ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

刺繍

2021-03-08 21:08:33 | 着物・古布

 

またまたお久しぶりの着物話題です。

今日、古いお付き合いの呉服屋さんの奥様から、段ボール箱が届きました。

電話で「着物のハギレというか、あれこれ整理したものを送るから」と、

連絡があって待っていたものです。開けてビックリ玉手箱。

着物のハギレとのことだったので、着物を作った残布とか

羽裏のハンパとかだと思っていたのですが、着物の解きとか反物とか。

仕立てる予定だったらしく、切り分けてはあるのもの、洗い張りしたもの…。

こちらは私の好きなタイプの紺地に優しい花柄、反端の印に「10メートル」の表記。

 

     

 

いわゆる羽尺ですね。作り帯にしても優しいものができそうです。

 

元々呉服屋さんですから、新品をどうにかしようというようなものばかり。

色がさめているとか、汚れがあるとかはナシです。

うわぁうわぁと、大騒ぎしながら広げました。

今日はお天気も悪いし、晴れた日に玄関先で風を入れながら作業したかったので、

一応全部見てから、また箱に戻しました。お天気、楽しみです。

 

さて、トップ写真の帯は左側に何か貼ってあります。

アップにすると…光ってよみにくいですねぇ「手織り引箔蘇州刺繍」です。

 

    

 

柄のアップ、なにしろ地色が金で、蘇州なので糸もツヤがあって、

写真にとっても光るわ陰るわ…うまく撮れていません。

へんな表現ですが、その細やかさが動物の毛並みをみているようで…。

 

      

 

蘇州刺繍の歴史は2500年ともいわれています。

元々養蚕業が盛んであった蘇州で発展した刺繍で、通常の絹糸をさらに細く分けて、

様々な色糸で模様を織り出す手法。着物にももちろん使われますが、

中でも両面刺繍という技術があります。

皆様もきっとどこかでご覧になっていると思いますが、絹地に裏表同じ刺繍をし、

額に入れて立てるとどちらも柄が見えるというもの。

 

蘇州・汕頭・相良は、中国の三大刺繍と言われています。

相良も歴史は古く、日本には奈良時代に入ってきたといわれています。

相良は表に出た糸を一結びして玉を作り、それをびっしり並べて柄を埋めるもの。

しっかりした地になるので丈夫といわれています。立体的になるので蘇州のようなツヤはでません。

ちなみに汕頭は意外と新しく、歴史は中国では新顔?の160年くらいです。

 

世界には「繊細な刺繍」の文化がたくさんあります。

そもそもが布に糸で絵を描く、という手芸は布がこの世にあらわれてから、

世界中でいろいろな手法やデザインがうまれ、育ってきました。

皆様も、何かしらおやりになったことがあると思います。

よく知られるフランス刺繍というのは、いわば西洋刺繍の総称のように使われています。

様々なステッチを駆使して、華やかな模様をだします。

そのほか、よく見聞きするのはスェーデン刺繍とかクロスステッチとかでしょうか。

 

もちろん我が国にも「日本刺繍」という素晴らしい刺繍がありますね。

日本刺繍は平刺繍ですが、例えば京都では京刺繍ではなく「京繍(きょうぬい)」、

江戸は「江戸繍(えどぬい)」、金沢は「加賀繍(かがぬい)」と言います。

ほかにもあるときいていますが、私の知っているのはこれだけ。

加賀は指ぬきで有名ですね。各地の「繍」は、色の使い方や糸の張り具合などが違うのだそうです。

 

上の蘇州の素晴らしい帯ですが、これもカットしてあって「どうするつもりだったのかな」

と思うような状態。ちょっと見たら何とか名古屋帯にはなりそうかな。

ダメでも作り帯にはなりそうです。

お礼の電話をして「あんな贅沢な帯を…」と言ったら、

「きれいな帯でしょう?バサッと切ってテーブルセンターなんかになるかと思って…」

そ・そんなぁ、もったいない!第一、コンナゴージャスなセンターを広げるような

立派なテーブル、我が家にはごじゃいましぇん…。帯として使いますっ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あこがれの女性が… | トップ | あれから10年目ですね。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事