明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(848)トルコの炭鉱事故は人災!責任は人命軽視のトルコ政府にある!

2014年05月16日 19時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140516 19:00)

ここ数日、『美味しんぼ』の勇気ある発言を守り、発展させるために論陣をはっているところですが、トルコから大変なニュースが飛び込んできました。
トルコ史上最悪と言われる炭坑事故の発生です。
すぐにニュースを追いかけるとともに、トルコの友人と情報交換をしてきましたが、たちまち見えてきたのは、この事故が明らかな人災であることです。

トルコの人々もこのことに気が付き、すでに全国の町々で政府への抗議デモを行っていますが、暴力的なトルコ政府はまたしても武装警官隊を派遣し、ガス銃を乱射しています。本当にひどいです。
こんな野蛮な政府を相手に原発を売り込もうとしているのが、やはり暴力が大好きなわが安倍首相です。そんなこと、何としてもやめさせなければなりません。
世界にはびこる効率優先⇒金儲け優先⇒人命軽視の流れを食い止め、真に平和で豊かな世界の実現を目指しましょう。トルコの人々と共に。

トルコの親友のプナールさん(Pinar Demircan)が、さっそく事故内容と背景を調べて記事を書き、送ってきてくれたので掲載します。
彼女が書いた日本語を少しだけ僕が修正して仕上げていますが、こちらからのネット検索だけでは得られない貴重な情報がたくさん載っています。ぜひ読んでください。
なお彼女は、涙を流しながらこの文章を綴ってくれました。トルコのみなさんの悲しみと怒りをぜひシェアしていただけたらと思います。

*****

ソマ炭鉱事故 死者283人に 原因は劣悪な労働環境!
2014年5月16日早朝 プナール(Pinar Demircan)

世界中の皆さんがもうご存知のように、5月13日にトルコ西部マサニ県のソマにある炭鉱で火災が起こり、大勢の人が亡くなりました。しかもまだ百数十人が地下に取り残されているようです。
事故発生から1日半。火災を止め、坑内の人々を救うために救助隊が一生懸命に活動していますが、まだ救助隊が入れていないところが2箇所もあるそうです。炭鉱の中ではすでに火は消えているものの一酸化炭素ガスが未だ充満しています。その上、事故で電気が切られたため、鉱床から湧き出る水が排出できず、炭鉱中に水がいっぱい溜まっているそうです。
事故はちょうどシフト変更のところで起きてしまいました。そのため炭鉱内に787人の作業員がいましたが、そのうち今までで283人が亡くなり、80人が重軽傷を負っい、さらに約280人が地下に取り残されているとみられています。

事故から一日後にエルドガン首相(注)が現場におもむきました。たちまちこの事故でお連れ合いや父親、子どもを亡くした遺族たちや市民たち首相に詰め寄り、事故の責任をとって辞やめて欲しいという声を上げました。
それに対し首相は過剰な反応をみせました。遺族や市民の叫びを耳にして反対に怒り出し、市民と争う姿勢を示しました。首相の警備隊も周りで声を出す人を捕まえようとしたそうです。

警察の暴力は、事故のあったソマでだけではなく、事故に対する悲しみを表し、政府にへの怒りを表明した各地の市民に対しても向けられました。
例えば昨日(15日)イスタンブールのタクシムで政府を批判するデモが行われました。新聞各社も集まり、国民の悲しみを代弁して主催団体の声明が発表されましたが、警察はこの時集まった4000人の人々に対して催涙ガスを使い。デモを止めさせようとしました。
しかし怒りの声はソマやイスタンブールにとどまりません。全国の町々でデモが起きています。トルコの人々は、口々に「エルドガン!首相を辞めなさい!」と叫んでいます。フェスブックやツイッターでも多くの人々が怒りを表明しています。
トルコ政府は今後3日間を「忌中」とすると発表しましたが、公務員の方たちも、この悲劇のために、今日(16日)は働かないことを自主的に決めました。事故からもうすぐ2日間が過ぎようとしていますが、全国の人々が深く心を痛めています。そして政府と与党である公正発展党(AKP)こそが事故の責任者だと感じとっています。
(注)日本ではトルコ首相の名は「エルドアン」と表記されていますが、トルコ語ではErdoğanで、ときに日本でも「ガ」と表記されることもあるようです。この点、プナールさんに確かめると、「彼はトルコのガン(癌)ですから、エルドガンでいいです!」とのことでした。この点、付記しておきます。

政府の19年前からサインしていない労働協定

それはなぜでしょうか。
世界中の国々で、危険性が最も高い作業現場は炭鉱であると考えられてきたのに、トルコ政府は1995年にILO(国際労働機関)が打ち出した「鉱山における安全及び健康条約(第176号)」にサインしていないのです。19年間もです。
サインしていない理由は、下記の規則を守らないといけないからです。

1-常時、炭鉱に何人がいるかが分かるためのシステムを作らないといけない。
2-炭鉱の中で安全性を高めるための連絡システムを持たなくてはいけない。
3-常時、地下に何人が居るも分かるようなシステムを作らないといけない。
4-作業中に作業者が安全で元気に働けるように、コミニュケションの円滑化も含め十分の技術が使われなければならない。
5-いつなんどきでも地上に安全に出られるように、各ゲートからの出口を二つ確保しておかなければならない。
6-現場の作業条件が不断に改善され、危険な状態がないか点検するために、現場の定期的な監査がなされなければならない。
7-十分な空気交換が行われなければならない。
8-火事や爆発が起きないような対策が講じられなければならない。
9-労働の安全性が悪化した場合はすぐに作業を中止し、緊急対応プランが実施されなければならない。
10-災害や事故が発生した場合の、緊急対応プランが作成されていなければならない。
11-作業者に安全な作業を行うための専門的な教育やトレーニングが、無料でなされなければならない。
12-作業のリスクについて作業者の意識を高めることがなされなければならない。
13-事故が発生した場合の、被災者の救助や治療について作業者の意識を高めることがなされなければならない。
14-監査体制がプランニングされるとともに、万が一、事故が発生した場合の検査体制が作られなければならない。

この他、インフラ整備として、炭鉱の中に非常時に難を逃れるシェルターを作ることも義務付けられています。このための12人用のシェルターのコストは8万ドルです。
ソマ炭鉱の場合、一番込み合う時の人数分として780人のために20個のシェルターが必要ですが、それがあれば深刻な事故があっても、作業者が15から20日間は生き伸びられるとされています。
しかしトルコ政府はILOのこの協定へのサインをしてきませんでした。また掲げられた規則の一つも守っていません。このように政府が、本来、設置すべきだったシェルターを作ってこなかったために、今回の事故でもたくさんの作業員が亡くなってしまったのです。

ソマ企業と公正発展党(AKP)の癒着

問題はトルコが、ILOの炭鉱関係の条約にサインをしていないことだけではありません。問題点のもう一つはソマ炭鉱が2005年に国立の炭鉱から私営の炭鉱になり、「ソマ企業」が運営を始めたことです。トルコの中で国立の炭鉱と、私営の炭鉱の差は、先ず安全性に現れます。
トルコで国立炭鉱での事故の率(1000人中、事故で亡くなった人の数)は2.4人なのに私営の炭鉱の場合は20.3人と10倍になっています。同じ事故の率はヨーロッパの場合は1.8人だそうです。ちなみにトルコで2000年からあった炭鉱事故での死亡者総数は1308人だそうです。

残念なことですが、一般のトルコ人には、日本人のような「安全第一」という意識がありません。安全性の向上のためには特別な教育が必要です。ところが私営の企業の場合、お金をたくさん稼ぐための一番簡単で安い方法が考えられる場合がたくさんあります。
例えばソマ企業は、事故の前にテレビで「大きなコストダウンをした」と自慢していました。おかしいのはそのコストダウンが経営コストを140$より24$に下げたことだったです。
コストを約6分の1にして、6倍の利益を上げたということですが、それはありえないことです。コストと生産性のバランスをなくしてまともな仕事ができるはずがないでしょう。

しかしこの事故の2週間前に、偶然にソマ企業があるテレビに取材され、ソマ炭鉱が良い評判を受けました。ソマ企業はソマ炭鉱のことを「危険性のない素晴らしい現場で、事故が起きても作業者は20日間ぐらい地下で生きられます」と説明したそうです。
ソマ企業がいかに「素晴らしい」か、私たちは今回、全国で泣きながら良く理解しました・・・。

実際にはソマ企業の炭鉱では、この3年間以内で11回も死亡事故が起きています。さらに15歳の子供でも働かそうとしていているのに政府にサポートされている。こんなこと、信じられますか。
ソマ企業は下請け業者もたくさん使っているそうです、そのことだけでも事故の数が増えています。下請け業者が使われると現場の安全教育レベルが下がるからです。
しかもソマ企業は、今まであった11回起きた死亡事故の原因を把握しようとしてきませんでした。対策も作らなかったし、事故が二度と起きないようにする教育も与えず、現場の改善もしてきませんでした。
そのことに気が付いたAKPの反対党のCHPが、議会で質問を出して、「ソマ企業ではなぜ事故が多いのか」と問いただし「定期的に監査を行うべきだ」と提案しましたが、AKPは簡単にこの提案を断ってしまいました。

政府与党のリーダーであるエルドガンと、ソマ企業のオーナーが癒着していることも大きな問題です。ソマ会社のオーナーのお連れ合いの女性が、ソマ炭鉱のあるマニサ市の市会議員となっていて、市のAKPを代表しているそうです。
更に首相とソマ企業のオーナーの癒着の中で、選挙では作業者に無理やりに利益供与がなされ、AKPへの投票が強制されたそうです。ソマ企業には5000人の作業者と500人の事務員がいます。
ソマ企業のメイン事務所はイスタンブールで一番地価が高い、東京の新橋に当たる「マスラック」にある29階建てで高さ191mの「スパインタワー」にあります。亡くなった作業者の方たちの伸長を計算すると、約288x160cm。リッチなソマビルを7回ぐらい超えることになります・・・。

組合の活動と現場の改善が足りない

トルコで現場の改善が出来るのはそれぞれのセクター(業種)に入っている組合です。とくに社長が利益ばかりを考える会社の場合、それは大事な立場を担っています。
しかしある会社の組合が、自分のセクターの組合に参加できるためには、その企業の作業者の過半数が組合でなければならないと決まっています。しかしそのレベルは高すぎます、ヨーロッパの国々でそれは30%以上ということです。
そのために、現場の改善が出来て安全性が高まるような組合に参加できなかったソマの作業者たちが、すべてオーナの言う通り、コストが低く抑えられたために安全ではないところで、分けが分からずに働かせられてきました。
因みにソマ企業の炭鉱の作業の一ヶ月の賃金はどのぐらいでしょうか。900TL(トルコリラ)す。日本円でいうと9万円です。 
これらをもとに次のことが言えます。今回あったのは「事故」ではありません。虐殺です。犯人は間違いなく政府です。しかしそのことが、政府、そして与党AKPやエネルギー大臣、労働大臣、首相に全く受けいられていません。

政府の犯罪

まとめて言いますとAKPはソマ事故の犯人です。その理由は、

AKPやエルドガンが炭鉱企業と癒着し、政治的な利益を受けるために、ビジネスの足りないところを、安全管理を時過ごしてきたからです。
ソマ企業の作業者に自分に投票してもらうためにもソマ企業が何度事故を起こしても、罰を与えなかったからです。
AKPの反対の党が忠告してたのに聞こうとしなかったからです。
ソマ炭鉱への監査要求を無視したからです。
セクター(炭鉱業)の賃金が危険性に比べて低すぎることを放置してきたからです
ILO条約にサインせず、安全上、絶対に必要なインフラーを作らなかったからです。
この事故のせいで多くのトルコの人々が泣いているのに、まだ暴力を使って人々を抑圧しているからです
未だに炭鉱の中に何人が残っているか分からない程、原始的で劣ったシステムが炭鉱で使われてきているからです。

こんな国に原発発電所を作ろうとしている日本の安倍首相、もう一度考えてください!
このようなひどい政治的な考え方を持つトルコ政府と日本が、原発のビジネスを始めるなら、結果は安倍さんが想像できないひどいものになると思います。
炭鉱もコントロールできないトルコで、原発は爆弾と変わらないです。

以上

 

コメント   この記事についてブログを書く
« 明日に向けて(847)メカニズム... | トップ | For tomorrow(849) Why such ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

明日に向けて(801)~(900)」カテゴリの最新記事