あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

ちゃんと闘っている姿

2018-08-24 | 本(文庫本)
荻原浩さんの『冷蔵庫を抱きしめて』を読みました。
まだ暑い日が続いているから、冷蔵庫でも抱きしめたら涼しくなるかしらってやってみたら、冷蔵庫本体の外側は熱いの。ちっとも涼しくなんかなりゃしない(あ~、遂に暑さのせいでやられちゃったみたいね)。

幸せなはずの新婚生活。しかし直子は夫と食べ物の好みが合わないことが分かり、それが徐々に大きな悩みの種に育ってしまう。そして摂食障害に陥るが、その病になるのは直子にとって2度目のことだった。一人で病と向き合おうとする直子だが、どう乗り越えていくのか?


表題作を含めた8篇。どの作品も荻原さんらしい、クスッとさせてくれて読後は優しい気持ちになれるものでしたが、この作品が「いつもとちょっと違う」と感じたのは「危機感」でした。
その作品の登場人物も、どこかちょっと心が壊れかけている。それをどうにかしようとする本人が感じている危機感、とでも言いましょうか。決して重くはないけどヤバさはある。そんな感じでした。
いちばん最初に収録されている「ヒット・アンド・アウェイ」は、8篇の中でいちばんのお気に入りでした。DV男から幼い娘と自分を守るために、ボクシングジムへ通い始める幸乃。密かにトレーニングを重ね、遂に! というラストがたまりません。
そうなんです。幸乃だけじゃなく、ここに出てくる人の誰もが、自分のできる方法で闘っていました。闘っている人たちに、希望がないわけがありませんでした。
拳を握らなくても闘うことはいくらだってできるのです。
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