今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

MINOLTA repoのジャンクを復活させるの巻

2019年03月10日 20時55分05秒 | ブログ

オーナーさんがジャンクカゴから救出して来たレポです。シャッターは不動で正しくジャンク状態ですが、露出計が動いているという1点で救出となりました。

 

でも、やっぱりジャンクだよなぁ・・

 

 

カゴに入った時についたのか僅かなへこみがありますね。こういうの返って直りません。

 

 

レンズがグラグラしている。とのことでしたが、レンズではなくてヘリコイドグリスが完全に抜けてカタカタとなっているのでは?

 

全面のトップカバー留めネジがやけに金色です。良く見るとクロームメッキが剥離しています。

 

一応、修正を試みましたが・・

 

 

本体は汚れがひどいのですべて洗浄します。シボ革の接着は弱く一部が剥がれていますので、一度剥離してしまいます。

 

メンテナンス後の画像しか撮ってませんでした。このシャッターはシャッター羽根の張り付きが多いのですが、構造的に絞り羽根と隣り合わせていますので、どうしても油が染みて行くんですね。

 

これからスローガバナーなどを洗浄注油していきます。

 

 

 裏蓋は焼付塗装も出来ますけど、費用が掛かりますのでこのように錆を落として蝶番など露出部分のみタッチアップ塗装をしてあります。

 

レポのシボ革で健全なものはありません。糊が悪いんですね。

 

 

流石にシチズンのスローガバナーは超精密。ホゾとホゾ穴のガタが全く無い。コパルとはかなり差があります。

 

シャコウトウにモルトを貼って本体と接着します。

 

 

シャッター本体を取り付けて、巻上げとシャッターの作動を見ます。このレリーズレバーのリターンスプリングが棒バネは苦肉の設計ですね。

 

カム板の取付とレンズを取り付けます。

 

 

メカは大体完成。あとは露出計とファインダーを載せます。

 

 

シボ革を接着してレンズの無限調整をしておきました。清掃をしたファインダーと露出計を取り付けます。

 

まぁ、最初の状態からは上出来かな?

 

 

市場に多くあるタイプと違って初期型になるんですかね。こちらの方が一連のミノルタらしい大人のデザインで好ましいです。PENを研究して発売されたとは思いますが、部品点数が多過ぎ。米谷さんの設計理念を理解していないかな? 生産台数も少なめで、しかも初期型ですから希少です。ジャンクカゴから復活したカメラには見えませんよ。

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YASHICA Rapide 不動の巻

2019年03月07日 20時04分18秒 | ブログ

少し前にYASHICA Rapideをやりましたが、そのエントリーをご覧頂いたハワイ在住の日本女性の方から修理のご依頼を頂きました。へぇ、こんな希少なカメラをハワイで使っている方がいるんだぁ・・前回の個体と同様、外観は悪くはありませんね。これは、ボディーがカメラと言うよりは産業界で使われる測定器のように頑丈に出来ているからです。へこませようとしたって簡単にはへこみません。残念ながら露出計は不動で、シャッターが止まりました。

露出計を何とかしたかったのですが、完全にセレンが死んでいますね。1961年頃のカメラですから60年近く前の製品なので無理もないと思います。オーナーさんは露出計は動かなくても大丈夫とのことですから、今回はこのままとします。現在はスマホで露出計の代わりが出来ますからね。

このカメラの一番のウィークポイントがレンズの後玉です。殆どの個体で白く曇っています。幸い、この個体は清掃によって、ほぼ、問題のない程度に回復しています。

 

特異な形のカメラですから、シャッターまでたどり着くにはいくつもの部品を外さなくてはなりません。画像に写っていない部品も多くあります。

 

COPAL-SVシャッターは本格的に作りで、特に問題はありません。シャッター羽根の表面の粗面が磨滅により光っていて、これが張り付きの要因にもなっています。

 

シャッターユニットを搭載しますが、その前にモルトを交換します。緑色なのはシャッターの取付ボードの真鍮が腐食したもの。

 

新しいモルトを貼りました。

 

 

大きなファインダーを清掃しますが、光枠は清掃をすると落ちてしまいますので慎重に。。

 

レンズの無限位置やEV値付きの絞りダイヤルの取付位置を決めるのが少し面倒。レンズの清掃とヘリコイドグリスを交換して組みます。写っている時計は、ラピードとほぼ同時期の1960年に製造された初代セイコーマチック603で、文字盤の劣化が60年の時の長さを物語っています。それと比較すると、ヤシカ・ラピードは作りが良いせいかきれいですね。

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珍しい RICOH CADDY を修理するの巻

2019年03月05日 16時26分02秒 | ブログ

リコー・キャディーはリコー最初のハーフカメラで、1961年7月発売とのことです。レンズは広角の25mm f2.8(3群4枚富岡光学製)と来ればPEN-Wと同じスペックですけど、PEN-Wの発売は1964年9月だからキャディーの方が早いんだね。単独の露出計を内蔵していて、PEN-EEの発売は1961年8月だから、こちらも1カ月早い。へぇ、革新的に製品だったんですね。で、この個体はシャッター固着ですけど、このシャッター(精工舎#000/561)は羽根の張り付きが多いです。全体的にきれいな個体ですが、トップカバーの両肩が凹んでいます。

こちらは多少は修正が出来ると思いますが、本来はガラス窓を外さないと叩けません。

 

このような裏のダイカストと圧縮で変形したものは、まず修正出来ません。

 

 

あまり画像を撮ってなかったんです。巻上げのフィーリングはギリギリ、ガッチャンという感じで、あまりスムーズではありません。底部のギヤとリンケージを分解洗浄でグリス塗布をします。左端のネジは左ネジなので注意。

 

精工舎のシャッターですが、PEN-Sのコパル製のような繊細な感じてはありませんね。テンションスプリングもかなり強いコイルバネが使用されています。巻上が重い一因。なのに羽根は張り付くんですね。分解洗浄をします。

 

レンズは曇りやカビは無く非常にきれいです。新種ガラスや高級なコーティングを施されていないレンズの方が劣化が少ないように思います。

 

しっかりとした地板にPENによく似たファインダーと露出メーターが組み込まれています。セレンはトップカバーにブリキのおもちゃと同じ、ベロを折り曲げる式で取り付けられているため、ベロを起こすと折れる危険性が高いので取り外しません。私、ベロが折れるのを一番最初に経験したのは5-6歳の時にD51のブリキおもちゃを分解した時が最初でした。関係ないか??

レンズを清掃をして接着をしたところ。面白いのは、アイビース枠がトップカバーではなく、ファインダー側に付いていること。LV表示はドラム回転式。

 

配線はトップカバー側と本体側で独立しています。

 

 

巻き戻しダイヤルは沈胴式というか、左側に捻じるとポップアップします。

 

 

PENの巻上げダイヤル位置(上方)は設計者の米谷さんが人間工学の観点からスケッチを描いて決められたのですが、それからすると、底部のこの位置はお世辞にも巻きやすいとは言えませんね。トップに露出計を内蔵しているので苦肉の設計でしょう。

ASA感度によりLV表示を切り替えます。このギミックは好きです。

 

 

内部の設計はどこのメーカーが設計してもこうなるのね。しかし、PENと違って裏蓋は丁番式です。

 

同じ25mmならPEN-W用に作ったフードが付くかな? あら、付いた。

 

 

当時の発売価格は¥10,800(ケース付)だったようです。個体数は少ないようですから大切にされてください。

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完全固着のPEN-Fの巻

2019年03月02日 09時38分23秒 | ブログ

PEN-F #2395XXですが、応急処置にも全く反応しない固着状態です。ただし、外観はきれいですから、使用による摩耗ではなく、長期放置による機械的な固着と感じます。

 

過去に分解歴はありませんね。

 

 

では、劣化したモルトを取り除きながら、固着の原因を探っていきます。

 

 

シャッターユニットの問題はブレーキが固着気味で、完全にシャッターが戻り切っていないということ。シャツター幕の端のリブ部がアパーチャーから見えるのが分かりますね。ブレーキのOリングの交換が必要です。その他、リターンミラーユニットの作動不良があります。メカが機械的に壊れているわけではなく、O/Hで復活すると思います。

では、ダイカスト本体を洗浄して組み立てて行きますが、初期のダイカストは色が黒いものでしたが、この頃になると普通のダイカスト色となります。材質が変更されたのでしょうかね。

 

カウンターの復元レバーに錆が発生していて、固着しています。CRCを浸み込ませてしばらく放置します。

 

あれ~? 未分解機のはずがどうしたことでしょう?

 

 

シャッターユニットは洗浄とチャージギヤにグリスを塗布してあります。

 

 

問題のブレーキ。Oリングホルダーの内周が激しく錆びています。これによってOリングが押し上げられてブレーキが利き過ぎる状態になります。錆を取り除いて研磨をしておきます。

 

プリズムのマット面に油分が固着しているようで簡単には落とせませんでした。このままですとスクリーンにシミとなって表れるため、頑張って清掃しました。

 

本体側と前板側が完成。リターンミラーユニットは固着状態でした。

 

 

 

全反射ミラーは腐食は無く再使用は可能でしたが、反射率は低下していますので、ご希望によって新品と交換してあります。接眼枠はネジ部破損があり、接着修理で使用しました。

 

疲労は少なく、長期放置とブレーキの不具合によって故障していた個体。巻上げもスムーズでシャッターも快調となってます。

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