今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

連休も終わりですよPEN-Dの巻

2019年05月06日 20時50分23秒 | ブログ

長い連休が終わりますね。結局、通常の仕事と庭の草むしりで終わってしまいました。連休最後は中古カメラ店様からご依頼のPEN-D #1297XXで、シャッター完成昭和37年10月、本体完成1962年12月の個体ですが、PEN-Dの発売は1962年6月だそうですから生産開始半年後の個体ということですね。この個体は買取機だそうで、高級カメラの買取の中に入っていたのでしょう。元は悪くは無いのですが、長期放置で汚れ放題とメッキに粉が出ている状態。

では、販売出来るように仕上げて行きます。内部は悪くはありません。露出計も動いています。

 

 

でも、シャッターがダメですね。シャッター羽根が脱落しています。これはハウジングのネジが緩んでいるためです。

 

 

特に問題はないので洗浄、組み立てをしました。ヘリコイドグリスは交換してあります。

 

 

初期型のユニットなので、以後の個体と仕様が異なっているところがありますね。絞り板と押さえるブラシの形状が違います。

 

 

こちらにも違いが多くありますね。分かった人はすごい。

 

 

本体は洗浄しましたらきれいになりました。2軸とシャッターユニットを搭載してシボ革を接着しました。

 

 

カム板をセットして巻上げダイヤル、駒数ギヤ(板)を取り付けました。

 

 

露出計の透明窓とトップカバーの接着は、僅かなフランジ部分と側面で持たせてありますので、長期間には接着が剥がれるものがあります。この個体も洗浄時に外れました。ちょうど傷取りと透明度の改善のために研磨をする予定でしたので分離して磨きました。しかし、トップカバーの開口部が大き過ぎて、強度が確保できないギリギリの設計ですね。

ストラップまで洗う修理屋さんは私ぐらいかも知れませんが、購入された方に気持ちよく使って頂きたいので。。洗剤に漬けると茶色の汚れが・・シリーズで同じに見えるストラップですが、シボや厚みなど微妙に材質が変化をしているようですね。私のところにも外したストラップが100本ぐらいありますけど、材質の劣化で粘っているストラップもあります。

レンズキャップもD系の初期のものでしょうかね? 洗浄できれいになっていますが、外周の材質が紫色に変色しています。

 

 

裏はピカピカな感じ。このタイプのキャップはレンズにしっかりと嵌って脱落しにくいです。

 

 

ということで完成です。D系三兄弟の中では人気がイマイチのPEN-Dですが、新しいオーナーさんが早く見つかるといいなと思います。

 

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/

 

 

 

 

 


SEIKO クイーンセイコーの巻

2019年05月06日 10時05分40秒 | ブログ

世の中は10連休だそうですが、旅行に出掛けられた方も多いでしょうね。自営業の私たちには特に連休はありません。作業はしていますが、UPはゆっくり目にさせて頂きますね。一緒に来たのが、あちぁ~、私の苦手な婦人用です。二代目のクイーンセイコーですかね。1020-0010でケースは14ホワイトゴールドとなっています。

 

小径ですけど厚みはありますね。手巻きなのでリューズが痛んでいます。

 

 

 

刻印から1965年5月の製造のようです。初期型になるのでしょうか裏蓋にはクラウンが付いています。(後期はフラット)

 

 

アーモンド形の機械はCal.1020A 23石で、調べてみると基礎キャリバーは2105Aなんですね。

 

 

恐怖のアーモンド形。部品点数は少ないのですが、とにかく小さいので目が・・超音波洗浄で金メッキ地板はきれいになりました。組み立てて行きます。

 

 

この機械は未分解機かも知れません。非常にきれいです。言い忘れましたが、この個体も不動と言うよりは、小さくテンプは振動していますが計測不能の状態。

 

ケーシングをして元気に作動しています。リューズは交換予定ですが、目下、入荷待ちですが連休なので・・

 

 

当初、入手をしたクイーンセイコー用のリューズは後期型用のようで適合せず、オリジナルが見つからないので、コーラス用を調達しました。リューズの寸法規格が微妙に異なり、特にケースパイプがリューズ内に完全に収容されない不具合があります。

 

オリジナル性を崩すことにはなりますが、オーナーさんのご希望によりケースパイプと巻き芯を削って適合させました。操作性と機能性に問題はなく、快適に巻き上げが出来るようになりました。紳士用のグランドセイコー、キングセイコーに対して婦人用の高級時計として誕生したのがクイーンセイコーですね。初代の6型から5型、7型と進化をして行くシリーズをコレクションしても楽しいかと思いますね。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/

 

 

 

 

 

 


Canon 7 の明り取り窓の交換の巻

2019年05月02日 20時57分05秒 | ブログ

なんか大型連休の前半は雨がちで、あまり良い天気ではありませんね。私のように、どこにも出かけない人間にはどうでもよいことですが・・キヤノンのレンジファインダー高級機、キヤノン7のブラックですね。市場ではあまり人気がないようですが、キヤノン・レンジファインダーの集大成というか、機械式カメラ生産で一番技術力があった頃のカメラじゃないですかね。私も好きで0.95も所有していますよ。オーナーさんは前のキヤノネットと同じ方です。で、後塗りだと思った。とのことですが、いえいえ本物のブラックですよ。入手価格を聞いて、ちょっとがっかりした私でした。そんなになっちゃうんだぁ~。

経時的に明り取り窓の樹脂が割れるのが多いですね。私も昔にレジンで複製をしたことがありましたが、時間が経つと黄ばんでしまうのですね。レジン製作の限界を感じて止めました。

 

オーナーさんから複製品の樹脂板に交換して欲しいと同梱頂きましたよ。へぇ~、今はこのようなパーツが手に入るのかぁ。しかし、クロームボディーと塗装では全く難易度が違って来ます。エポキシ接着剤は塗膜との親和性が非常に高く、メッキ面の接着のように「パリッ」と剥がすことは出来ないのです。無理をすると塗膜を剥がすことにもなりますから注意が必要です。

で、交換しましたよ。塗膜は無傷です。

 

 

オリジナルと全く同じように接着をしてあります。絶対に剥がれません。ファインダーのモルト交換などをしておきます。

 

 

拡大してみると、どうも樹脂の成形品ではないみたいですね。山形が滑らかではなく刃物で切削をしたような感じです。

 

 

これがオリジナルの成形品ですね。違うでしょ。キヤノン7の場合、山形が天地の違いはないようです。微妙に山列の寸法がオリジナルと違うように見えなくもない・・

 

ファインダー窓の仕切板接着、モルト貼り配線留めをしてオリジナルと同じ仕様としました。

 

 

 露出計は低輝度側は元気に振れますが低輝度側が振れないようです。切換の接点をメンテナンスします。

 

 

意外にあっさりとした底部。各部に注油をしておきます。

 

 

アンダーカバーの板厚は0.8mmと厚いですね。カメラ自体が重いので、薄いとすぐに変形してしまうでしょう。

 

 

古いモルトを除去して新しいモルトを貼っていきます。

 

 

きれいになりました。

 

 

良いカメラだと思いますけどデザインがイマイチなので人気がないのでしょうかね。私も20年近く前に新宿御苑で撮影したのが最後だったですね。明り取り窓は寸法も正確で、まったく加工無しで接着することが出来ました。良いパーツが流通しているのは朗報ですね。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/