人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでヴェルディ「ファルスタッフ」を観る~ファルスタッフのカンディア、フォードのオリヴィエーリ、アリーチェのエヴァ・メイ、クイックリー夫人のシュコーザ、アンネッタの幸田浩子にブラボー!

2018年12月07日 00時50分57秒 | 日記

7日(金)。昨日午後、料理を作ったので写真をブログにアップするためブログのアドレスに送信したのですが、「圏外」の表示が出て、何度やっても「送信失敗」になってしまいました 19時半過ぎのオペラの休憩時間に再度トライしたらやっと「送信完了」になりました 自分一人のスマホが壊れたのかと思い非常に焦りました

ということで、わが家に来てから今日で1526日目を迎え、ソフトバンクが全国で提供する携帯電話サービスで、6日午後1時39分以降に大規模な通信障害が発生し、音声通話とデータ通信がつながりにくくなった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       ソフトバンクの株価が下がるのは仕方ないけど 会社の株も下がってしまうなぁ

 

         

 

昨日、夕食に「鶏のトマト煮」と「ホウレン草のお浸し」を作りました。「鶏の~」は cookpad のレシピですが、娘が大好物なので時々作ります

 

     

 

         

 

昨夕、初台の新国立劇場「オペラパレス」でヴェルディ「ファルスタッフ」を観ました キャストは、ファルスタッフ=ロベルト・デ・カンディア、フォード=マッティア・オリヴィエ―リ、フェントン=村上公太、医師カイウス=青地英幸、バルドルフィ=糸賀修平、ピストーラ=妻屋秀和、フォード夫人アリーチェ=エヴァ・メイ、ナンネッタ=幸田浩子、クリックリー夫人=エンケレイダ・シュコーザ、ページ夫人メグ=鳥木弥生。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=カルロ・リッツィ、演出=ジョナサン・ミラーです

 

     

 

太鼓腹が自慢の老騎士ファルスタッフは、人妻のアリーチェとメグが自分に気があると勘違いし、金銭目当てに内容が同文のラブレターを二人に出す まったく同文と気付いた二人は、日頃からファルスタッフに恨みを持つ従者バルドルフォとピストーラ、そしてファルスタッフを心良く思っていないフォードと医師カイウスを巻き込んで、皆で彼を懲らしめることにする そして、ファルスタッフをおびき出して散々な目に合わせる その騒動の合い間にフォードの娘ナンネッタと恋人フェントンの結婚もまとまり、ファルスタッフが「この世はすべて冗談」と歌い出し、それを受けて全員でフーガを歌って大団円を迎える

 

     

 

私が新国立オペラで「ファルスタッフ」を観るのは、2004年、2007年、2015年に次いで今回が4度目ですが、演出はいずれもジョナサン・ミラーです 彼の演出の特徴は、17世紀オランダの絵画にインスピレーションを得ており、登場人物の衣装はまるでフェルメールの絵画に登場する人々のようです

ジュゼッペ・ヴェルディ(1813‐1901)と言えば、「リゴレット」「イル・トロヴァトーレ」「椿姫」「アイーダ」等の名作オペラに代表されるように「悲劇」を思い浮かべます そのヴェルディがシェイクスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」「ヘンリー四世」を原作として、人生最後に手掛けたのが喜劇「ファルスタッフ」でした プログラム冊子に掲載の小畑恒夫氏の「作品解説」によると、「ファルスタッフ」は1893年2月9日にミラノのスカラ座で初演されましたが、その当時のオペラ界は1890年にはマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」が、1892年にはレオンカヴァレッロの「道化師」が、それぞれセンセーショナルな成功を収めるなど、イタリア・オペラ界は一気にヴェリズモの時代に突入した時期だったのです そうした時代の伊吹を背中に感じながら、ヴェルディは79歳4か月にして「ファルスタッフ」を作曲したのでした

ところで、プログラム冊子のどこかに「ファルスタッフ」はアンサンブル・オペラだという趣旨のことが書かれていて、「おや、そうだったかな」と一瞬 疑問に感じました。「アンサンブル・オペラ」と聞くと、私はモーツアルトの「コジ・ファン・トゥッテ」に代表されるような 二重唱から五重唱、六重唱に至るまでの美しいハーモニーによるアンサンブルを想い起こします しかし「ファルスタッフ」にそういうシーンはあっただろうかと思い、第1幕冒頭から注意深く耳を傾けました それは第1幕第2場で歌われました。4人の女性のレチタティーボと四重唱で始まり、5人の男性の五重唱とレチタティーボに移り、若い二人の二重唱を経て、4人の女性が再度登場し、男性も加わって九重唱に拡大します これはまさに典型的なアンサンブル・オペラです しかし、モーツアルトのような美しさは感じません。どちらかと言うと、「チャット(お喋り)」に近いと思います

 

     

 

今回の公演の歌手陣は充実していました

まず最初に、ファルスタッフを歌ったロベルト・デ・カンディアはイタリア生まれのバリトンですが、貫禄で憎み切れない悪役を見事に演じ 歌いました

フォードを歌ったマッティア・オリヴィエ―リもイタリア生まれ。今回がフォード役のロールデビューということですが、イケメンでスタイルも良く、声も良く通るバリトンでした

フォード夫人アリーチェを歌ったエヴァ・メイもイタリア生まれのソプラノです 日本のオペラ界では有名な歌手ですが、新国立オペラは初登場というのが意外です この人は歌唱力・演技力が抜群であるばかりでなく、華があります。そこに居るだけで周囲が明るくなります

クリックリー夫人を歌ったエンケレイダ・シュコーザはアルバニア生まれのメゾソプラノですが、深みのある歌声が魅力です 彼女の歌を聴いて、METライブビューイングのヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」でアズチェーナを歌ったドローラ・ザジックを思い出しました

今回は日本人歌手陣が大健闘でした

まず最初に挙げたいのはナンネッタを歌った幸田浩子です。声が良く通り、とくに高音がすごく美しく響きます

フェントンを歌った村上公太は第3幕のアリアが素晴らしかったです

ピストーラを歌った妻屋秀和は今や新国立オペラになくてはならない重要なバスで、演技力も抜群でした

医師カイウス役の青地英幸、バルドルフィ役の糸賀修平、ページ夫人メグ役の鳥木弥生も健闘しました

最後に特質すべきは、歌手に寄り添いながら、自らもファルスタッフの世界を雄弁に語り 歌い上げたカルロ・リッツィ指揮東京フィルの演奏   そして世界に誇る新国立劇場合唱団によるコーラスです

ファルスタッフは最後に「この世はすべて冗談」と言って幕を閉じますが、これは要するに「世の中には完璧な人は一人もいない。すべての人を許してあげよう」という考え方で、モーツアルトが「フィガロの結婚」で示した「悪い人は一人もいない。狡猾な伯爵も、油断ならないケルビーノも、みんな許してあげよう」という考え方と共通しているように思えます ヴェルディは、最後のオペラを喜劇で締めくくることによって、世の中のすべての人を救おうとしたのかな、と考えたりしました

コメント
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