人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クラシカル・プレイヤーズ東京のコンサートを聴く~仲道郁代のベートーヴェン「第3ピアノ協奏曲」他

2015年07月13日 07時01分10秒 | 日記

13日(月).わが家に来てから276日目を迎え,メンデルスゾーン「イタリア交響曲」について自説を述べるモコタロです 

 

          

             ぼくはイタリア交響曲よりイタリアンが好きかな・・・

 

  閑話休題  

 

昨日午後3時から池袋の東京芸術劇場コンサートホールで「クラシカル・プレイヤーズ東京」の演奏会を聴きました 実は昨日,午後1時から飯田橋のホテルEで,息子の通う理科系の大学(TUS)の父母懇談会があり,時間的にコンサートは聴けないかも,と思っていたのです 懇談会では今年から副学長の一人に就任した宇宙飛行士の向井千秋さんの姿も見えました.懇談会後に開かれた学部ごとの個別面談では,大学院進学が内定した息子の当面の課題について話を聞き,家に帰って息子に伝えることにしました

面談が終わったのが午後2時15分頃です.急いでスマホで池袋までの「路線情報」を検索して,飯田橋から地下鉄有楽町線で池袋まで行くのが最短であることが分かり,早速地下鉄の駅に向かいました 幸い3時5分前には会場の東京芸術劇場の自席に着くことが出来ました.ヤフーの「路線情報」は本当に便利で,コンサートのハシゴ等も珍しくない私にとって,なくてはならないツールです

と言う訳で,東京芸術劇場で「クラシカル・プレイヤーズ東京」のコンサートを聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第35番ニ長調”ハフナー”K.385」から第1楽章,②ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」,③メンデルスゾーン「交響曲第4番イ長調”イタリア”」です.②のフォルテピアノ独奏は仲道郁代,指揮は有田正広です

 

          

 

自席は1階J列12番,左ブロック右通路側席です.入場料2,000~4,000円と格安ということもあってか会場はほぼ満席です.聴衆は正直です

オケはヴァイオリン・セクションが左右に分かれる対向配置をとります.コンマスは新日本フィルのソロ・コンサートマスター豊嶋泰嗣です オケのメンバーを見渡すと,バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーが主要な位置を占めています 右サイドの第2ヴァイオリンの首席には荒木優子,首席チェロには竹澤秀平,フルートには前田りり子,菅きよみ,オーボエには三宮正満,尾崎温子,ファゴットには堂阪清高といったメンバーです 「クラシカル・プレイヤーズ」の「クラシカル」が古楽器を意味することから,これらのメンバー構成は頷けます

1曲目はモーツアルト「交響曲第35番”ハフナー”K.385」から第1楽章が演奏されました この日は当初の作曲時にはなかったフルートとクラリネットが加えられた第2稿によって演奏されました

ほぼ正面にチェロが演奏しているのが見えますが,古楽器なのでエンドピンがありません したがってチェロ奏者は楽器を股に挟んで下に落ちないように努めてチェロを弾くことになります.努力の”努”という字は,女の又の力と書きますが,古楽器のチェロは男も努力しないと弾けないのです

有田はタクトを持たず,両手で指揮をとり小気味の良いテンポで音楽を進めます.モーツアルトかくあるべしというテンポです 古楽器特有のちょぴりくすんだ音色が心地よく響きます きっとモーツアルトの時代もこれに近い音色で聴いていたのだろうな,と想像します

2曲目は仲道郁代を迎えてベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」が演奏されます.仲道がゴールドの豪華な衣装で登場,フォルテピアノ,1816年ロンドン製ジョン・ブロードウッドに向かいます

 

          

 

音を聞く限り,19世紀初めごろの会場で聴くべく作られた楽器は,現代の2000人規模の大ホールで聴くと,あまりにも音が小さすぎます それでも音そのものに魅力があり,現代のメカニックなピアノにない素朴な味わいがあります 第2楽章「ラルゴ」を聴いていたら,まるで「第3の男」で有名になった楽器チターで演奏しているように感じました

休憩後はメンデルスゾーンの「交響曲第4番”イタリア”」です.タイトル通り,この曲はイタリアを訪れた時の印象を音楽にしたものです メンデルスゾーンの曲は弦楽八重奏曲を始めとする室内楽が大好きですが,久しぶりに聴くイタリア交響曲も素晴らしいと思いました とくに第3楽章はオーボエ,ホルン,フルート,ファゴット,トランペットなどの管楽器が弦楽器と対話しながら穏やかなメロディーを受け継いでいき,幸せを感じます 古楽器による演奏ならではの柔らかさを感じます

 

          

 

話は変わりますが,指揮者の有田正広は,もう少し演奏者を立てるべきではないかと思います もちろん,彼が輝かしい経歴の持ち主であり,このオーケストラの主宰者であることから,どうしても前面に出ることは理解できるのですが,自分だけが何度もカーテンコールをやって,オケは座りっぱなしにするというのは如何なものでしょうか?たぶん,多くの聴衆は素晴らしい演奏をしてくれたオーケストラのメンバーに拍手を送りたいのだと思います その意味では,もっとオケのメンバーをリスペクトしても良いように思います 

そのまったく正反対なのが”炎のコバケン”こと小林研一郎です.彼はオケのメンバーを立てます 「演奏したのはオーケストラであり,自分は一音も出していない.どうぞ演奏者に拍手を」といった態度でオケに接します.時にやり過ぎる場合があり,うんざりすることもありますが,気持ちは十分分かります

ところで,当日配布されたプログラムに「変化するメンデルスゾーン像」という解説が載っており,次のような記述がありました

「子供の頃フェーリクスと姉のファニーは町中で唾を吐かれたり,石を投げられたりしたという記録も残っている.豊かな大邸宅で何不自由のない生活を送り,自宅で大人たちの前で自作の音楽を発表する機会も数多くあった恵まれた生活とは裏腹に,町に出れば様々な差別に会っていたことは想像に難くない」

つまり,メンデルスゾーン姉弟は幼少の頃,ユダヤ人であることから,裕福な家庭に育ったにも関わらず,人々から差別され蔑まされていたということです 私は今まで,メンデルスゾーンはお金持ちのお坊ちゃんというイメージを持っていましたが,訂正せざるを得ません.そうした誹謗中傷にもめげず,彼はJ.S.バッハの「マタイ受難曲」の蘇演などクラシック音楽界に残る偉業を成し遂げていったのです あらためてメンデルスゾーンの偉大さを感じます

 

          

コメント (2)
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