ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

再び「おもしろハギレ」です。

2006-01-20 19:33:35 | 着物・古布

ほんとにハギレでして、80センチくらいしかありません。
ちょっと硬いめの紋綸子、地紋は「紋尽くしの市松」です。
芝居に使うさまざまな道具がけっこうリアルに描かれています。
踊りや芝居に使われたものかもしれません。残った縫目からいくと「着物」です。
2枚目の写真は「鏡台」の部分を拡大したもの。地模様がよく見えます。
鏡台の前には化粧道具、カツラ、踊りや芝居の小道具が散らされています。



こちらは「衣装つづら」、小袖が一枚、何の衣装でしょうか・・。
左のかつらは「勧進帳」、新米行者の変装をした「義経」を「お前が悪い」と
心の中で慟哭しながら弁慶が打ち据えた「金剛杖」ですね。



このほかにも刀、兜、藤娘の笠、潮汲の桶等々、実にたくさんの芝居の小道具が
描かれています。見ているだけで楽しいハギレです。
このハギレ自体はそれほど古いものではありません。布の感じからいって
昭和も中ごろかというところです。それにしても、目だつ着物だったでしょう。

江戸時代の芝居役者は、当時のファッション・リーダーでした。
以前にも書いたかもしれませんが、当時のファッション・リーダーは
「芸者・役者・花魁」です。江戸以前から、歴史の中で先端のファッションを
作り出し流行らせたのは、ほとんどが同じような職業の人たちです。
いわゆる「悪所(あくしょ)」というところから発信された色柄、髪型、
着物や帯の着方締め方、化粧品、持ち物に趣味・・。
そういったものがもてはやされ、流行してやがて一般の人が当たり前に
使うようになっていった・・というおもしろい現象が、ずっと続いたわけです。
形は変わりましたが、実は今も「ファッション・リーダー」は、
あまりかわっていない部分もあります。たとえば有名なタレントが使うものが
流行る・・とか、ありましたね「キム○ク」の使った腕時計、とか・・。
彼らの仕事場が「悪所」であるというわけではなく、なんといいましょうか、
芸能にかかわること、といいますか、よくタレント自身が、自分の仕事場を
「イロモノの世界」という言葉を使います。
そういう意味での「同じ」ということです。江戸時代、売れっ子の芝居役者は
今のジャニーズもしのぐ大人気で、それはそれはもてはやされましたが、
実は「役者」という職業は、蔑視されていました。「川原乞食」という概念は
人気役者になっても、根っこの部分ではついてまわったのですね。
また、芸者も同じように「芸」を売る商売、花魁はどんなに格が高くて
大名しか相手にしないといっても体を売る仕事であることは女郎とかわりません。
花魁は、国の法律で「そういう商いは罷りならん」と決められて、
なくなりましたが、芸者・役者は、今も職業として残っています。
それは、とりもなおさず、蔑視されようが何しようが、彼ら彼女らが、
自分が血のにじむような努力の末、身に付けた「芸」というものに、
誰にも汚されない「誇り」というものと、愛情を持っていたからでしょう。
私もお芝居好きなんですが・・いかれませんなぁ・・高いしぃ?!

さて、本日ラストの写真は・・
いつもコメントをいただいてます「ぶりぶりぎっちょう様」、
以前から「どっかにあったはず」と思っていたハギレがやっとみつかりました。
いわば「ぶりぶり様」のブロマイド??勝手に出して、ごめんなさい。
これが「振振毬杖」、但し、平安のころ実際使われていたものの形ではなく、
後年子供のおもちゃや、節句の飾り物として使われたものです。
それにしても隣の「犬」の置物・・・かわいくないわぁ・・。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はい、ブロマイド♪ (ぶりねぇ)
2006-01-20 21:16:34
ぶりぶり香合も、このコロの付いたおもちゃの振振毬杖もいいですね。

隣の狛犬、おもちゃか、お守りでしょうかしらね。



芝居道具尽くしの着物の柄、すごく凝ってますね。

こんなすごい絵を描ける人に今時分注文したら、なんぼするのやろうって、銭勘定してしまいました。(^^;

凝ってますねぇ (とんぼ)
2006-01-20 21:32:16
ぶりねぇ様



ほんとに、もしこれで着物をって頼んだら、いくらかかるのやら・・。技術や、それのできる人が減っていくのは悲しいですね。

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