人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ポール・アダム著「ヴァイオリン職人の探究と推理」を読む

2014年07月29日 07時00分37秒 | 日記

29日(火)。コンサートホール入り口で配布されたコンサート・チラシの中から手頃な料金の公演を選んでみました 1枚目は8月16日(土)午後5時半からサントリーホール(ブルーローズ)で開かれる「YEKアンサンブルアカデミー特別演奏会東京公演」です YEKとはヤング・アンサンブル・軽井沢のことだそうです。ヴァイオリンの吉田恭子、ダニエル・ゲーデ、ヴィオラの鈴木康治などがショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲ト短調」を演奏します。全席指定2,500円は安い 問い合わせは☎03-6418-1008・YEK実行委員会まで

 

          

 

2枚目は9月26日(金)午後7時からヤマハホールで開かれる「ライジング・アーティスト・コンサート」です このコンサートは日本音楽コンクールや東京音楽コンクールなどで入賞したアーティストを集めて、モーツアルト「オーボエ四重奏曲」や「クラリネット五重奏曲」等を演奏する意欲的な公演です 出演は、オーボエ=荒川文吉、クラリネット=コハーン・イシュトヴァーン、ヴァイオリン=石亀協子、ヴィオラ=鈴木康治ほか。入場料は全席指定2,000円、チケットぴあでも扱っています

 

          

 

3枚目は10月12日(日)午後3時から東京藝大奏楽堂で開かれる「異国のバッハ~フランス編」です バッハの幻想曲やフランス風序曲などが演奏されるほか、ラモーのカンタータ「オルフェオ」が野々下由香里のソプラノで歌われます 入場料は全自由席2,000円、チケットぴあでも扱っています

 

          

 

4枚目は東京文化会館小ホールで開催されるモーニングコンサートです。東京音楽コンクールの入賞者によるコンサートで、12月12日(金)は黒岩航紀(ピアノ)がショパン「幻想ポロネーズ」等を、来年1月14日(水)は篠原悠那(ヴァイオリン)がラヴェル「ツィガーヌ」他を、2月18日(水)は多久和怜子(フルート)がモーツアルトの「ロンド・ニ長調」他を、3月3日(火)は嘉目真木子(ソプラノ)がプッチーニ「ジャン二・スキッキ」より「私のお父さん」他を歌います 現在、上野の東京文化会館は改装工事中ですが、このコンサート・シリーズが始まる頃にはリニューアル・オープンしているということですね 入場料は全席自由で500円。ローソンチケットとイープラスでも扱っています

 

          

 

  閑話休題  

 

ポール・アダム著「ヴァイオリン職人の探究と推理」(創元社推理文庫)を読み終わりました ポール・アダムは1958年イギリス生まれ。1993年に文壇デビューしました

 

          

 

ジャン二はストラディヴァリの生まれたイタリアのクレモナに住むヴァイオリン職人 ある夜、同業者で親友のトマソが何者かに殺されてしまう。トマソはその前の週にイギリスに”メシアの姉妹”と呼ばれるヴァイオリンを探しに行っていた。それこそ、1千万ドルを超える価値のある幻のヴァイオリンだった ジャン二は友人で刑事のグァスタフェステに協力して事件の真相を探り始める。その過程でヴァイオリン・ディーラーが殺される 果たしてこの2つの事件はどうつながっているのか。トマソが探していた叶わなかった”メシアの姉妹”をジャン二は発見できるのか

ヴァイオリンをテーマにした作品だけに、名曲を演奏するシーンも描かれています 3回の個所に出てくるのはJ.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004」です。最初はジャン二が亡き友トマソを偲んで演奏する次のシーンです

「朝食の後、わたしはすぐ自分のヴァイオリンのところへ行き、そのときの暗い気分にいちばん合いそうな曲に取り組んだーーパルティータ・ニ短調のシャコンヌは、バッハが愛する妻マリア・バルバラを悼む作品として書いたものだ バッハは長く家をあけたあと帰宅して、彼女が亡くなっていたばかりか、すでに埋葬されていたことを知ったのだった。バッハの嘆きは耐え難いものだったに違いなく、シャコンヌは彼の悲嘆の苦しみで貫かれている

もう一つは亡きトマソの孫娘ソフィアがヴァイオリン・リサイタルで演奏するシーンです

「彼女が最後のシャコンヌを弾き始めたときーー今回の演目全体で、ヴァイオリンのために書かれたものとしては最も素晴らしい曲だろうーー私は自分の肌が発疹のように粟立つのを感じ、聴衆の中で同じように感じていない人はただの一人もいないとはっきり知った。目に涙が湧いてきた。この曲は私の人生の大切な一部だった

最後は、ソフィアがジャン二からプレゼントされたヴァイオリンの名器”デル・ジェス”を弾くシーンです

「私は椅子に掛けて目をつぶった。最初の一音から、彼らがお互いのためにつくられたことがわかった・・・・私が”デル・ジェス”を聴いているいま、聞こえるのは天使の声ではなく、神そのものの声だった

音楽の知識のない人にも十分楽しめるミステリーとしてお薦めします

作者のポール・アダムという人はよほどバッハの”シャコンヌ”がお気に入りのようですね 私の愛聴盤はヒラリー・ハーンのデビューCDです。晴れわたる青空のように清々しいバッハです

 

          

 

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