鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

三種のミズムシ

2008年09月06日 18時29分46秒 | 随筆或いはエッセイ
ある偶然からミズムシには菌と昆虫と甲殻類の三種あることを知った。先ず卑近なヤツからいくと、言わずと知れた足が痒くてたまらなくなるミズムシ菌。これは20代後半にある仕事に就いてからいきなり伝染った。その職場にはこの菌が蔓延していたようなのだ。

永い付き合いになった。ひどくはならない体質なので、夏場の暑い時期だけ症状がひどくなって、市販の薬を塗れば改善するということを繰り返してきた。数年前に完全退治を目指して皮膚科に行き、三年程薬をもらい続けて、塗り続け完治したように思われた。

それでも油断したらすぐ、また夏場に出てくる。これはとにかく足をこまめに洗って清潔に乾かしておきさえすればひどくはならないし、どうということもないと判った。もう対決姿勢はやめて、なだめなだめ暮らしていくことにした。今夏は暑かったが、仕事から帰ったら直ぐ足を洗うことを励行したので、痒さを感じたことはない。

次は昆虫のミズムシだ。これはつい一ケ月程まえに、隣接した市に出かけたときに偶然捕まえたものだ。自然のメダカを何とか見つけたいと思っていたところ、いくらでも居る農業用水路がみつかった。そこでメダカ40匹を獲ってきたときに一緒に紛れ込んできた。

3ミリ程の黒くて丸い生き物が、すごい速さで無秩序に泳いでは何かにつかまってじっとする。ゲンゴロウの子なのかなと思ったり、あの速さだからメダカにくっ付いて吸血でもするのではなかろうかと思ったりした。とにかくメダカとは一緒にしないでおこうと、イトトンボのヤゴだけを飼っている水槽に入れておいた。このヤゴもメダカの水槽に発生しているのを見つけ出しては捕まえて隔離しているのだ。

調べたらカメムシ目ミズムシ科コチビミズムシのようだった。カメムシ目のほかの水棲昆虫はタガメなどのようにカギ爪や針を持っていて、小魚を襲ったりの肉食だが、ミズムシはベジタリアンで穏やからしい。それなら、食卓のヒメダカ水槽で飼おうかと思って2~3日後に見たらいなくなっていた。どうやら、イトトンボのヤゴに喰われたらしい。惜しいことをした。

次が甲殻類のミズムシだ。これも出先での小さな用水路でみつけた。アオミドロだけが繁茂している浅い水路でちょろちょろうごめいていた。ダンゴムシを平べったく小さくしたような姿で、フナムシにも似ているが、大きさは4~8ミリと圧倒的に小さい。それに海辺ではなく川の中に住んでいる。この頃アカムシが不足勝ちで、たまにヒメダカの稚魚を餌としてやったりしている、カジカの餌になるのではないかと、アオミドロを一掻きして持ち帰った。

帰ってたらいの中にアオミドロを入れたら、ぞろぞろ出てきた。小さな瓶に入れてきたのに、爆発的に殖えたように思われるほどの数だ。これがなかなか名前がわからなかった。何かの幼虫ではないかと思ってしまったのだ。

カジカにやってみると知らん顔だ。アカムシやボウフラなんかだったら見た途端に狂気の跳び付き食いなのに、ぷいとよそ見をする。10分以上観察してる間に、くわえてみることはしたが吐き出した。前日にやったジャコを喰い終わって間がなかったのかも知れなかった。ジャコは渋々背に腹は代えられず致し方なくという感じで喰ったのだろう。観察中にはいつだって喰わないのだ。このミズムシも数匹やったのだが翌朝にはいなくなっていた。喰ったようだ。ミズムシだとは言え、甲殻類なのに贅沢なヤツだ。

調べてみると、このミズムシはワラジムシ目ミズムシ亜目ミズムシ科ミズムシということで、淡水の中で生きるワラジムシ目の仲間では唯一のものだそうだ。枯葉なんぞを食べていくらでも繁殖するらしい。他の水生生物の害にはならないそうだ。ヤゴもこれを喰った。メダカは小さいのにはちょっかいを出すかも知れないが、喰わないだろうと思われる。メダカの水槽に同居させて繁殖をさせてみたいと思い始めた。このミズムシとも永い付き合いが始まるかも知れない。

コメント (2)
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