明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1542)地震被害と原発の危険性の過小評価が連動している!だから原発を止めれば災害対策全般が進む!(大阪北部地震の考察―4)

2018年06月22日 13時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180622 13:00)

地震発生から4日あまり、100時間あまりが経過しました。
この間、余震も少なくなり、次に大きな地震が来る予兆は示されていません。

しかしもちろん何が起こるか分からない。また今回の震源地ではなくもっと離れたところが動く可能性もあります。
この地震を期にそれぞれのご家庭で家具への耐震補強を進めたり、水の備蓄などを進めてください。ともあれ「備えあれば憂いなし」・・・いや「備えあれば憂い少なし」です。

その「備え」の中でも効果が大きいこと、リスクを低減できることは原発を止めてしまうことです。
単に今回の地震が次の大きな地震につながる可能性だけでなく、この間、内陸直下型の地震が頻繁に起こり、すでに柏崎刈羽原発が想定を大きく越える地震の直撃も受けていて、次の地震が予測されるからです。
ひずみ集中帯のどこが次に動くか分からないし、南海トラフ地震が起こる可能性も毎日確実に高まるばかりです。
だから原発を止め、危険な核燃料をせめて燃料プールから降ろして、少しでもましな管理に移すことを急ぐ必要があります。

しかし運転が終わったばかりの核燃料はプールからすぐには降ろせない。数年は冷やさないと放射線値が高すぎで作業ができないからです。
運転すればそんな危険でやっかいなものが増えるばかり。その点からも地震が続くこの国でもう原発の運転を続けてはならないのです。

さらにもう一点重要なのは、にもかかわらず運転強行が続けられる中で、原発の稼働にとってネックとも言える地震の危険性そのものが過小評価されてしまっていることです。
例えば2016年4月14日、16日に熊本県益城町で震度7の地震が続いたあとに、地震は一方で大分に広がっていき、他方で鹿児島にも広がっていきました。
「14日の地震は日奈久断層帯の北端部の活動、16日未明の地震は布田川断層帯の活動」と繰り返し発表されましたが、しかしこれらの断層は明らかに日本列島を横断する「中央構造線」に含まれるもので、そこに沿って地震が広がりつつありました。
その東側には伊方原発が中央構造線の直近に建っているし、西南にはやはり中央構造線の近くに川内原発が建っています。

しかし政府はこの事実を無視し続け、けしてこの地震を「中央構造線」の揺れによるものとは言いませんでした。
それどころか地震を「熊本地震」と表現し続けました。本来は「熊本・大分・鹿児島地震」などと言うべきでした。ちなみに僕自身は当時、この点への抗議の意も含めて「熊本・九州地震」と呼んでいました。
しかしNHKのニュースでも、政府の意向を忖度してか、しばしば鹿児島県など九州南部をきりとった地図を映しながら地震続報が伝えられ続けました。

ここに顕著なのは「もはや地震大国日本で原発が動いていてはいけない」という事実を隠すために、地震の危険性そのものが過小評価されてしまっていることです。
そうなれば当然、地震対策もないがしろになってしまう。地震の危険性を強調すると誰もが「それならなぜ原発を動かしているの?」と目覚めてしまうので、地震の危険性そのものをきちんと伝えないことが横行しているのです。

火山の噴火でも同じことが言えます。そもそも九州は大きな活火山がひしめいていて、今日現在も霧島連山の新燃岳が再び噴火しています。
九州には阿蘇山もあり、大規模な噴火から破局的なものまでが起こりうるし、その時に火砕流が原発を襲う可能性もあります。
大規模な噴火の上に原発の大事故が重なりでもしたら九州は極めて長い間、人の住めない地帯になってしまう。いやそこから出た放射能が日本列島や世界にどれだけ悪影響を及ぼすかの想像もつきません。

この危険性に対してなんと九州電力は「大規模噴火は数年前に予兆があるので、それをつかんだら核燃料を降ろす」と主張し、これを原子力規制委員会も認めてしまっているのです。
これに火山学会が猛抗議しています。実際には噴火はごくごく直近でなければ分からない。いやそれだって正確さはない。いまの科学ではほとんど予知できずに起こってしまうこともありえるのが火山噴火なのです。

火山学会が猛抗議したのは、これでは人々の噴火への備えが疎かになってしまうからです。噴火は的確には予知できない。だから普段から備えておく必要がある。
火山学者たちが声を枯らしてこの点を連呼しているのに「数年前から分かる」などと言われれば、まともな防災意識も態勢も育たないし作れなくなってしまいます。

地震についても火山の噴火についても、原発の運転を強行したいがゆえに極端な過小評価が続いています。原発そのものの危険性の過小評価と地震・噴火の危険性を軽く見積もることが連動しているのです。
反対に言えば原発を止め、原発を動かすための嘘の連発をなくせば、実は災害対策全般にまともさを取り戻すことができて、効果的な対策の積み重ねが可能になるということです。

真の「国難」である地震・噴火対策をもっときちんと推し進めるためにも、もはや大嘘政治の元凶の一つとなっている原発を一刻も早く止めましょう!

続く

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