〔同級生〕
2070年頃。
車一台と通れる岬の道路を行くと、中間くらいにある漁村につく。
そこで行きどまり。
四五軒の集落で古い小さな神社があり、おばあさんが一人こもって世話しているそうだ。
釣り場を探しに、一度だけ行ったことがあるが、また行こうとは思わない。
漁師の男がこちらを訝しげに見たので会釈しようとしたが、背かれたのでやめた。
なんとなく人相が、魚のように両目が左右に向いているように思えた。
同級生の友人に、その村から学校に通う同級生Aがいた。
友人の話では、Aは体格良く無口でしたが、聞けば時折村のことを話したりもしたそうだ。
木の枝でパチンコを造って蝉を撃ったりしていたが、中学になるくらいから野良犬野良猫に石を投げたり括りつけて海に沈めたりするようになっていったらしい。
そんなことで、友人はだんだんいなくなった。
滅多に町では見ないおばあさんが、ある日「うちの子があんなになったのは、あんたらがいじめるからだ」と怒鳴り散らしていたと聞いたことがある。
町にも物知りと言うか、霊感のある一人暮らしのおばあさん、いわゆる拝み屋さんといわれたおばあさんが居て、町の人の相談やお祓いをしていた。
その拝み屋のおばあさんの言うことには「あの子は、もう救えん」と言う。
岬の小さな漁村で、何があるのか。
聞けば、あの神社では馬頭観音様を祀っていて、拝むとなんでも願いが叶うと言うたいへん強い神様で、人知れず信者がいると言う。
一方町の拝み屋さんにも通ってくる信者もいて、何かとおばあさんにお供えと言って持ってきたりしている。
その中で数人若い男女もいて、私の友人もいた。
どうも彼らも霊感が強いらしい。
そんなことで、珍しい話も聞けたたのです。
後その抜粋。
昔、漁師が沖で漁をしていると網に土偶らしきものが引っ掛かり上がってきたと言う。
それは、尖った頭で首が長い姿をしている言う。
それを祀って、四代目が今のおばあさん。
非常に強い霊験があると言う噂で、いまでも数人の信者がいるが、閉鎖的で何をしているか誰も知らない。
半島から島々は、昔海賊社会だったわけです。
近代に入ってからも、こんな話を聞いたことがある。
何が原因か知らないが、自分の子供を犬の檻に入れて数日放置してお腹を空かしていた。
近所の子供が可哀そうに想い、浜で拾った綺麗な石を与えると、飴と思って飲んでしまった。
霊感の強いグループの一人が言うことには、その信者は共同して自分の気に入らない人を呪うらしい。
紙にその人の名前を書いて仲間に配り、馬頭観音とされる本尊を祀った仏壇に入れて、毎日呪文を唱える。
その呪文は独特なものではなく、仏教の経典から引用するらしい。
霊感でその信仰を追ってみると、その神は、役に立たなくなると自分の信者も殺すと言う。
この神には、人間の善悪苦しみ悲しみなんてなんでもないこと、敵味方関係ない。
殺し合いを、見るのが好きなだけ。
人間の心身を真っ黒に汚して、運気や生気を吸って生きている吸血鬼ってこと。
神社を霊視しようとすると、黒い靄の中から青黒く背丈3メートルほど、長い首で馬のような頭。
そいつが触れてはいけない恐ろしい、邪魔をする。
頭は、馬と言うより、蛇。
信者の多くが、どこかに歪んだ表情や雰囲気を持っている。
どこかに青黒いアザかシミがあるか、無いにもかかわらず有るように見える。
その色は入れ墨であり、鱗で、頭痛をともなう恐怖を感じるもの。
Aはその後、都会に出て一人暮らしをしているらしい。
もう岬のおばあさんも。町の拝み屋さんもいません。
霊感の強いグループも、どこでなにをしているか知りません。
この呪い集団は、これからますます国中に広がってゆくと、彼らは言っていました。
202X年、人類の闇の歴史にも、光が当たるでしょうと付け加えて。
私の記憶はこれだけ。










