今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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CITIZEN スクエア・カスタムは好きですかの巻

2017年03月10日 21時11分46秒 | ブログ

すみません、ここのところ別の仕事が忙しくて、体調は良いのですが、今日と明日は定期の検査通院が続いて作業が進みません。で、過去に大阪のご常連さんで取り上げたことのあるモデルで、シチズン、スクエア・カスタムというデザインが奇抜な時計がありますが、決して私の好みではないのですが、何故か気になってしまうモデルで、知らない間にジャンクが増えているようです。今回仕上げようと考えている茶色に見える文字盤の方は4-520050Yで、シルバー(白)の文字盤は4-520167Yとなっています。文字盤の他に違いがあるのかは不明ですが、どちらもcal5203の27石仕様です。左上のモデルは21石で風防はプラ製の廉価版というところでしょうか。

特徴的なマヤのビラミットのようなケースですが、比べてみると外寸とカットが異なるのが分かります。

 

右は直線的なカットに対して、左は富士山のすそ野のようなカットになっています。

 

 

サイドのカット稜線の分け方も異なっています。製造途中でデザインを変えたのでしょうかね?

 

カレンダーの窓の位置も奇抜ですね。あまり視認性が良いとは言えません。全体的に前衛的なデザインを優先したモデルという気がしますね。セイコーでは出せなかったデザインでしょう。それだけに、セイコーデザインに慣れた私には、強烈な個性を感じてしまいます。決して好きではないですよ。でも、ちょっと気になる。例によって、シチズンの残存部品は少なく、風防ガラスなども入手困難ですが、今回は新品に交換済の個体を入手。SSベルトはこのモデルのものではないと思いますが、一応、ラグ20mmのシチズン純正新品を入手してあります。さて、何とか仕上げることが出来るでしょうか? 暇を見つけて作業をして行こうと思います。

段どりの都合で、このままカスタムを続けます。すべて分解洗浄をしたところ。過去に一度ぐらいのO/Hわ受けているようです。27石ですので、地板の摩耗は無いですね。

 

撮影したと思っていたのですが、慣れないシチズンなので技術解説書を見ながらで画像があまりありません。しかし、メーカーが変われば設計も変わるで、見慣れない景色です。

 

シチズンの場合、結構バネを多用する部分が多く、飛ばしてしまう危険性が高いです。

 

輪列を組んで行きます。まずは二番車と中受を取り付けます。

 

 

日回しシ伝エ車の止メネジは逆ねじです。

 

 

途中飛ばして、文字盤、針と回転錘を取り付けて組立完成。

 

 

 

スクエア型のケースは巻真はジョイント式になります。

 

 

天真の摩耗は意外に少なく、姿勢差での片振り変化は少ないです。片振りを修正してから歩度を追い込んでいきます。

 

ケースはラグ間のバネによって固定されているだけなので、組立は簡単。しかし、防水性能は厳しいでしょうね。一応シチズン純正の新品ベルトを、新しいバネ棒で取り付けます。

 

ケースは意外に深いところまで腐食が進んでいて、研磨をしても中々荒れた面が消えないという良くないケースでした。今回は新品のガラス風防が付いたすそ野型の方を使いましたが、ビラミット型の方が思いっきりは良いと感じます。(二つ目作るニダ)現在の感覚から見ても、斬新なデザインのモデルで、一部のファンには人気があるのかな? 販売数は少なかったようで、現存数も少なく、資料なども見かけませんね。私の趣味ではありませんが、気にはなるモデルなので仕上げてみました。しかし、どこに嵌めて行けばよいのか思いつきませんね。

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ユンハンスの置時計の巻

2017年03月07日 20時56分46秒 | ブログ

知人の社長さんからドイツ・ユンハンスの置時計のメンテナンスを依頼されたんですね。置時計は良く知りませんが、1960年代製の日の出型ウエストミンスターチャイム置時計のようです。機械を取り出すのに針を外さなくてはなりませんが、普段の腕時計の針と比べると何と巨大なこと。

12本の木ネジによって木製ケースに取り付けられていました。何度もメンテナンスをするのに木ネジでネジバカになっちゃうんじゃないの?

 

ピアノと同じように打刻して音を出すのですね。しかし、意外に大きな音で曲がなるのにはびっくりです。

 

古い機械は振り子式ですが、このモデルはテンプ式です。面白いのはピポット式ではなく、細いシャフトに筒状のルビーがセットされているもの。

 

本体の材質は外観の豪華さとは意外に積層板ですが、これは日の出型に曲げ加工をするためでしょう。

 

巨大な香箱。ムーブメント用、メロディー用、時報用の3つがあります。清掃と注油をして行きます。

 

 

時刻合わせは指で針を回んですね。時報と針が同調するように調整をして針をセットします。

 

機械をセットして裏側から見たところ。下の金属棒を叩くと音が出ます。

 

 

ヨーロッパの邸宅のマントルピース上に置いたら良いのでしょうけど、日本家屋では置き場所に困りますね。大きさを手と比較してください。すそ野が写りません。このデザインをスケールダウンした置時計は国内メーカーでも発売していたようです。うちには1/2スケールでないと無理です。

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SEIKO ベルマチック 4006-7012は問題児の巻

2017年03月05日 18時27分35秒 | ブログ

カメラ作業の裏で進めていた腕時計はセイコー・ベルマチック4006-7012で、ビジネスベルという名前もありますね。単身出張などで目覚まし時計として使うということでしょうね。そもそも、UPの予定は無かったのですが、色々と問題があって作業が長引くとブログのUPが止まってしまうことからUPすることにしました。画像はオーナーさんへの連絡用として撮影したもので、すべての作業を記録していません。まず、困ったのが裏蓋が開かないということ。このような場合は、錆ついていることが殆どです。強力機械を使って時間を掛けて開けます。

やっと開けましたが案の定です。しかし、機械には水の侵入は無いようです。

 

 

普通の機械と違って複雑な構造です。ピンセット先のハンマーが振動して機械外周に円弧の形をした音環を叩いてベルが鳴りますが、オーナーさんからは「ベルの音が悪い」とのご指摘です。しかし、このモデルは「ベル」というような高くてきれいな音はしませんね。携帯のバイブ機能のような振動音という感じです。高級な手作り時計の場合は、音環を削って調律するようですが、量産品ですので、調整ポイントはないのです。音色はシチズンの方が良いと思います。

カレンダー機構を取り外してもカレンダー裏板があって地板はその下の二重構造です。

 

普段と全く異なる構造ですね。技術解説書を見ながら組み立てて行きます。

 

 

文字盤と針を取り付けました。ここで、セットした時間にベルが鳴鐘するかチェックして(まず合ってない)表示車と表示伝エ車の嚙合いを直します。

 

問題はケースです。裏蓋も錆びついていましたが、風防のテンションリング部の錆が文字盤内側から見えています。あ~、分解したくないなぁ・・でも仕方がない。

 

グスン、やっぱこうなるんだ。プラ風防とテンションリングは分離してケース内径は激しく錆びています。

 

調達したデッドの純正風防。その前にケースの傷も激しいので研磨をしておきます。

 

これは古い風防ね。テンションリングが分離してプラもクラックが入り使用不可です。

 

左がセットされていたもの、右が新品。

 

 

 

ケース研磨と風防が嵌る内周の研磨をしました。テンションリング付の風防は、外径を絞るのではなく、風防表面の外周をコマで押し込むので、ケースの内周が錆びにより荒れていると抵抗が増えて入らないか風防が割れてしまう可能性があります。貴重な純正風防ですから慎重に作業をして、画像のようにセットしました。

めでたくベゼルを圧入して風防取付け完了。あ~、割らなくて良かった。

 

 

機械をケーシングしました。ハンマーは殆ど音環に当たるか当たらないかぐらいで、試しに音環を取り除いてハンマーを作動させても、殆ど同じような音が出ます。ベルと言うより、やっぱりバイブの感じです。

 

自動巻き部。ここは一度も分解を受けていません。グリスはカラカラ状態ですので、指定のS-4グリスを塗布しておきます。

 

裏蓋パッキンは硬化して機能していません。新品と交換しておきます。

 

 

あら、最後の1枚でやっとどんな時計か分かりましたね。研磨洗浄をしたSSベルトを取り付けてや~~っと完成です。

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