気ままに風の跡 by樋口友治郎

日々は風のごとく吹き抜けてしまうから、そんな風の跡を刻んでいきたい。気ままに綴る詩ブログ。 

この森に棲んでいる

2017-07-08 07:52:26 | 詩歌


迷いの森に棲むという小鹿を
怖いもの知らずで 追いかけて

帰る場所は どこにもなかった

煙る渓谷 そそり立つ絶壁
駆け上がるその姿 消えてった

帰り路は もう分からない

あれから ずいぶん長いこと経った気がする
小鹿は探すも 見つかる気配はなく
いつしか 関心ごとといえば
その日の食いぶちにあり付けるか
ただ それだけが気がかりだった

諦めたとか 思い知ったとか
そんなんじゃないぜ
小鹿は成長しただろうけど
まだ この森に棲んでいる
そう この森に棲んでいる


茂る蔦 掻き分け 見えない明日へ
不安を拭う作業に追われて

帰れぬ「時」の中 行くだけだった

あれから どれだけ歩いたのか想像もつかない
何度か目にした 森の出口らしきも
結局は素通りしては
今でも 準備に余念がないぜ
いつでも追いかけられるように

愚かなことかい バカげた話しかい
それでもいいよ
小鹿の駆けてく足音が ほら
まだ この森に棲んでいる
そう この森に棲んでいる


必ず逢える もう一度 逢える
追いかけだした日のように
変わらぬ 純粋なままの姿で

目の前に現れる時まで
目の前に現れる時はくる


愚かなことかい バカげた話しかい
それでもいいよ
小鹿の駆けてく足音が ほら
まだ この森に棲んでいる
そう この森に棲んでいる

諦めだとか 思い知るだとか
そんなんじゃないぜ
疑いもせず この森に棲んでいる
まだ この森に棲んでいる
そう この森に棲んでいる

この森に棲んでいる
この森に棲んでいる

この森に棲んでいる

そして いつか 小鹿に連れられて
小さな花 咲く丘へと








ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 願い事 ひとつ | トップ | 人生の分かれ道で見た夢 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

詩歌」カテゴリの最新記事