萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

soliloquy 風待月act.3―another,side story「陽はまた昇る」

2012-08-24 04:12:10 | soliloquy 陽はまた昇る
恵みの木



soliloquy 風待月act.3―another,side story「陽はまた昇る」

まるい実は、あまやかな香に季節を知らす。

この香は春の花とよく似て、春よりも瑞々しい。
あまく爽やかに風もそまる、懐かしい記憶がそっとふれていく。

この香は留めておくことが出来る、色んな方法で。
氷砂糖や蜂蜜と一緒に焼酎で漬けこむと、食前酒にも薬酒にもいい。
あまく砂糖で煮込んで、甘露煮にすれば茶席の菓子にも、デザートにも使える。
それから、これは手間がかかるけれど梅干しにしたら、何年でも保存が出来てしまう。

…ほんと良いよね、梅って…

ストレートな想いに、梢のまるい実たちへ微笑んでしまう。
この梅の実は、台所を守る立場からも好ましいから。
いつも菓子にも料理にも使えて、長く重宝する。

そして梅の花は雪にも咲いて、春告げる。
奥多摩の梅も美しかった、この庭でも春に香って茶席にも季節を告げてくれた。

こんなふう梅は、春と夏と2度の季節に恵みをくれる。
どちらの梅の季も、あまやかな香に包まれ愛おしい。




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