今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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再びのPEN-F

2014年01月08日 21時34分18秒 | インポート

Img_335355 タイトルは、前回同じPEN-Fをやりましたので、その意味もありますが、オーナーさんが10年前にデジカメに移行されていて、現在、デジカメ故障を切っ掛けに、再びPEN-で写真を撮ってみたい。とのお気持ちになられたとのことで、涙が出るほどうれしいお言葉ですね。ただし、私事でちょっと取込中のこともあって、作業内容は前回とほぼ一緒ですから、簡略してUPしたいと思ったのでしたが・・症状は、ご覧のようにミラーがUPして停止するので、全体のフリクションが増大しているようです。シボリレバーのトルクも小さめです。

Img_335414 ネジロックが良く見る茶色(変色?)ですので、沢山の個体を修理されている修理屋さんで分解修理を受けているようです。モルトはご覧のように取り去られて、新しいモルトを張ってありません。なんで貼らないのかな?

Img_335522 全反射ミラーは清掃した形跡があります。再使用は可能の範囲ですが、ご希望により新品と交換します。

Img_335664 シャッター幕が良くないなぁ。回転中に指で触れたというのではなくて、この状態で分解中に不注意で曲げてしまったという損傷の仕方ですね。シャッタースピートに影響あるなぁ。

Img_335986 簡単にUPと思いましたが、そうも行かなくなりました。ブレーキリングを抑えるナットのスリットが損傷しています。しかも、瞬間接着剤が塗られています。どんな修理屋さんだよ。このナットは鉄製から真鍮製に材質変更をされていて、強く締める部分なので、簡単にスリットが壊れてしまうのです。何故、材質を変更したのか? 真鍮にすれば表面処理がないのでコストが安い? いくら違うんだよ。材質的に柔らかい真鍮を使うことによって、変形をさせることで緩みにくくなることを狙った? 技術屋さんの考えることは高度で私には理解できませんが、それによって製品の完成度を落としているのです。問題は、これをどうやって分離するか・・・

Img_336042 分離しなければ仕事にならないので・・。 ブレーキのOリングが削られているのが分かりますか? Oリングが硬化するとブレーキが効きすぎてシャッターが正規の位置に戻らないという不具合が出るのですが、修理屋さんでは、「じゃあ、ブレーキを効かなくすれば良いじゃん」とこのようなごまかしをするのが一般的なのかも知れません。過去に随分見て来ましたからね。どうして交換する正規の修理をしようとしないのかな? 私には理解できません。これからすべて分解をして組み直しですが、前回と一緒なので割愛。

Img_336164 本体の方は、いつものように分解洗浄後、組立をして行きます。

Img_336376 すみません。作業が遅れました。で。結果的に組み上げましたが、この個体、シャッターのメインのバネが弱っていたようですね。それによって、ブレーキが効くと、シャッター羽根の正確な復帰が出来ないので、ブレーキを殺してしまおう。ということではなかったのかとも考えられます。チャージをしたまま、長期間放置されたのかも知れません。皆さんも、撮影しない時は、シャッターは巻上げたままにしておかない方が良いかなぁ? 確証はありませんけど・・プリズムは、珍しく腐食がありませんね。

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全反射ミラーは新品と交換しています。#1959XXですから、巻上げ部は設計変更後の仕様です。

Img_336585 付属の40mmも作動が重いレンズですが、絞り羽根に油が付着して、作動が緩慢ですので、清掃をしてあります。10年ぶりに調子を取り戻したPEN-Fです。将来は息子さんの譲られる予定とのことで、大切にされてください。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/