今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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素性は悪くはないPEN-FT+PEN-S 2.8

2012年01月24日 17時34分49秒 | インポート

Dscf089255 PEN-S 2.8 #3614XXですけどね。シャッターは切れるが中速以下が変ですね。すべて分解洗浄をして仮組みしてみますと・・・あ~、おかしいですね。スローガバナーは作動しているのに、全く制御できていない。なんで???

Dscf089345 点検して行くと・・・あぁ、これだね。時計で言うとガンギ車の上下カシメ部分が緩んで、別々の動きをしていますね。これでは、時間のコントロールは出来ませんね。

Dscf089566 ガンギ車を分離して点検します。カシメが全く利いていない状態ですね。この個体は、あまり実用に供された形跡はありませんので、たぶん、新品で販売された早い時期にこの状態となっていたと推測します。コパルはカシメ不良が多い気がしますね。交換部品はありますが、今回は、ポンス台で再カシメをして使うことにします。

Dscf089661 その他は、問題は無く完成しています。ずっとこのシャッターの状態で気がつかずに使用されて来たのでしょうね。やっと本来の性能に戻りました。で、次はPEN-FT #3330XXと良い頃の個体ですね。この方は素材選びは手馴れていらっしゃる。駒数カウンター復帰不良がありますが、問題はありません。裏蓋が開きにくい時があるとのことで、あらら、金庫破りみたいに縁をこじっちゃいましたね。だめですよぉ。そんなことをされては。ストライカが上がらなければ絶対に開かないのです。簡単に開いたら困るでしょ。

Dscf089712 あぁ、裏蓋の縁がよれよれになっていますよ。程度の良いFTなのにグスンですね。

Dscf089611 しかし、幸運なことに、機械は疲労は殆どありませんね。シャッターのスプリングも工場での調整が優し目になっていますので、ギグシャクしたところがない個体です。本体にメンテナンスを終えたシャッターユニットをセットします。

Dscf089853 調子は良いですね。33万代と後期のタイプなのに、中前期頃までの滑らかな巻上げ感触となっています。裏を返せば、シャッターのテンションが弱めという言い方も出来ますね。駒数板の復帰不良はピンセット先の親ギヤの回転不良でした。過去に油を付けた形跡がありましたが、油の種類を吟味しませんと、僅かな回転負荷であってもリターンスプリングが弱いため、復帰しなくなります。まぁ、少し前の滅茶苦茶なリターンスプリングとなっていなくて良かったです。

Dscf089799 38mmですが、#4030XXと製造番号から、このFTとセットで販売されたレンズであろうと推測します。38mmは後期になると内部の構造が全く設計変更を受けていまして、それ以前の38mmとは部品の互換がありません。前期の場合は、ヘリコイドの鏡胴(外側)のみ別パーツとして中に入れ子のようにシボリユニットがネジ留めされていますが、後期は画像のようにシボリ部分のみが別パーツとなっています。変更の理由は不明ですが、メンテナンスをする側としては、前期型の方がやりやすいのですね。ここまで分解するためには、本来分解したくないカムを分離しなくてはなりませんし、シボリ羽根もバラバラになってしまうのです。

Dscf089934 純正のレンズキャップはテレンプの劣化でスカスカになっていると思いますが、貼り替えご希望ですね。古いテレンプを剥離することから始めます。

Dscf090094 で、このように貼り替えてあります。これで全ての作業は終了です。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/