明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1393)牧之原市に安定ヨウ素剤事前配布の全市化を実現して欲しい!(牧之原市、静岡市でお話しします)

2017年06月29日 11時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)
守田です。(20170329 11:00)
 
前回の続きです。牧之原市が市民向けに出したパンフレットを再度、ご紹介します。
 
「これからのエネルギーについて考えよう」
牧之原市 政策恊働部企画課
 
全体として説得力のある素晴しい内容になっており、幾つも大切な論点があるのですが、僕がこの中ではっとしたのは、牧之原市が各原発から30キロ、50キロ圏の人口を示し、この点では浜岡原発周辺人口が最も多いことを訴えていることです。
幾つかの原発を選んでの記述ですが、先ほどのPAZの人口だけでは見えてなかった、危険性にさらされたより広範な地域の人口が見えてくるので貴重です。以下、列挙します。(同パンフレット14ページ)
泊=30キロ8万人・50キロ24万人、柏崎刈羽=30キロ44万人・50キロ113万人、福島第一=30キロ15万人・50キロ58万人、東海第二=30キロ93万人・50キロ149万人
浜岡=30キロ74万人・50キロ214万人、大飯=30キロ14万人・50キロ45万人、玄海=30キロ25万人・50キロ139万人
 
この指摘はなかなか鋭い!5キロ圏だと約8万人とダントツの人口を抱える東海第二原発でも、30キロ圏では93万人といまだトップですが(浜岡は74万人)、50キロ圏となると149万人で、この点では浜岡原発の方が214万人と大幅に多くなるのです。
福島原発事故後に長い間、全村避難を続けて来た福島県飯舘村が、福島原発から30キロから47キロに位置していることを考えても、これはとても重要な指摘です。ひとたび事故が起こるとより多くの人々が被ばくしうるのが浜岡原発なのです。
もちろん事故の被害は50キロですら軽々と越えてしまう可能性があります。福島原発事故とて本来、政府が避難指示をだすべきところに出さなかっただけで、もっと広域の避難が必要だったし、今も必要なのですから。
 
一方で同パンフレットでは、牧之原市が「電源立地地域対策交付金」を受けて来たことも丁寧に明らかにしています。
それによると交付対象は御前崎市(旧浜岡町・旧御前崎町)、牧之原市(旧相良町)、掛川市(旧大東町)、菊川市(旧小笠町)で、1〜5号機での総額はなんと381億3451万6千円。
牧之原市はその17.8%の67億7220万3千円を受け取っています。それで保健センター、給食センター、温泉会館、コンサートホールなどが建てられ、道路整備や上水道配水管布設も行われて来たことが記されています。(同12ページ)
 
これらも記した上で、しかし「東北地方太平洋地震は想定外の地震津波というけれど‥欧米では、地震の発生する地域には原発を造らないのが原則です」ときちんと主張されています。(同13ページ)
また使用済み燃料問題についても解説した上で、後半で「これからのエネルギー」について考えることを市民に問いかけており、代替エネルギーの可能性なども指摘しています。
その上で「あなたは、福島原発事故後のエネルギーを、浜岡原子力発電所の今後をどう考えますか?」という問いかけでパンフレットを結んでいます。対話的な姿勢が光ります。
 
牧之原市はその後もこうした姿勢を維持。2016年9月からは浜岡原発に関する対話的なワークショップも設定し、4回にわたって開催しました。
これを発表した同年6月の市議会定例会で西原市長は次のように述べています。
「再稼働に関する議論が電力会社や住民を含めてなされることを期待している。賛否両方の意見を出し合う場にしたい」。以下、静岡新聞の記事を示しておきます。
 

浜岡原発巡り「対話」を 牧之原市、ワークショップ開催へ

静岡新聞 2016年6月17日
 
ワークショップは「牧之原市のくらしとエネルギーを考える」意見交換会と命名され、終了後にホームページで内容が紹介されました。以下、報告ページを示しておきます。
http://www.city.makinohara.shizuoka.jp/bg/shisei/ent/8942.html
 
同時に牧之原市は昨年9月15日に静岡県に対して、安定ヨウ素剤の事前配布を5キロ圏内にとどめず、同31キロ圏内の「緊急防護措置区域(UPZ)」にまで広げることを求めた要望書を提出しました。
要望書では「緊急避難時、UPZ圏内の住民に安定ヨウ素剤の迅速かつ効果的な配布は困難と予測される」として市内全域への配布を求めるとともに、「より簡易な方法」での配布を可能にすることも求めました。以下、静岡新聞の記事を示します。
 

ヨウ素剤「31キロ圏も事前配布を」 牧之原市、静岡県に要望

静岡新聞 2016年9月15日

牧之原市はこれらを進めながら、2016年10月から11月にかけて5キロ圏内での安定ヨウ素剤事前配布を実現しましたが、対象13600人に対して69.7%の配布率であったことを後に発表しています。
浜岡原発が建っている御前崎市で、ほぼ同時期の配布で60.8%、牧之原市はこれを大きく上回る実績を残しました。これらもまた牧之原市の一貫した対話重視の姿勢の中で実現されたことだと思われます。
牧之原市はその後も市民の意識調査等を実施。2017年5月25日の市議会常任委員会合同協議会の席上で、浜岡原発の今後を尋ねる市民アンケートで「停止しておいた方が良い」に51.6%の賛意が得られたことを発表しています。
「浜岡原発の安全性が確認できれば稼働した方が良い」は21.0%、「どちらとも言えない」は17.9%、「分からない」が5.7%だったそうです。
 
以上、牧之原市の取組を見てきましたが、一方で危険な浜岡原発再稼働に反対する姿勢を鮮明にしつつ、しかし一方で市民に対話的姿勢を示しつつ、市民とともに歩む姿勢はとても素晴しいと思いました。
同時にこうした対話的姿勢は、それを引き出して来たであろう市民の存在も大きく感じさせてくれました。行政の側だけが優れているのではなく、市民の側からも行政を育てて来たアプローチがあったのではないかと思えます。
牧之原の市民のみなさん、市役所のみなさん、市議会議員さん、市長さんの先進的な取組に拍手を送りたいと思います。
 
さてその牧之原市に呼んでいただけるのは何とも光栄なのですが、僕としてはやはり「とっとと逃げる」ことを基軸として、原子力災害対策をより前に進めていただきたいと思います。
同時に牧之原市がここまで来ているのであれば、ぜひとも5キロ圏だけでなく、ヨウ素剤事前配布を全市へと広げていただきたいと思います。これらを講演で呼びかけます。
いまのところ同市がそこまで踏み込んでいないのは「UPZの町が足並みを揃えた方が良い」との判断からのようですが、しかしすでに川内、伊方、高浜と再稼働が強行されており、足並みを揃えるための時間的余裕がないのも事実です。
いまはできるところからどんどん安定ヨウ素剤の事前配布を拡大していき、その中で「原発とは何か、原発事故とは何か、原発から命を守るために何が必要なのか」という議論を、全国的に拡大していくことが問われています。
ぜひ牧之原市のみなさんにそうした議論の先鞭をつけていただきたいと思いますし、僕自身も喜んで一緒に担いたいと思います。
 
牧之原市での1日、熱くなりそうです!みなさま、ぜひご参加ください。
翌日、静岡市でも熱気を引き継ぎますので、そちらにもぜひご参加を!
 
*****
 
原子力防災学習会
原発から50キロの兵庫県篠山市はどのように問題意識を共有していったのか?
 
講師 守田敏也氏
7月1日(土) 13:30〜15:00
会場 牧之原市さざんか
入場 無料・申し込み不要
15:15より懇親会を行います。参加費500円
 
主催:浜岡原発を考える牧之原市民の会
連絡:柴本08052957196 山崎0548522187
後援:牧之原市
 
*****
 
『原発からの命の守り方』 
~福島の教訓から学び、明日の暮らしにつなげる一歩へ~ 
守田敏也さん講演会 

日時:7月2日(日)13:00~16:00 
場所:静岡市労政会館(3 F )ロッキーセンター 
講師:守田敏也さん
参加費:当日1,000円 前売り800円 学生500円 
チケットは下記賛同団体まで、賛同団体はFBページに随時追加していきます。
キッズスペースあり(要予約) 
連絡先 :09092479731 (山田) 09039546563 (小笠原) 

主催:静岡市「守田敏也講演会」実行委員会 
賛同団体:保険医協会・自治労連・静岡YWCA・311を忘れない in 静岡・原発なくす会静岡・再稼働反対アクション@静岡・広域避難を考える県東部実行委員会 

FBページ 静岡市『守田敏也講演会』実行委員会 
https://www.facebook.com/morita.toshiya.kouenkai.shizuoka/

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