスすることによって、険悪な雰囲気になるのを事前に回避したのだと思います 私は着信メロディーが「笑点」のテーマ音楽でなくてよかった と思うと同時に、思わぬアクシデントに対し、機転を利かせてその場の雰囲気を和らげてアンコール演奏まで持って行った坂入健司郎のスマートな対応に心の底から感心しました こういうことは、やろうと思ってもなかなかできるものではありません 私が坂入の指揮で聴くのは今回で2度目ですが、一気に彼の評価が上がりました アンコールの「スラブ舞曲第2番」は哀愁に満ちたメロディーで、メロディーメーカーとしてのドヴォルザークの能力を再認識しました

 

     


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4 コメント

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Unknown (お気楽オヤジの備忘録)
2023-02-07 09:24:12
でしたよねえ。着メロでしたか、あれ(笑)。
こういう見事なコンサートがあるから、コンサート通いはやめられませんね。
私もこのコンサート評書きました。
よかったら「お気楽オヤジの備忘録」で検索してください。
坂入健司郎 (tora)
2023-02-07 09:49:26
お気軽オヤジの忘備録さん コメントありがとうございました。
ブログ拝見しました。確かに音大出身でない坂上氏の場合は、もっと暴れてもいいかもしれませんね。でも、楽しみな指揮者の一人には違いありません。
これからもお気軽にコメントをお寄せください
Unknown (reila)
2023-02-07 10:01:43
Q列センターで聴いていました。
都民フェスティバルではチェロ協奏曲は良く演奏され、宮田大さんの演奏で何度も聴いてますが、
北村君はまだ若いのに堂々とした演奏でしたね。
交響曲8番も大好きなのに、アンコール曲がスラブ舞曲集の中でも1番好きな72-2だったので、
大満足でウキウキ気分で帰りました。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲 (tora)
2023-02-07 10:22:56
reilaさん コメントありがとうございました。
たしかにドヴォルザークのチェロ協奏曲はこのフェスティバルでもよく演奏されます。誰が弾いてもそれなりにサマになる作品ということでは「名曲」なのだと思います。
それにつけても北村陽君の演奏は素晴らしかったですね。年齢を感じさせませんでした。
また気軽にコメントをお寄せくださると嬉しいです

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