人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

N響第1768回定期演奏会を聴く~ソヒエフ+諏訪内晶子のショスタコーヴィチ「Vn協第2番」

2013年11月21日 07時00分36秒 | 日記

21日(木)。昨夕、サントリーホールでNHK交響楽団の第1768回定期演奏会を聴きました 先日、このブログの定期読者Nさんから「チケットがダブってしまったので都合が良ければ譲ります」と連絡をいただいたので、ありがたく頂戴したものです。かつてN響の定期会員だった頃はNHKホールとオーチャードホールで聴いていたので、サントリーホールでN響を聴くのは、意外にもこれが初めてかもしれません

 

          

 

座席は1階18列41番。私の東響の定期会員席は同じ18列ですが、それをずっと右にずらした位置の席に当たります 会場を見渡したところ、他のオーケストラの定期公演よりも客層の平均年齢が高いように思います 逆に舞台に登場した楽員は管楽器を中心に若返っているように感じました。相変わらず男性比率が高いオケです

1年程前にどこかでN響を聴いた時もそうだったのですが、楽員がスタンバイして、コンマス(この日は堀正文氏)が登場しても聴衆は拍手で迎えません 東響、東フィル、新日フィルでは考えられないことです。「聴いてみて、良かったら拍手してあげるよ。さあ、やったんさい」という鷹揚な人たちが多いのでしょうか?それともオケに対して冷たい人たちの集まりなのでしょうか?はたまた古き良き伝統でしょうか

プログラムは①リャードフ「交響詩:魔の湖」、②ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第2番」、③チャイコフスキー「交響曲第5番」で、指揮はトゥガン・ソヒエフ、②の独奏は諏訪内晶子です

私にとってソヒエフという名前は見るのも聞くのも初めてです。プログラムに掲載されたプロフィールによると、彼は1977年生まれの36歳の若さで、現在フランスのトゥールーズ・キャピタル国立管弦楽団とベルリン・ドイツ交響楽団の音楽監督を兼務しているとのこと。相当の実力者と考えていいでしょう

プログラミングに、ソヒエフのこの公演にかける姿勢が現われているように思います オール・ロシア・プログラムですが、並みの指揮者であれば、最初にグリンカの歌劇「ルスランとルドミューラ」序曲とか、チャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」から「ポロネーズ」など、どちらかというと派手目な曲を持ってきて聴衆の心を引き付けるのですが、彼は”湖の静寂”を描いた「魔の湖」を選びます

2曲目には、同じショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲でも、有名な「第1番」ではなく晩年に作曲した「第2番」を持ってきます そして、最後に、第1楽章では暗く重々しく始まるテーマが第4楽章では堂々と奏でられる、言ってみれば、ベートーヴェンの”苦悩から歓喜へ”に近い構成のチャイコフスキーの「第5交響曲」を配置してプログラムを締めくくります

さて、リャードフと言ってもあまり馴染みがありません。せいぜい交響詩「バーバ・ヤーガ」の曲名を知るくらいです この「魔の湖」は短いながらも、まるでシベリウスの曲のように静かで美しい曲でした

2曲目のショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第2番」を演奏するため、ソリストの諏訪内晶子が藤色のドレスに身を包まれて颯爽と登場します 彼女はロングヘアで背丈もありスタイルが良いのでステージに映えます 彼女の前には譜面台が置かれています。さすがの彼女でも超絶技巧の第2番は暗譜では無理か 

この曲は普段から聴きなれないので、ここ数日、庄司紗矢香のヴァイオリン、ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルによるCDで予習をしていました

 

          

 

この曲は3楽章から成りますが、各楽章にカデンツァ(無伴奏の独奏)があります 諏訪内はストラディヴァリウス「ドルフィン」を自由自在に操り七色の音色で難曲に対峙します。彼女はあくまでもクールです。彼女の演奏を聴いていて思うのはいつも”クールな感動”です

最後のチャイコフスキー「交響曲第5番」は、まさにソヒエフとN響の本領発揮といったところです ソヒエフは大きく包み込むようなスケールの大きな指揮をします。各楽器への指示出しを見ていると、バランス感覚の良さを感じます 第2楽章冒頭のホルン独奏を始め、とくに管楽器がよく歌っています。弦楽器のアタックには鋭いものがあります

ソヒエフは鳴り止まない拍手に何度もカーテンコールに応え満足そうな表情を見せていました

ところで、N響の機関誌(プログラム)Philharmonyに乗っていた楽員名簿を見てびっくりしました。チェロの首席に藤森亮一と並んで向山佳絵子の名前があったからです 「えっ、いつから?」と思い、後でネットで調べてみたら「今年7月からN響首席」に就任したことが分かりました。間違っていなかったら、この二人は夫婦ではなかったでしょうか?いずれにしても、聴衆獲得競争の激しい在京オケの生き残り策の一つではないかと思います 閑話休題。

演奏前は「ソヒエフ、Who?」という感じでしたが、この日のコンサートを聴いた後は、彼の名前が深く心に刻まれました Nさんは今夕、サントリーホールで同じプログラムを聴くはず。今回のチャンスを与えてくださったNさんに感謝します

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