今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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PEN-FT(B)+20mmの巻

2019年06月05日 21時35分20秒 | ブログ

前回の女性PEN使いさんのレンズも同じでしたけど、この20mm f3.5もそうなんだよね。マウントネジなどがかなり乱暴に開けられている分解機ですけど、カヘンコマも緩められていて、一度緩めるとネジロックが無くなるので緩みやすくなってしまうのです。グラグラになると鏡胴のスリットから外れてしまい、知らずにピントリングを回すとさあ大変。内部はひっちゃかめっちゃかになってしまうのです。

マウント内のリンケージもグンニャリで修正したと思ったら、絞りのリンケージが変形して外れてしまい作動しません。

 

 

本体は修正したところ。バネがあり得ない角度に曲げられたので変形しています。これを修正します。

 

 

これが正規の状態。

 

 

幸い、レンズ自体は悪くはないのが救いです。最近は分解を受けたレンズが多いですから、マウントのネジが緩みやすいので、スリ割りの痛んだネジが付いている場合はご注意くださいね。ピントリングの回転などに異常を感じた場合は無理に回したりしないでください。その場合はすくに当方へお送りください。

 

今日の関東地方は気温が上がったのでボォ~として(熱中症あぶない)画像あまり撮ってません。FT(B)本体は#3003XX(1969-9)機能的には問題はなく巻き上げのギヤ鳴り程度ですが、ハーフミラーの腐食がこの頃の個体にしては進んでいます。

 

当初、未分解機と思いましたがトップカバーを開けて見るとカギバネが接着されています。これ、プロのリペアマンでもやる人がいますが意味ありません。溶かしておきます。

 

あ~アカンね。少し前の頃のハーフミラーのような気もしますが・・

 

 

本体は洗浄組立でシャッターユニットもO/Hの上搭載してあります。オーナーさんからリターンミラーも交換して欲しいとのご希望ですので、新品のミラーに貼り替えたところ。完全硬化後に組み立てます。

 

スクリーン、プリズムなどを組み立てる前に、古い接着剤、モルトカスやネジロックを完全に清掃しておきます。他の方の組立を見ると、この辺りがおざなりになっているように思いますね。確かに手間は掛かるのですが、手を抜くと正確な組立は出来ません。スクリーンも洗浄済みですが、この頃からそれまでの位置決め用、上下角ありから簡単な矩形になります。

 

ビューファインダーには2か所のモルトがありますが、上側は幅と位置が不完全で下側は省略されています。

 

 

レンズの清掃とモルトを貼っておきます。

 

 

残念ながらコーティングは剥離されています。あのハーフミラーの状態からすると当然の劣化と思います。で、の部分に光線漏れが見えますね。

 

 

塗装が剥離していてメッキも痛んでいるのが原因です。プリズムホルダーが接触をしたのか不注意で傷を付けてしまったのかは不明。

 

 

露出計ユニットを留める3本のネジのうち1本がありませんでしたので追加しておきます。後期の個体では工場で元々2本留めとしてある個体もありますが、この個体は留めていた痕が有るので紛失です。

 

その他、セルタイマーレバーが戻る不具合があり修理しました。組立はほぼ終了。

 

 

露出計の感度は30万台としては劣化が進んでいましたね。保管が良くなかったと思います。経験的にハーフミラーの腐食が目立つ個体は露出計の感度も低下していることが多いです。Cdsが湿気に弱いのでしょうかね。最後にもう1つ38mmもありましたので清掃してあります。今回は本体はリターンミラーの交換とレンズは20mmが難物でしたので時間が掛かってしまいました。

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