人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

フェスタサマーミューザ「オープニングコンサート」を聴く~ノット✕東響✕大西順子トリオによるガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」、バーンスタイン「ウエスト・サイド・ストーリー」他

2018年07月22日 07時26分48秒 | 日記

22日(日)。わが家に来てから今日で1389日目を迎え、トランプ米大統領は「中国や欧州連合が金利を低くして為替を操作している」などとツイートした一方、利上げを進める米連邦準備制度理事会に対しても「金融引き締めをすれば全成果を損なう」とあからさまに批判した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

         選挙で勝つためなら手段を選ばない大統領だから いくら嫌われても何でもやる

 

         

 

今年もミューザ川崎で開かれる「ミューザの暑い夏=フェスタサマーミューザ」の季節がやってきました 猛暑の今夏、私は8月12日までの間に14公演聴きます

昨日は 午後3時の「オープニングコンサート」の開演に先立って 1時55分からコンサートホール前の「歓喜の広場」で、ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団金管・打楽器アンサンブルによって三澤慶作曲「音楽のまちファンファーレ」が華やかな中にも力強く演奏されました

 

     

     

 

午後3時からの「オープニングコンサート」のプログラムは①ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」、②リーバーマン「ジャズ・バンドと管弦楽のための協奏曲」、③ナンカロウ「スタディ第1番、第7番」、④バーンスタイン「ウエスト・サイド・ストーリー」の「シンフォニック・ダンス」です 出演は、ジャズ・トリオ=大西順子(ピアノ)、井上陽介(ベース)、高橋信之介(ドラムス)、ジャズ・バンド=中川英二郎(トロンボーン)、本田雅人(サックス)ほか、管弦楽=東京交響楽団、指揮=ジョナサン・ノットです

 

     

 

例年のことですが、オープニングコンサートということでか、会場は9割以上埋まっている感じです。よく入りました

オケはいつものノット・シフト(左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置)を採ります それに加え、センターのグランドピアノには大西順子が、コンマス近くにはドラムスの髙橋信之介とダブルベースの井上陽介がスタンバイします。コンマスは水谷晃です

1曲目はガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」です この曲はジョージ・ガーシュイン(1898ー1937)が1924年に作曲した曲で、シンフォニック・ジャズの始まりを告げる作品と言われています

ノットの合図で、エマニュエル・ヌヴ―のクラリネットが独特のグリッサンドで音階を駆け上がり 曲の開始を告げます 次いでピアノ・ソロが入りドラムスとベースとによるトリオの演奏に移ります。大西順子トリオの演奏はどこまでが楽譜通りで どこからがインプロヴィゼーション(即興)なのかが分かりませんが、ほとんど即興的に弾いているかのような印象を受けます こんなラプソディ・イン・ブルーは聴いたことがありません。しかも半端なく長い演奏です。クラシック流に言えば、初っ端からカデンツァが延々と続くといった感じです 途中、ノット指揮東響の演奏に移りますが、再びトリオによる演奏に移ります とくに大西の自由自在のピアノが凄い この機に及んで ノットと大西とどちらがヘゲモニーを握るのかといった 手に汗握る駆け引きが展開しますが、どちらかと言えば、ノットがゲストの大西トリオを立てている印象です ここで ピアノが、ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」から採られ、ジョン・コルトレーンなどがカバーしているジャズのスタンダードナンバー「マイ・フェイバリット・シングス」の一節を演奏したので 思わずニヤリとしました   おぬし、なかなかやるね 全体的にはオケとトリオの棲み分けが明確なのが良かったのではないかと思います ノットも大西トリオもお互いにリスペクトしながら演奏を楽しんでいる様子が窺えました この曲は通常16分程度の演奏時間ですが、この演奏は2倍かかりました しかし、その内容は2倍に薄まるのではなく2倍以上楽しむことができました 私がこれまで聴いてきた「ラプソディ・イン・ブルー」の中で一番楽しめた演奏でした

2強目はリーバーマンの「ジャズ・バンドと管弦楽のための協奏曲」です この曲はチューリッヒ出身のロルフ・リーバーマン(1910‐99)が1954年に作曲した作品で、ジャズバンドとオーケストラが共演する曲です 第1楽章「イントロダクション」、第2楽章「ジャンプ」、第3楽章「スケルツォⅠ」、第4楽章「ブルース」、第5楽章「スケルツォⅡ」、第6楽章「ブギウギ」、第7楽章「間奏曲」、第8楽章「マンボ」の8楽章から成ります

この曲では、鈴木正則、山下真一、二井田ひとみ、吉澤達彦(以上トランペット)、中川英二郎、半田信英、笹栗良太(以上トロンボーン)、野々下興一(バス・トロンボーン)、本田雅人、真野崚麿(アルト・サックス)、庵原良司、三木俊雄(以上テナー・サックス)、鈴木圭(バリトン・サックス)から構成されるジャズ・バンドが加わります

この曲では、大西トリオが中心となる第2楽章「ジャンプ」、サックスの演奏が光る第4楽章「ブルース」、またまた大西トリオが活躍する第6楽章「ブギウギ」、そしてジャズ・バンドが大活躍する第8楽章「マンボ」が強く印象に残りました 大西トリオにしてもジャズ・バンドのメンバーにしても、さすがはジャズのプロだと思わせる大迫力でした


     


休憩時間に、いつも「フェスタサマーミューザ」と「都民芸術フェスティバル」でお会いするS氏に再会、彼は3階席、私は2階席だということを確かめ合いました お互いにオーケストラ・セット券を買っているので最低でも11回は同じ席で聴くことになります

プログラム後半の最初はナンカロウの「スタディ第1番、第7番」です コンロン・ナンカロウ(1912‐97)はアメリカ生まれの作曲家で、当初ジャズ・バンドでトランペットを吹いていました。彼は人間では演奏できない複雑なリズムを自動ピアノにより拡大しようと試み、そのために「スタディ(習作)」と呼ばれる作品を50曲以上も書きました。この日演奏されるのはその中の2曲です

オケは前半と変わり総勢40人程度の小編成になります ノットのタクトで演奏が開始されますが、両曲とも、2つないし3つのメロディーが同時進行でズレながら進むような感じの曲想で、演奏する方は複雑極まりなかったと思います 聴いていて面白いと言えば面白い曲でした。しかし、全体の印象はナンカロウと言うよりもナンカナァという感じでした

オーケストラが拡大してフル・オーケストラ態勢になります 最後の曲は 今年生誕100年を迎えるバーンスタインの「ウエスト・サイド・ストーリー」から主要な曲を集め 1960年に編纂した「シンフォニック・ダンス」です レナード・バーンスタイン(1918‐90)は優れた指揮者(ニューヨーク・フィル音楽監督)であるとともに、優れた教育者(テレビ「ヤング・ピープルズ・コンサート」を主宰)で、さらに優れた作曲家でした その最たる作品が「ウエスト・サイド・ストーリー」です

「シンフォニック・ダンス」は①プロローグ ②サムウェア ③スケルツォ ④マンボ ⑤チャチャ ⑥出会いの場面~クール~フーガ ⑦ランブル ⑧フィナーレから成りますが、全曲は切れ目なく演奏されます

ノットのタクトで演奏に入ります。プロローグの冒頭からインパクトのある演奏が展開します しばらくすると、オケのメンバー全員で指を鳴らす箇所がありますが、バッチリ合いました 弦楽器奏者は右手に弓を持っているので、左手の指だけを鳴らすことになりますが、フル・オーケストラともなるとそれなりに大きな音が出るものだと感心します 曲の中盤「マンボ」では、チェロ全員が立ち上がって楽器を一回転させるシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ並みの派手なパフォーマンスを期待したのですが、ノットはそこまでは踏み切りませんでした。Not to do so . その代わり、全員で「マンボ」と叫びました

ノット✕東響はロマン派までの”純クラシック”とは違い、真面目に取り組みながらも 楽しんで演奏しているように見えました それが大迫力のサウンドを生み出していたように思います

かくして、初めてジャズとの融合を目指した「フェスタサマーミューザ」のオープニングコンサートは、会場いっぱいの拍手とブラボーの中、キャッチフレーズのごとく「奏クール!」に幕を閉じました

 

     

     

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