明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1800)原子力ムラにつながる人々にご用心!(渋谷健司氏と上昌広氏について)―新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(17)

2020年04月25日 03時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200425 03:00)

とても重要な局面なので、深夜の連投をお許しください。

渋谷健司氏と上昌広氏は福島原発事故後に、相馬市で放射能安全教育をしていた!

前回、渋谷健司氏の肩書のことについて触れました。
どのマスコミも「WHO事務局長上級顧問」として彼を紹介しています。残念なことに、しんぶん赤旗でもです。DIAMOND onlineにいたっては、「事務局長側近」と書いていました。
しかし側近ならなぜジュネーブで奮闘していないのか。ロンドンから日本のマスコミに何度も登場する余裕はどこにあるのかという疑問をひもとき、少なくとも彼が「保健指標とデータにおけるスーパーアドバイザー」に過ぎないことが分かりました。

さらにリサーチを進めた結果、渋谷健司氏が、福島原発事故以降に相馬市に入り込み、放射線安全教育などを司ってきたことが分かりました。
一緒になって活動していたのが、上昌広東大特任教授、坪倉正治医師、早野龍五東大教授です。坪倉医師は、もともと上昌広氏の指導を受けてきて、上氏に促されて相馬市で医療活動をしています。
この方たちは、相馬市の「健康対策専門部会」に参加されています。相馬市長のパワーポイントからご紹介します。


相馬市長
作成の資料から

放射線安全教育とは、「福島が危険だというのは風評だ。実際にはもう安全なのだ。避難など間違っている」と言わんがためのもので、文科省が作った『放射線副読本』にもまとめられています。

このための一つの軸をなしてきたのが、ホールボディカウンターで市民をどんどん測定して、「ほら、内部被曝の影響などないでしょう?安全ですよ」と示すことでした。しかしこれには大きなカラクリがあります。
ホールボディカウンターは、どれだけの被曝を受けてきたかを測る装置ではないのです。いま、体内にあるセシウムからのγ線を測っているにすぎません。


ホールボディカウンター詐欺

福島原発事故では放射性ヨウ素がいっぱい飛び出し、人々を襲いました。またセシウム以外にストロンチウムやプルトニウムなどの放射性物質もたくさん漏れ出しました。
このうちヨウ素は半減期(原子の塊の数が半分になるまでの時間)が8日と短い。このため80日目には約1000分の1、160日目には約100万分の1になってしまい、すぐに測定できなくなるのです。
ストロンチウムとプルトニウムはどうかというと、それぞれβ線とα線という放射線しか出さない。これらは細胞の分子をどんどん破壊し、体内でエネルギーを費やして、ホールボディカウンターまで出てくることはありません。測れないのです。


ホールボディカウンターは、事故後の被曝量を測る装置ではない!相馬市長作成のスライドより

このため事故から少し経ってホールボディカウンターで測って、「安全だ」というのは詐欺なのです!少なくとも、半減期の短い放射性物質からの被曝影響は計れないこと。ストロンチウムやプルトニウムなどからの被曝も測れない告げなければ完璧な詐欺です。
しかし相馬市長が作られたパワポを見ても、そうした真実がきちんと告げられていたとは到底思えません。
このことをここで持ちだしたのは、福島の人々を騙し続けてきた渋谷氏や上氏は、「リスクコミュニケーション」という、人が「危険だ」と思っていることを「安全だ」と思わせるテクニックを持っている方たちだからです。反対に怖がらせるのもかなりうまい。

「福島は安全 正しく怖がれ」=怖がるな!と講演する坪倉医師

とくに今回は、安倍政権批判に見せかけつつ、医療界への不信をあおりまくっている。もちろん人々の不安をあおりながらです。
僕が見る限り、多くの左派に属する方たちが、これにやられてしまっている。その中軸が「死亡者がごまかされている」論です。なぜなのか。実はこの指標をグレーにしてしまうと、人々はどんなに頑張っても、自分たちの成果を確認できない。
命を守ろうと思って努力しても、「死者数がごまかされている」のだとしたら、努力の成果が永遠に見えなくなってしまう。だから努力すればするほど不安になる。そして不安になればなるほど、安倍政権と医療界を串刺しに見てしまうことになるのです。

今回、実は僕はあえて「裏技」を使いました!渋谷氏の語っていることを論破する前に、この方がWHO事務総長の側近かのようにふるまっているけれども、そうではないことを明らかにし、さらに福島で安全教育を行い続けた方であることを明らかにしました。
なぜかと言えば、避難を決行した方たちの一部までもが、渋谷氏や上氏の語る政府批判と見せかけた医療界批判に、乗せられてしまっている面があるからです。
しかし、放射線防護でともに奮闘してきたみなさん、被曝から命を守ってきたみなさん。渋谷氏と上氏は、被曝を強制する側に居続けた人物です。信用してはいけない!ぜひこのことを知って欲しい。原子力ムラにつながる人々に騙されてはダメです。


渋谷氏が「原子力ムラ」につながっていると考えるわけ

原子力ムラとは、原発や核兵器をめぐる産官学によって構成される、特殊なムラ社会のことです。原発推進派、核戦略推進派であるとも言えます。
実は今回の調査で、渋谷氏と原子力ムラとの直接的なつながりが、すぐには見えませんでした。しかし繰り返しリサーチを行う中ではっきりとしたことが見えてきました。
福島で行われたパネルディスカッションで、Gerry Thomasというインペリアルカレッジ・ロンドンの教授と、Peter JohnstonというIAEA核物質保全管理部門長が参加していたからです。この他、WHOの日本人スタッフも参加している。

このうちのGerry Thomas教授は、2013年11月に英外務省首席科学顧問ロビン・グライムス教授と、共同声明を発表しています。長いけれど重要なので、在日イギリス大使館から発せられた声明を引用します。

「我々は、原子力規制委員会による、避難住民の早期帰還に向けた、東京電力福島第1原発事故に伴う追加の被曝線量の見直しを提案する報告書(案)を歓迎します。
チェルノブイリや福島第1原発事故後の、健康への影響に関する研究では、避難の結果として、落ち込み、孤独感、絶望感などの問題が確認されています。
つまり放射線を「恐れること」自体が重大な問題で、放射線量が低い場所では、より大きな懸念材料になりうるのです。
10月に福島を訪れた専門家チームは、年間1~20ミリシーベルトの被曝線量の許容範囲は、国際基準に沿っており、国際放射線防護委員会(ICRP)や国際原子力機関(IAEA)、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)、世界保健機関(WHO)などの国際機関の指針に沿っていると述べました。」
https://www.gov.uk/government/news/uk-nuclear-experts-welcome-proposal-to-amend-japans-radiation-exposure-criteria.ja

「年間1~20ミリシーベルトの被曝を許容することこそ、国際基準に適っているんだ、ICRP,IAEA,UNSCEAR,WHOの指針に沿っている!」と書かれている。これらの国際機関による被曝強制へと、原子力規制委員会がすり寄ったことへの称賛なのです。
そしてこの声明を発したGerry Thomas教授とともに渋谷氏らはシンポジウムを行っています。
このように渋谷氏は、「放射線を恐れること自体が重大な問題」と言ってきた原子力村につながり、被曝強制の側に立ってきたのです。その方が今回は「恐れろ!東京は手遅れ!」と叫んでいます。けして信用してはいけない!


福島で行われた原子力ムラを招いたシンポジウム コーディネーターは渋谷健司氏

続く

渋谷氏が、原子力ムラにつながっているからといって、「東京は手遅れ」「検査抑制の限界を認めよ」という論を、うちやぶったことにはならないことは、百も承知です。次回はこの点を書きます。

#新型コロナウイルス #パンデミック #医療崩壊 #渋谷健司 #WHO事務局長上級顧問 #上昌広 @安倍晋三

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