明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1863)黒い雨訴訟が暴いたのは内部被曝の広範な影響=米国の核戦略の闇だ!だから日本政府は認めずに控訴した。この点が最も許しがたい!

2020年08月13日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200813 23:30)

黒い雨訴訟と内部被曝

昨日12日、国と広島市・県が「黒い雨」訴訟一審の原告側全面勝訴を認めずに、高裁への控訴を行いました。
これに対して「明日に向けて」で直ちに抗議の記事を出しました。マスコミの多くも原告の側に立ち、75年も被爆者認定をしてこなかった原告に、また裁判の負担を負わせるのかと憤りを明らかにしています。
しかし各社の記事をよく読んでいて、大事な点が十分にとりあげられていないことを痛感し、再度、記事を書くことにしました。

「黒い雨」訴訟勝訴の意義は、これまでの被爆被害の区域の認定を改めるべく命令したことだけにあるのではありません。核心は「黒い雨」による内部被曝の被害を広範に認定したことにあるのです。ここに重大な位置があります。
なぜか。原爆を落としたアメリカは内部被曝の影響を一切認めなかったからです。戦後、あたかも植民地政府のように、アメリカにべったり追従してきた日本政府もこの立場を採り続けています。
米日両政府によって、放射線の影響は、原爆が炸裂したときに発せられた中性子線とガンマ線、および爆心地付近で中性子があたって「放射化」した物体から出てきた放射線だけに限定されてきたのです。

実際は核分裂で膨大な死の灰が生まれました。黒い雨となって降った地域もあれば、チリや芥として降った地域もありました。
それを浴びて皮膚から吸収したり、呼吸などでとりこんだり、汚染された水や食べものから摂取することで、内部被曝が生じましたが、これを米日両政府はまったく無視したのでした。
これはアメリカの核戦略の闇と言える部分です。核戦略維持のために内部被曝をないものとしたのです。琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬さんが言われる「隠された核戦争」です。黒い雨訴訟はここに切り込んだのでした。


内部被曝についてはぜひこの書をご参照ください!


原告たちは内部被曝をこそ告発してきた

原告のみなさん、いや1976年から被害地域の拡大を求めてこられた多くの方たちは、「内部被曝の被害を認めよ」とも力強く訴えてきました。
それを有力に物語る書籍があります。『黒い雨 内部被曝の告発』です。「広島県『黒い雨』原爆被害者の会連絡協議会」が2012年7月30日に発行しています。裁判を始める3年も前のことです。
この中に50数名の被爆された方の証言が載せられています。そのタイトルを少しご紹介します。

「内部被曝をしている、確信をもって言えます」(植田あき江さん)
「国は内部被曝を認め、我々が生きている間に調査し研究を!」(寺本博和さん)
「国は集団訴訟で負けた。今度は内部被曝を認めよ」(中川敏明さん)

内容を読んでみると、それぞれの方が経てきた体調不良のこと、病のことが書かれています。黒い雨の直後にひどい下痢など体調不良にさいなまれたこと、その後も根気が続かないなど様々な症状に苦しめられたことなどなど。
親や兄弟姉妹、近親者が若くして亡くなったことや、同窓会を開いたら半数が亡くなっていたこと、さらには二世であるお子さんが生まれてすぐに亡くなったり、病弱に育ったりといったことも書いてある。
悲しい事実がたくさんですが、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。連絡先を記しておきます。

高東征二さん 〒731-5128 広島市佐伯区五日市中央6-6-6 
Tel & Fax 082-922-8746

E-mail takatou@ms12.megaegg.ne.jp




『黒い雨 内部被曝の告発』の表紙と背表紙


内部被曝の危険性をより明らかに!

このように見てきた時に、日本政府が行った控訴は、核戦略を維持してきた米国を守り、それに追従してきた自分たちを守るものであることは明らかです。
日本政府が卑劣なのは、実際に被曝被害があったことを熟知しているがゆえに、控訴で判決を否定しながら、援護地域の拡大などで、問題の沈静化図っていることです。
しかし反対にここに日本政府が、そしてその背後にいるアメリカが何を一番、問題にされたくないかが透けて見えています。

内部被曝の脅威をひた隠しにしてアメリカは核実験を繰り返しました。プルトニウム製造に必要な濃縮ウランの消費先を生み出すために、「原子力の平和利用」を語り、全世界に原発を広めました。
そのとき行われたのも、内部被曝の脅威を隠すことでした。原発は被曝労働なし成り立たないしろものだからです。もちろん深刻な核事故の可能性もはらんでいるし、実際にたくさん起こしてきました。
その上、核兵器製造にしろ、原子力発電にしろ、膨大な核のゴミを生み出しますが、そこでも内部被曝の脅威が隠されました。核のゴミの安全管理などとてもやりきれないし、かつ安全性を追求するならとてもコストに合わないものだからです。

だからこそ、黒い雨訴訟を高裁で勝利させること、そのためにも一審勝利の意義を広めることで、隠された被曝=内部被曝の脅威を明らかにすることこそが大事です。
それが核大国の核戦略への一番のボディーブローとなります。同時に裁判を最も力強く支えることにもなります。原告を助け、さらには私たち自身を助けることにつながります。
ぜひ多くのみなさんとこの道をともに歩みたいです。


原告のみなさんの奮闘は本当に素晴らしくありがたい!支えましょう―共同通信より

#黒い雨訴訟 #内部被曝 #広島原爆 #被爆者健康手帳 #放射線防護

*****

この記事に共感していただけましたらカンパをお願いできると嬉しいです。自由に金額設定できます。
https://www.paypal.me/toshikyoto/500


コメント   この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 明日に向けて(1862)「黒い雨... | トップ | 明日に向けて(1864)No more H... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

明日に向けて(1701~1900)」カテゴリの最新記事