悲鳴をあげるトッポを、なだめながら自動車に乗せた。
車が大好きなトッポは、『ヒィー、ヒィー』 鳴きながらも、いつも車に乗ったときの喜びの挨拶で、バカ親父の顔をなめようと首をもたげたのです。
『いいから、トッポ 痛いんだから、おとなしくしていな。』
と、言いながら動顚している時は、事故に注意しなければと運転していた。
(このへんは、なぜか経験豊富なバカ親父である。)
しかしこんなに、いつもの道が長く感じたことはなかったような気がする。
病院の玄関先で停め、すぐにインターホンを鳴らして、シャッターを開けてもらった。
『どうぞ、どうしましたか?』 の医者の一言に。
(さっき、説明したばかりじゃないかと思ってムカついたが、やさしそうな先生だったので。)
『急に、悲鳴を上げて鳴きやまなかったので、よろしくお願いします。』
(ブルブル、震えているトッポを抱えて診察台へ乗せた)
『はい、では、診察しましょう。』
(本当に、医者は冷静である。 無表情で、手術に使用するカンシのようなものを、持ってきて、トッポのアキレスケンあたりを、いきなり挟んだ。)
”ヒィー”とトッポが鳴くと。
『あぁ、神経は通っていますね。』 の一言。
(バカヨロー、どうしても麻痺にさせたいのかよ!)
『大丈夫ですかね? あまりに、けたたましい鳴き声だったんですが... 』
『椎間板が、周りの神経に干渉して急激な痛みがでたようですね。』
『ブルブル震えているのは、痛がってるんですかね? 緊張してるんですかね?』
『............, さぁ.........(無言)』
(何か説明しろよ、例えば、大丈夫ですよ。 すぐ痛みは、治まりますよ...とか。 まったく、お前のほうが神経、麻痺してないか?)
『採血して、調べてみましょう。』
(トッポの前足、手じゃないぞ......、をバリカンみたいなもので剃ると、血を採った。)
『点滴をして、様子をみましょう。』
『点滴をしたら、痛みはとれるのですか?』
『抗生物質と痛み止めも入れますから。』
(最初から、そう説明しなければわからないじゃないか!でも、それなら、いい。)
その後、頚椎のマンガを書いて、説明をしてくれた。
(我々が来る前に、レントゲン写真を調べてくれたらしい。... いい医者かな!)
『今日はこのまま、入院させて様子を見ることにしましよう。』
『ひどくなると、ステロイドなどの投薬をするのですか?』
(あとで分かったことであるが、副腎皮質ホルモンとは一般にステロイドと呼ばれ、消炎などに確かな効果があるが副作用もあるという劇薬?らしい)
『まだ、そこまで使用しなくても大丈夫のようですが.....』
(よしよし、君はなかなか 名医である。 よろしく、お願いしますね。)
『明日、昼頃来院してください。 詳細説明をいたします。』
『よろしく、お願いします。』
ということで、トッポのいない家に帰ったが、暫く虚脱状態で寝たのは、朝5時だった。
(お医者さん、ヨロシクお願いします。)
〈続く....)