
柿しぶといえば、傘の防水塗料だ。仕える主を失くした浪人が長屋の狭いひと間で傘張りをする映画のシーンが目に浮かぶ。張った後に柿しぶを塗るのだろうか。柿しぶを塗るのはまた別の仕事として、他所に回るのだろうか。
ところでこの看板は『柿しぶ』だけを扱う問屋さんということなのだろうか。柿しぶを塗った和紙製の厚ぼったい行李をどこかで見た記憶がある。呉服屋さんはまだ使っているのか。しぶを塗った、たとう紙なんてのもあったような・・。検索すると、たとうがみ(畳紙、帖紙)と出てくる。紙の質というより用途用法のようだ。
こどもの頃は、生家に柿の木があり、柿の大木は遊び回る近所に何本か見られた。柿は成長途中に自らが間引きをするのか、2~3センチ位のたくさんの未熟果を落とす。それはすぐに茶色に腐るのだけれど、落ちたばかりの青い実を拾い集めて柿しぶを採るのだと、1学年上の子がバケツのなかで潰しているのを見たことがある。実験だったのか、親にあてがわれた仕事だったのか、その後の行程は見ないでしまった。彼は学究の徒となり今は理学系大学教授をやっていると聞いた。
先月久々に会った同級生が大根のしぶ柿漬けというのを教えてくれた。ヌカの代わりにしぶ柿を潰したのを使うということだった。自慢話をしたり話を大げさに面白く話したりする事を決してしない寡黙な彼が、しみじみと『うまいぜの~』と言うのだから、その内に作ってみたい。









