明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(389)4号機が倒壊したら、半径250キロまで避難の必要が・・・

2012年01月25日 13時00分00秒 | 明日に向けて(301)~(400)

守田です。(20120125 13:00)

年始より、書かなければならないと思いつつ、手がまわっていなかった4号機問題についてまとめを行いたいと思います。

まず注目していただきたいのが、1月22日に共同通信によって配信された「【最悪シナリオを封印】 菅政権「なかったことに 」大量放出1年と想定 民間原発事故調が追及」という記事です。記事にはこう書かれています。

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文書は菅氏の要請で内閣府の原子力委員会の近藤駿介(こんどう・しゅんすけ)委員長が作成した昨年3月25日付の「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」。水素爆発で1号機の原子炉格納容器が壊れ、放射線量が上昇して作業員全員が撤退したと想定。注水による冷却ができなくなった2号機、3号機の原子炉や1~4号機の使用済み燃料プールから放射性物質が放出され、強制移転区域は半径170キロ以上、希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径250キロに及ぶ可能性があるとしている。

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しかし政府は、あまりの内容にショックを受け、この文章を「なかったことにしてしまおう」と相談。国民・住民に明らかにすることなく封印してしまいました。1月6日に、細野豪志大臣は、「実際にそうなったとしても逃げる時間は十分あるので発表しないことにした」と述べていますが、全くのいい逃れでしかないことは明らかです。同じ時期、政府はSPEEDYの情報も握りつぶし、原発近郊から避難を開始していた人々に、情報公開すれば避けられた被曝を負わせてしまいました。同じように最悪の事態が生じても、情報はなかなか伝えられず、膨大な数の人々が深刻な被曝をしてしまったでしょう。

問題はこれが過去のこと、終わったことにはなっていないことです。とくに最も懸念されているのが、4号機の問題です。4号機のプールには1500本を超える新旧の核燃料棒が入っています。燃料プールは原子炉の蓋に近い4階部分にありますが、4号機ではその下で初期に爆発が起こっており、建物全体が傾むいてしまっています。何度か補強が試みられていますが、高線量のため、十分な手当がなされてきたとは言えません。

さらに原発サイトはこれまで何度も余震に襲われており、4号機にもダメージがかなり蓄積しています。ここを大きな地震が襲った場合、4号機全体が倒壊してしまう可能性がある。そうなるとどうなるか。1500本もの燃料棒が、外に飛び出してしまいます。まったく冷却できない状態になるので、崩壊による熱が高まり、高温化し、高い線量の放射線を発しながら、どろどろになって地中に潜り始めます。

そうなると付近一体はとても近づくことができなくなり、他の原発で行なっている冷却などの措置も放棄せざるをえなくなります。そうなれば、最悪のシナリオで書かれていたのと同じことが必要になる。半径170キロからの避難、希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径250キロ圏内に及ぶということです。ただしこれは政府の試算ですから、ここでも影響を小さく見積もっていることは確実。実際には250キロ圏内ぐらいまで、ただちに避難しなければならない事態になるのではないかと思われます。450キロ圏内が避難の必要ありという見解もあります。それが私たちの前に現に今ある危機です。


この危機がにわかにクローズアップされたのが、1月1日に原発の近くで起こった震度4の地震でした。このとき福島県内のセシウム値が異常に上がり出した。何があったのでしょうか。東電は4号機プールの水位が急激に下降していることを発表しました。その後の調査により、「地震の影響により、プールからタンクに流れ込む水が一時的に止まっていた」と東電が発表したことを東京新聞が1月8日に報じていますが、セシウム値は15日ごろにも再び上昇しており、何が起こっているのか十分に明らかにされているとは言えません。

ただ確実に言えるのは、死活をなす冷却系が、震度4の地震でも壊れて動かなくなってしまう状態に4号機があるのが現実だということです。ネット上では9日ごろに小規模な爆発があったのではないかという推論も流れていますが、4号機がまだまだ大変危険な状態にあること自体は確かです。

関東・東北の方々は、地震に警戒し、常に原発の状態をチェックするようにしてください。万が一、大規模な地震が再び原発を襲った場合、ただしに避難を開始することが賢明です。政府の発表を待っていたら、確実に逃げ遅れます。その意味でいざというときの準備、持ち出すものや、家族の落ち合う場所、逃げるルートの選定、ガソリンをつねに満タンにしておく習慣を保つなどの対処をしておくことが有効です。

その意味で、仮想の避難訓練を行うことが大事です。災害心理学では人々が最悪の事態に直面したときに、それを無視することで心理的安定を保とうとする「正常性バイアス」が働き、心がロックされてしまうことが指摘されています。そうなると有効な避難行動に移れなくなってしまいます。この正常性バイアスに陥らないために最も有効なのは、事前の避難訓練であり、原発事故に対しては、最悪の事態に陥った場合を想定し、どう行動するかを決めておくことです。これまでのさまざまな災害でも避難のための事前訓練がなされていたかどうかが生死を分けています。

こうした点からも「パニック」を恐れて、今、現にある危機を国民・住民に伝えないのは、重大な誤りであることも指摘しておきたいと思います。政府は「災害心理学」の常識すら踏まえていません。最悪の場合を想定し、それへの対処の準備を進めてこそ、いざとなったときに対応できるのです。「逃げる時間が十分あるから伝えなかった」という細野大臣の言い訳は、それ自身、災害対策への知見がまったくないことを自ら明らかにしているものに他なりません。

大きな危機がまだ私たちの前に存在しています。それに対して、腹を決め、覚悟を固め、開き直って向かい合っていくことが大切です。最悪の事態を想定していれば、それ以下の小規模な事態にも対応できます。最も危険なのは、危機に対して、心理的に逃げてしまうこと、警戒心を解除してしまうことです。今ある現にある危機に、正面から向かい合い続けましょう。

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【最悪シナリオを封印】 菅政権「なかったことに 」大量放出1年と想定
  民間原発事故調が追及」


公文書として扱われず

東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。

民間の立場で事故を調べている福島原発事故独立検証委員会(委員長・北沢宏一(きたざわ・こういち)前科学技術振興機構理事長)も、菅氏や当時の首相補佐官だった細野豪志原発事故担当相らの聞き取りを進め経緯を究明。危機時の情報管理として問題があり、情報操作の事実がなかったか追及する方針だ。

文書は菅氏の要請で内閣府の原子力委員会の近藤駿介(こんどう・しゅんすけ)委員長が作成した昨年3月25日付の「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」。水素爆発で1号機の原子炉格納容器が壊れ、放射線量が上昇して作業員全員が撤退したと想定。注水による冷却ができなくなった2号機、3号機の原子炉や1~4号機の使用済み燃料プールから放射性物質が放出され、強制移転区域は半径170キロ以上、希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径250キロに及ぶ可能性があるとしている。

政府高官の一人は「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」と言明。別の政府関係者は「文書が示された際、文書の存在自体を秘匿する選択肢が論じられた」と語った。

最悪シナリオの存在は昨年9月に菅氏が認めたほか、12月に一部内容が報じられたのを受け、初めて内閣府の公文書として扱うことにした。情報公開請求にも応じることに決めたという。

細野氏は今月6日の会見で「(シナリオ通りになっても)十分に避難する時間があるということだったので、公表することで必要のない心配を及ぼす可能性があり、公表を控えた」と説明した。

政府の事故調査・検証委員会が昨年12月に公表した中間報告は、この文書に一切触れていない。
http://www.47news.jp/47topics/e/224789.php





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