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クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

巨匠ハウシルト+新日本フィルでシューベルト「第4番」とブルックナー「第4番」を聴く

2014年01月26日 07時54分31秒 | 日記

26日(日)。昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルの第519回定期演奏会を聴きました プログラムは①シューベルト「交響曲第4番ハ短調”悲劇的”」、②ブルックナー「交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”」で、指揮はヴォルフ=ディ―ター・ハウシルトです

 

          

 

新日本フィルのコンサートで良いと思うのは、オケの配置図に出演者の名前が載っている「出演者一覧表」を用意してくれることです コンマス席はチェ・ムンス、その奥が西江辰郎、ホルン=吉永雅人、オーボエ=古部賢一、フルート=荒川洋、クラリネット=重松希巳江といった首席クラスを中心にベスト・メンバーの名前が揃っています これは指揮者・ハウシルト氏に敬意を表した布陣だと思います 第2ヴァイオリン席には新日本フィルの室内楽シリーズでお馴染みの篠原英和氏の名前があります。オヤッと思ったのは、同じ第2ヴァイオリン席に客演奏者として会田莉凡(りぼん)さんの名前があったのです 彼女の演奏を初めて聴いたのは2年程前に音楽大学フェスティバルで学生オーケストラのコンマスを務めた時です。その時並々ならぬ存在感を感じ「彼女は近い将来、絶対に頭角を現す」と確信しました。その後、昨年7月2日にヤマハホールで開かれた「漆原朝子と仲間たち」に出演、私の大好きなメンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲」を演奏しました。今年は2月7日にヤマハホールで開かれる「堤剛スペシャル・コンサート」に出演し、ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番”街の歌”」、メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第2番」を演奏します。もちろんチケットは入手済です

 

          

 

また、3月16日(日)には国立博物館「日本館講堂」でミュージアム・コンサート「会田莉凡ヴァイオリン・リサイタル」を挙行、ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第3番」、バッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」、エネスク「ヴァイオリン・ソナタ第2番」他を演奏します。もちろんこれもチケットは入手済です

 

          

 

さて、オケがスタンバイし指揮者の登場を待ちます。通常の新日本フィルの態勢と違うのはホルンの位置です。いつもは向かって左サイド奥に陣取っていますが、この日は右サイド奥でスタンバイします。ハウシルトのこだわりがあるのでしょう

指揮者ハウシルトはドイツ(旧東ドイツ)出身で、ワイマールのフランツ・リスト音楽大学でヘルマン・アーベントロートに師事し、シュトゥットガルト・フィルハーモニー、エッセン・フィルハーモニー、ハレ州立フィルハーモニー等の音楽監督を歴任しています 新日本フィルとは、故朝比奈隆の代役として初登場し第5番を指揮、その後、ブルックナーとしては第7番、第8番、第9番を指揮し、今回の第4番につないだわけです

ところで、チラシの裏にある解説には「2005年に故・朝比奈隆の代役でブルックナーの交響曲第5番を指揮して以来~」と書かれていましたが、プログラム1,2月号のプロフィールには「2002年3月、故・朝比奈隆の代役として初登場~」と書かれています どっちが本当でしょうか?グーグルで検索してみれば朝比奈氏は「2001年12月29日没」と答えが出ますから、正解は「2002年3月に~」ということが判ります。時系列から考えると、チラシを出した後でミスに気付き、直近のプログラムで正しい年月に訂正したものと思われます 同じオーケストラが出す媒体ですから、最初の段階からミスを出さないように十分注意し、再発防止をはかっていただきたいと思います

 

          

 

拍手の中、ハウシルトが登場します。写真で見るとかなりご老体に見えますが、実際に見ると相当お元気そうです。彼のタクトでシューベルトの交響曲第4番ハ短調第1楽章が劇的に開始されます ハ短調はベートーヴェンの第5番”運命”と同じ調性です。かなり重く響きます。彼は歳を感じさせない精力的な指揮ぶりを見せます

シューベルトの初期の交響曲の演奏で忘れられないのは2~3年前に東京交響楽団がユベール・スダーンの指揮で演奏したシューベルトの交響曲全曲演奏会です あのシリーズは、普段演奏される機会の少ないシューベルトの初期の交響曲の素晴らしさを、一般聴衆に知らしめた画期的なシリーズでした

あの時の演奏は、どちらかと言えば”軽快な”という意味で「軽い」演奏だったように思いますが、ハウシルト+新日本フィルの第4番は”重厚な”という意味で「重い」演奏です スダーン+東響が演奏したのがワインヤード型のサントリーホールだったのに対し、今回のハウシルト+新日本フィルが演奏するのはシューボックス型のトりフォニーホールだという、音響特性の違いもなきにしもあらずとは思いますが、それにしてもかなり違ったシューベルトです どちらが良いかという問題ではなく、どちらも説得力のある素晴らしい演奏です。今回ハウシルトの指揮で聴いてこの曲の良さを再認識しました

 

          

 

休憩後はブルックナーの交響曲第4番変ホ長調です。この曲は「ロマンティック」と呼ばれていますが、そう呼んだのはブルックナー自身だそうです。ただし、解説によると、楽譜にはそう銘記されていないとのことです ちなみにこの「ロマンティック」というのは、「ああロマンチックな夜だなあ」というような意味ではなく、「ロマン的な」という意味だと何かの本で読みました

オケが拡大され、第2ヴァイオリンの後方に会田莉凡さんが加わりました。髪の毛をポニーテールにして赤いリボンで束ねているのでひと目で判ります。赤いリボンは莉凡さんの名前に由来したトレードマークなのでしょうか ハウシルトは70分に及ぶブルックナーの大曲に対峙するため、椅子に座って指揮をすることを選択しました

第1楽章冒頭、弦のトレモロにのってホルンがテーマを奏でますが、この曲全体が成功するかどうかの試金石です。ベテラン吉永雅人のホルンは完璧です。堂々たる演奏で第1関門を突破します ハウシルトはゆったりしたテンポで曲を進めます。「せちがらい世の中、せめて音楽くらいゆっくり行きましょうよ」と言わんばかりに。ブルックナーの指示は「動きをもって、速すぎずに」。第2楽章のアンダンテ、第3楽章のスケルツォを堂々と演奏、第4楽章フィナーレに突入します 演奏の途中、ハウシルトの後ろ姿を見ていると、まるで神がハウシルトに乗り移り、ブルックナーその人が指揮をしているような錯覚を覚えました ブルックナーが生きてこの演奏を聴いたなら、ハウシルトを抱きしめて彼の指揮ぶりを讃えたに違いありません

第4楽章の最後の一音が鳴り終わると、会場はシーンと静まりかえり、一瞬しじまの状態になりました。拍手が起こるまでのこの瞬間がクラシック音楽を生で聴く醍醐味だと言っても過言ではありません ハウシルトがおもむろにタクトを下ろすと嵐のような拍手 とブラボーが舞台を包み込みました。舞台袖に引っ込んで再度登場したときは、演奏していた楽団員たちも拍手 や足踏みでハウシルトを讃えていました。彼が楽団員からいかに愛され慕われているかがよく分かります ハウシルトはコンマスのチェ氏をはじめ首席奏者と握手、管楽器陣を立たせて健闘を讃えます。現代においてハウシルトこそ「巨匠」「マエストロ」という言葉が最も似合う指揮者です

とにかく凄いコンサートでした。ハウシルトの指揮のもと素晴らしい演奏を展開してくれた新日本フィルの楽団員の皆さんにお礼を言いたいと思います。ありがとうございました

私が生でコンサートを聴いた時、その演奏が良かったかどうかを判断する基準があります。それは「いま聴いた演奏を、もう一度聴きたいと思うか?」ということです その意味で、今回の演奏は「もう一度と言わず、何度でも聴きたいと思う演奏だった」と言えます 新日本フィルとのブルックナーは、まだ第3番、第6番が残されています。是非、ハウシルトの指揮でこれらの曲を聴きたいと思います

終演後、ロビーのグッズ売り場にいた新日本フィル事業部の広報・宣伝担当NHさんに「Nさん、こんにちは 昨年篠原さんの打ち上げでご一緒したSです」とあいさつすると、「このたびは、ご指摘ありがとうございました」とお礼を言われました というのは、先日、新日本フィルの室内楽シリーズのチラシの中に校正ミス(ベートーヴェンの「ラズモフスキー」が「ラヴモフスキー」になっていた)があったので、23日のブログで書くとともに、広報のNHさんとNEさんにメールでお知らせしておいたのです 最後に「今日のコンサートは凄く良かったです コンサートの感想は明日のブログに書きます」と伝えてホールを後にしました

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