萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

secret talk33 鼓動 ―dead of night

2017-11-27 22:50:08 | dead of night 陽はまた昇る
響く静寂に、
英二side story追伸@第5話 道刻


secret talk33 鼓動 ―dead of night

月が昇った、

帰宅の窓から銀色あざやぐ、思いだす。
だから電話をかけたい、ただそれだけなのに?

「なんで…俺?」

ため息まじり笑ってしまう、こんなこと初めてだ?
電話ひとつ架けるだけ、それなのに携帯電話の指ふるえる。

『ん、…そうだな、宮田は変わったな、』

真昼の声が響きだす、穏やかで静かな深い声。
あの声ただ聴きたくて見つめる液晶画面、扉ノックされた。

「英二?ちょっと入るわよ、」

ああ邪魔された、いいタイミング?

そんな感想タメ息こぼれて自覚する。
こんなにガッカリしたの初めてかもしれない?

「なに英二?すごい…貌してるわね?」

ほら姉の声が呆れる、より、驚いている?
知らないトーンに見つめて、見慣れた美貌に笑いかけた。

「姉ちゃんこそだろ?なにその貌?」
「あんたのせいでしょ、生意気言うとあげないわよ?」

色白なめらかな腕がトレイ差しだす。
載せられた皿とボトルに可笑しくて笑った。

―ほんとのこと知ったら何て言うんだろ、姉ちゃんはさ?

男が男を、

なんて「普通」じゃない、そう言われるのが今の現実。
この姉は否定するだろうか?思案に鼓動そっと笑った。

「あのさ、電話かけるのに緊張したことある?」

これくらいの質問なら許される?
そんな自室の窓からり、ベランダに姉が笑った。

「あるわよ、最初に架ける時とかね?」
「そっか、」

あいづちに指さき見てしまう。
携帯電話ふれる自分の指に酒あまく香って、言われた。

「特に、片想いの相手に架けるときじゃない?」

どくん、

鼓動ひっぱたかれる、痛い。
握り掴まれた心臓に姉を見た。

「英二?ほんとすごい貌してるわよ?」


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