明日に向けて

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明日に向けて(2238)宇品港ー旧陸軍桟橋を訪れて

2022年08月08日 14時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220808 14:30)

かつて宇品港からたくさんの兵士が海外に送られた

ヒロシマの日の翌日7日、広島市の南、海に面した広島港ー旧宇品港に行き、宇品中央公園を訪ねてきました。
ここに行ったのは、旧日本陸軍運輸部船舶隊司令部(通称、暁部隊)があったからです。
元々、大まかにその存在を把握していましたが、より詳細なことを知ったのは『暁の宇品』(堀川恵子著 講談社)によってでした。




陸軍船舶隊の碑と宇品中央公園 守田撮影

そのうち書評を書きますが、宇品はもともと平安時代末期ごろから港として活用されてきたところ。明治時代に大改修が行われました。
指揮したのは1880年(明治13年)、新たな広島県令となった元薩摩藩士千田貞暁。暁部隊という通称の由来とされていて、1889年(明治22年)に工事終了、翌年竣工しました。
その後、1894年の日清戦争時に山陽本線が広島駅まで開通。これに合わせて広島駅から宇品港にいたる宇品線がわずか17日間の突貫工事で作られました。


宇品波止場公園にある宇品線のモニュメント

これ以降、広島は海外出兵を繰り返す旧日本軍の一大兵站基地となりました。ここに兵士たちが続々と連れてこられ、武器が運び込まれ、海外へ送り出されました。


陸軍船舶隊のこと

この兵士と武器の集積と送り出しを専門的に担当したのが陸軍船舶隊でした。部隊は兵士と武器を効率的に船に積み下ろしすることを目指しました。
もともと昔の港はどこも底が浅く、大きな船が近づけない。そのため小舟に兵や武器を乗せ換える必要があったわけですが、これがものすごく時間がかかる。
とくに研究が重ねられたのが中国侵略戦争において、中国軍の攻撃をかわしながらいかに迅速に上陸を行うかでした。そこで船舶隊から大きな技術革新が生まれました。

開発されたのは「上陸用舟艇」でした。それも木製の小舟が使われていた時代に、攻撃に耐えられる鉄製の箱のような船を作り出し、「大発」「小発」と呼びました。
さらに船舶隊は最新鋭輸送船も建造。船の後部ハッチを開いて、戦車を載せた「特大発」をはじめ、「大発」「小発」を吐き出すように発進させることができました。
これが可能になったことで、日本軍は上陸作戦が進化し、どんどん兵員を中国戦線に送り込み、奥地まで進攻していきました。


大発の図面と写真 ネットより

『暁の宇品』では技術開発の煌びやかさが描かれていますが、しかし反対に言えば船舶隊がそこまで頑張らなければ、日本は中国侵略戦争をあそこまで進められなかった。
そしてそれが日米戦争にもつながったわけですが、「大発」に刺激を受けたアメリカは後に上陸用舟艇を大規模開発し、沖縄上陸作戦などで多用しました。
つまり技術革新の成果が、日本を中国侵略にのめり込ませ、さらにアメリカによって日本攻撃に活用されたのです。軍事技術開発がかえって国を滅ぼすことに結果しました。



映画『史上最大の作戦』(1962)で描かれたアメリカ軍によるノルマンディ上陸の風景
陸軍船舶隊が開発した「上陸用舟艇」が多用されている


旧陸軍桟橋に立って

宇品中央公園で陸軍運輸部の名残りの碑などを撮影した後、近くの宇品波止場公園に移動しました。ここはかつて「陸軍桟橋」と呼ばれたところ。
今よりも海に向けて突堤が伸びていて、ものすごくたくさんの兵士がこの桟橋から小舟に乗り、沖に待つ輸送船へと向かい、そこから中国や南方へと送られたのです。
ここには歌人近藤芳美の詠んだ歌が記されていました。「陸軍桟橋と ここを呼ばれて 還らぬ死に 兵ら発ちにき 記憶をば継げ 芳美」


近藤芳美の歌碑 守田撮影

またここは正式には「六管桟橋」と呼ばれたそうで、その説明版にも「多くの兵士たちを送り出した一方、多数の遺骨の無言の帰国を迎え」と書かれていました。
ここから海に向かった兵たちの多くが10代末から20代だったでしょう。大戦末期にはもっと高齢の方もいたでしょうが、どんな思いでここを後にしたことでしょう。
当時、日本軍は兵士への配慮が極端に低い軍でした。ひどい目にあったでしょう。さらに中国に送られて民衆虐殺に加担させられたものもたくさんいたでしょう。


いまも護岸に名残りがる六管桟橋 ここから若者が戦地に送り出された 守田撮影

この陸軍桟橋で、その辛さ、悲しさ、そして虐殺などに加担させられたことの重みを僕なりに目いっぱい、受け止めたいと思いました。
そう。僕も近藤芳美さんが言われたように「記憶をば継げ」と思います。平和への思いを精一杯込めて。


宇品の海 現在の広島港フェリーターミナル付近から 守田撮影

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