明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(283)矢ヶ崎克馬さんを京都にお招きします。(11月19日)

2011年10月05日 23時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111005 23:30)

内部被曝の脅威について、これまで矢ヶ崎克馬さんの語られている内容を、
何回かに分けてこの場に紹介してきましたが、ぜひ京都にお招きして、直接
お話を聞こうと言うことで、11月19日に講演会を立ち上げました。

前半で矢ヶ崎さんに内部被曝についての講演を行ってもらい、後半で、福島
から避難中の方、京都から茨城や福島に避難情報などを伝える「ほっこり通
信」を発信している方、そして先日、僕を信楽にまねいて下さった「あすの
わ」の方、都合3名の女性に登壇していただき、矢ヶ崎さんに意見を伝えたり、
質問をしてもらい、討論をしながら内容の理解を深めていこうと思います。
この後半の討論のコーディネートを僕が行います。


放射線の問題、人体への影響をめぐっては、「専門家」の間で大きく意見が
相違しています。政府寄りの「専門家」の中には100ミリシーベルトまでは
安全だと言う人すらいます。しかしこの国がもともと定めていた年間の
許容量は1ミリシーベルトです。この大きなギャップはどこから生まれて来る
のか。

僕自身、正直なところ、311直後、何を考え方の基準にしたらいいかよく
分からず、かなり混乱しました。放射線の害がどれぐらいからあるか、誰に
とっても経験的に、あるいは実験的に知ることができないため、文献から学ぶ
以外にないのですが、論者によって評価が大きく食い違っていたからです。

やがて僕がいきついたのは、6000人の被爆者を診てこられた肥田舜太郎医師の
見解でした。その肥田さんが現在の放射線学はウソが多いと語っている。とくに
最近の学者は誰も被爆者を診たことが無いのに、放射線の影響を語っている。
これらの人はアメリカの言ったことをオウム返ししているに過ぎないと、繰り
返し警告されていることが僕の胸に響きました。


ではどうしてそうなったのか。放射線の影響の疫学的データといえるものは、
広島・長崎の被爆者への調査の中で作られてきているわけですが、そもそも
アメリカは、原爆の非人道性を少しでも覆い隠すために、一切のデータを
隠すとともに、被爆者として認める範囲を非常に狭くしてしまったのでした。

爆心地から半径2キロ以内にいた人、また2週間以内に爆心地に入った人のみが
被爆者と認められた。しかし放射能を多分に含んだいわゆる「黒い雨」は半径
10キロ以上にわたって降っています。その雨にあたり、あるいは雨が入った
井戸水を飲み、雨で汚染された食物を食べて内部被曝したたくさんの被爆者、
あるいはまだまだ放射能が高い濃度で残留していた市内に、2週間以降に入って
被曝した方たちが、被爆者から除外されてしまったのでした。

そのため、アメリカが作った教科書の解説は、実際の被爆者(認定されてない人
を含めた本当の意味での被爆者)の実情にまったく合わなかった。しかも現実に
合わせて教科書を変えるのではなく、教科書に合わせて現実が解釈されたため、
現にさまざまな身体症状が出ている方たちがいるのに、放射線の被害は認め
られませんでした。そのため、多くの被爆者が塗炭の苦しみを嘗め続けてきたの
ですが、肥田さんは誰よりも早くから、そうした被爆者を診察し、被爆者に寄り
添い、共に歩んでこられました。いやご自身も被爆者ですから、まさに被爆者たち
の先頭にたって、歩みを進めてこられてきたと言えます。

この事実から僕は、放射線の人体に対する被害を一番よく知っているのは、肥田
先生だと感じ、その肥田さんが、アメリカのアーネスト・スターングラス教授と
出会い、初めて、自分の診てきた知見が理論づけられたと感じたと述べていること
から、このスターングラス教授らが解き明かしてきたものにこそ、放射線被害の
実際の姿があると考えて、その理論などに学んできました。


さらに一歩進んで、僕が学びだしたのが、矢ヶ崎克馬さんの諸論でした。僕が着目
したのは、矢ヶ崎さんもまたアメリカの書いた教科書から出発せず、被爆者の現実
から歩みだされていることでした。というのは矢ヶ崎さんの研究は、政府によって、
(もともとはアメリカによって)被爆者と認められたなかった方たちが、このまま
では死んでも死にきれないと被爆者認定を求める集団訴訟を求めたことに対し、
被爆者と弁護団の要請を受けて、裁判の証人として出廷するために、被爆者の身
体に起こったことを、物理学の立場から解明せんと始められたのでした。

その意味で、矢ヶ崎さんは、アメリカの教科書から自由なところで、被爆者の実際の
苦しみから出発しつつ、肥田さん臨床的経験知をも受け継ぎながら、理論的解明に
進むことができたのでした。そしてその矢ヶ崎さんが解明されたのが、内部被曝が
外部被曝と比べて、はるかに人体への打撃力が高く、危険性が格段に高いという事実
でした。そのため矢ヶ崎さんは、脱原発を唱える科学者の中でも、もっとも内部被曝
に厳しい評価をしており、汚染された食べ物などから体内に放射性物質を取り込む
ことへの徹底した防御を強く訴えられています。

僕はこの矢ヶ崎さんの知見に学んでこそ、子どもたち、妊婦さん、だからまた私たち
の未来を守れると感じています。そのため、一人でも多くのみなさんに、矢ヶ崎さんの
お話に直に触れて欲しいと思うのです。ぜひ京都周辺だけでなく、当日、足を運ぶことが
可能な全ての方に集まっていただければと思います。

みなさま。ぜひぜひ、起こしください。以下、案内を貼り付けます。

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いまこそ原発を問う連続講座(第4回)

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    こどもたちを放射能から守るために
   ―知らされなかった内部被曝の真相―

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3.11福島第一原発の事故からずっと、私たちの生活環境は放射能に汚染され
続けています。関西でも、市民による日常的な計測の必要性が話題に上って
きています。とくに感受性の強いこどもたちの未来を守るために、今、わたし
たちは何をしなければならないのでしょうか。

食べもの・飲み水の放射能汚染に、「安全なレベル」はあるの?家庭で気を
つけられることは?こどもたちのためにできることは?低線量被曝・内部被曝
の危険性について、信頼できる見解と正確な情報が求められています。矢ケ崎
克馬先生のお話を聞いて、一緒に考えてみませんか。

■日時:2011年11月19日(土)午後1:00~3:20(12:30開場)

■会場:京都市東山いきいき市民活動センター
3階多目的ホール(こどもスペースあり)

京都市東山区花見小路通古門前上る東入る南側
京阪電車「三条」駅、地下鉄東西線「東山」駅、「三条京阪」駅より徒歩5分
京都市バス 5,12,46,100,201,202系統 ・・・ 東山三条
5,10,11,12,59系統 ・・・ 三条京阪前

【アクセスマップ】
http://bit.ly/iLr6IZ
  
■講師:矢ヶ崎 克馬さん(琉球大学名誉教授)

1943年、東京生まれ、長野県松本育ち。広島大学大学院理学研究科で物性物理学
を専攻。理学博士。2009年3月、琉球大学理学部教授を定年退職し名誉教授に。
2003年から国を相手取った原爆症認定集団訴訟で「内部被曝」について証言を行い、
連続19回勝訴の礎となる。3.11原発震災後は、放射能汚染=被曝の深刻さを訴え、
全国で熱い講演を続けている。

■ディスカッション:矢ヶ崎さんと、子どもたちを被曝から守るために行動して
いる、福島から避難中・京都(ほっこり通信)・滋賀(原発のない明るい未来を
みんなでつくるネットワーク・あすのわ)の3名の女性たち。

【関連サイト】
京都のお母さんから~福島のお母さんへ  ほっこり通信
http://ameblo.jp/ima29/entry-10965014972.html
原発のない明るい未来をみんなでつくるネットワーク・あすのわ 
http://asunowa.shiga-saku.net/e617610.html

守田敏也さん(フリーライター)がディスカッションをコーディネートします。

1959年生まれ。京都市在住。同志社大学社会的共通資本研センター客員フェロー
などを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的共通資本に
関する研究を進めている。原子力政策についても独自の研究を続けている。
震災後のデータ収集と鋭い分析力により、震災後、精力的に講演活動を行い、
多忙な毎日を送っている。

◎守田敏也さんのブログ「明日に向かって」:http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011

■参加協力券:500円
※開催資金の確保のために、参加協力券(前売りチケット)を販売します。
購入ご希望の方は下記問合せ先までご連絡ください。
※チケットがなくても、当日参加費500円で参加いただけます。

■スタッフ、協賛団体など、協力して下さる方を募集中です。
若いママ・パパ、学生さん、一緒にどうですか(会場に「こどもスペース」あり)♪   

■主催:「いまこそ原発を問う連続講座」実行委員会
http://d.hatena.ne.jp/genpatsu-iyayo/

■協賛:原発のない明るい未来をみんなでつくるネットワーク・あすのわ 
http://asunowa.shiga-saku.net/e617610.html

■問合せ・連絡先: 090-2199-5208(大須賀)

コメント (4)
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