人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

リスト「ピアノ協奏曲第2番」、ワーグナー「楽劇”ニーベルングの指環”オケ・アドベンチャー」を聴く

2014年07月07日 07時00分32秒 | 日記

7日(月)。5日(土)に東京フィルの文京シビックシリーズと東京交響楽団の第622回定期演奏会をハシゴしましたが、今日は東響定期の模様を書きます

プログラムは①リスト「ピアノ協奏曲第2番」、②ワーグナー/フリーハ―編「楽劇”二―べルングの指輪”オーケストラル・アドベンチャー」で、指揮はマーク・ウィグルワ―ス、①のピアノ独奏は小菅優です

 

          

 

オケは左から奥にコントラバス、前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。同じイギリス出身の音楽監督ジョナサン・ノットと同じ態勢です

ソリストの小菅優が白と黒を基調とした、まるで和服のようなデザインのお洒落でシックなドレスで登場します 演奏するのはリスト「ピアノ協奏曲第2番イ長調」です

リストがこの曲を作曲した1830年代は、ピアノ製造会社のプレイエルとエラールが競って最新のピアノを開発していた時期で、リストはエラールから最新式のピアノを贈呈されたことから、その性能を生かし可能性を追究するべく作曲に当たったのでした 全体は単一楽章から成る交響詩のような曲です。時にチェロとの会話が、時にフルートとの会話があり、聴かせどころが散りばめられていますが、全体としては、第1番のコンチェルトと比べ、オーケストラのサポート部分が物足りないような気がします それでもピアニストが一流だと、そうした不満を吹き飛ばしてくれます

 

          

 

ここ数日、リヒテルのピアノ、キリル・コンドラシン指揮ロンドン・シンフォニー・オーケストラの演奏によるライブCDで予習していたのですが、録音状態があまり良くないこともあって、この曲に対するイメージは必ずしも良いものではありませんでした しかし、実際に聴いてみると、CDでは聴こえない音もよく耳に入ってきて、やっぱり演奏は生で聴かないと本当の良さは判らないものだ、と思いました 小菅優のピアノはパワフルです。この人の一番の魅力はそのパワーでしょう

 

          

 

会場一杯の拍手とブラボーに、小菅優はリストの「コンソレーション第3番」を静かに感動的に弾き、パワフルばかりではないところを目の前で証明して見せました

休憩後はワーグナー作曲ヘンク・デ・フリーハー編曲「楽劇”ニーベルングの指環”オーケストラル・アドベンチャー」です フリーハーというのはオランダ放送フィルハーモニーの打楽器奏者で、そのオケの首席指揮者エド・デ・ワールトにこの曲を献呈しました

この曲は、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」4部作(序夜:ラインの黄金、第1夜:ワルキューレ、第2夜:ジークフリート、第3夜:神々の黄昏)から14の重要な場面を抜粋して、可能な限りワーグナーのオリジナル・オーケストレーションを変えることなく編曲したものです

オケの態勢で気づくのはホルンです。ワーグナーの指定はホルン8(うち4はワーグナー・チューバ持ち替え)となっているのに対し、指揮者は9人で演奏することを求めました しかも、左や右のサイドにまとめて配置するのでなく、9人を横一列に並べています

聴いていて思うのは、次から次へとワーグナーのお馴染みの旋律が出て来るので、ワーグナー好きには堪らなく面白い曲だろうということ 逆にワーグナーの長大な”無限旋律”の世界を苦手とする人にとっては”無限戦慄”に過ぎないだろう、ということです

その一例が会場にいました。1階中央、左ブロックの右通路側席の若い女性が主人公です 曲が終盤にかかったころ、自席の斜め前方のその席で液晶画面が目に入ったのでそちらを見ると、茶髪にチョンチョリンのリボンを頭に乗せた女性が指でスマホを操作しているのです いくらワーグナーに飽きたからと言っても、演奏中にスマホを取り出して操作するのは非常識でしょう なにもケータイの着信音のような音ばかりが禁じられている訳ではないのです。液晶画面は後ろの席からは目に入りやすく鑑賞の妨げになるのです 時間的には5分もなかったかも知れませんが、時間の長短の問題ではありません。S席の中でも相当良い席に座っているその女性が東響の定期会員だとしたら、情けない話です 多分、定期会員ではなく、今回初めてワーグナーを聴いたのでしょう。そして癖劈したのでしょう。これでもかと次々に繰り出す大管弦楽の音の洪水の連続に 今回が良い教訓になったはずです。もう二度とサントリーホールでお目にかからないことを、わたし祈ってます

東響は70分にも及ぶこの大曲に果敢に真っ向勝負して、パワフルな演奏を展開しました 数年前オペラパレスで挙行された「トーキョー・リング」はN響がオーケストラ・ピットに入りましたが、次に機会がある時は「東響リング」でどうでしょうか

 

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