ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

テレビの中の着物姿

2019-03-08 01:58:00 | 着物・古布

 

テレビの中で見るひとさまの着物、コーデ、そして着方…この前のお正月CMもそうですが、

わぁぁ気になるぅぅ、と言うのがけっこうあります。

毎年決まった時期になると流れる「無料着付け教室」のCM。今の専属は米倉涼子さんですね。

CMの内容にも言いたいことはあるのですが、今日は色柄のお話しだけにします。

 

和服の女性が出てくるほかのCMやドラマでもそうなのですが、なんでこの人にこの色?

何でこの組み合わせ?とよく感じます。ほぼ思うのは「年齢的」なこと。総体にジミ目ですねぇ。コーデが。

やぼったいとか、色の組み合わせが悪いというのではないのです。

こちらの涼子さんの着物と帯と小物。「寒色系でまとめた上品な着物」だそうです。

組み合わせ的には問題はないし、元々この女優さんは、シャープとかクールのイメージですから、

それに合わせたのだと思うのですが…

 

          

 

でもこの組み合わせ、色目だけで言うなら、古希一歩手前の私がこのまま十分着られるジミめ組み合わせです。

今、私よりずっと年下の方は、えっなんで?若い人が着たって素敵な組み合わせよね…と思われるかもですね。

これはいつも私が「説明しづらいなぁ」と思うことなのですが、たぶん…ですけれど、

「洋装の感覚」の目で見るから…だと思うのです。 

 

私もそうですが、物心ついたときから日々「洋装」、そうなると洋装に関することは、

日々の暮らしの中でそれは自然に自分の中に、慣れ親しんだものとして積み重なっていきます。

では和装はどうか…といいますと、 

私が子供のころ、すでに母の同年代の人たちは、まずほとんど普段の着物を着なくなっていました。

結果、着物がなくなるということだけでなく、それにまつわる知識や常識、知恵、工夫など、

すべてが伝わらなくなる、ということがおきました。

そして周囲をとりまく環境の中にも着物がみられなくなり、情報も激減し、和装に関しては、

洋装のような「日々の暮らしの中の積み重ね」が、極端に少なくなっていったわけです。 

つまりは言葉では表しづらい、着物に対する感覚的なものや見方、価値観も薄れ、

洋装の感覚が先に立つようになってしまったのだと思っています。

 

涼子さんの着物をこのまま着るのは70代でもいい、というのが「着物の積み重ね」から来る感覚です。

といっても「そうかなぁ」といわれてしまいそうなのですが。

以前から何度も言っておりますが、洋装にはデザインという強みがあります。

地味な色柄の生地でも、デザインを変えれば、子供から老齢まで、それぞれに着られるものが作れます。

でも着物はデザインが、原則ひとつずつです。

それを幅広い年代で着ようとするなら、色柄と着方で工夫することが大切であり、

またそれが実は着物を着る一番の醍醐味であり、楽しみであるわけです。

 

外国の古い小説などで「お屋敷の未亡人が、いつまでたっても亡き夫を思って喪服を着続けている」

というような表現があります。つまりずっと黒いドレスしか着ないということですが、

その黒いドレスは、ただ色が黒いだけでなく、デザインも質素、フリルだのレースの飾りもなく、

更には色のあるアクセや髪飾りなども飾らない…と言う意味です。

黒いドレスを喪服に見せないようにするには、デザインを華やかにし、赤い髪飾りをさすとか、

きらびやかなビーズやレースをつけるとか、宝石などをつけるとか…。

着物でこれをするとしたら…まあ黒の着物は喪服と見られますが「黒い着物」と単純に考えてください。

黒の着物だけではジミ、となると、後は「帯・小物・八掛」です。

グレーの帯にすると、やはり年齢的に上の組み合わせです。中年なら緑とか青とか、

そして若年層なら赤、朱、更には「柄」があるものを選ぶこと。

そして帯の上にわずかにしかのらない帯揚げ、帯締めですが、コレが印象を大きく左右します。

かなり前に使った画像ですが、同じ着物を40代と20代で着分けるときの組み合わせ。

着方も違いますが、ここでは説明省略。

 

   

 

こちらは同じ人同じ着物で小物と八掛(袖布)が変わったら…のテスト

 

       

 

ほんの少しの違いですが、印象は大きく違います。右のほうが若やいで見えます。

 

洋服は、色の組み合わせは「その洋服中心」で決め、年齢やイメージにあわせるのはデザイン、

さらにアクセントをつけたり、アピールポイントとして、小物を使う。

着物は、色の組み合わせは「その人の年代やイメージ」で決め、年代的に外れるものは、

着物と帯の組み合わせ、もしくは使う小物や八掛でカバーする…です。

  

涼子さんの着物、寒色系のまとめ、それはそれでステキですが、

着物と帯、小物のトータルコーデを優先していてまとめています。

だから「このコーデだと、おばぁちゃんの借り物オンパレード」になっているのです。

それが和服の感覚でみたら…ということなんです。

おためしに…年齢的にというならこんなのは?どう思われますか?左が元の着物。

 

  

 

イメージにも年齢にもあわないのはこっち

 

         

 

米倉涼子さんは、いわゆるクール・ビューティーのイメージが強いです。

それを強調するために、というより「似合うように」とのコーデでしょうけれど、

着物でやると「やりすぎ」てしまう感じになります。この着物、無地に見えて実はこんな柄があります。

 

      

 

まぁコレだけ見ていれば、けっこう幅広の年代ですが、帯がまた甘さのない、

幾何柄の縞柄、この帯、柄だけ見てもも若い人向きではありません。

ちょっと帯だけイタズラ描きで…ざっくりなのできれいに描いてなくてすみません。

同じ寒色系でも柄があると…

 

    

 

柄は元々で色だけかえてみると…

   

 

帯ひとつで、クールビューティーのイメージを壊さなくても、

十分おばぁちゃんの借り物から、はずすことが出来ると思いませんか?

   

これもまたいつも言うことですが、着物を選ぶときは体にあてて、

鏡から50センチ、1メートル、3メートル離れてみてください…です。

手にとって見るとすてきなのに、離れた見たらジミ…はけっこう多いのです。

まして映像で見たら、せっかくのステキな柄も「なんとなく無地っぽい」としか見えません。

 

この前の着物のお話しのときにも書きましたが、こういう映像の仕事をなさる方たちも、

みなさんお若いのでしょう。スタッフに80代の方を入れないと(ははは)、着物の楽しみや扱いが、

どうしても今風になってしまうのですよね。そのあたりを学んでいただきたいと思ってしまうのです。

着物は洋服ほどのめまぐるしい速さでの流行はありませんが、それでも「傾向」というものは現れます。

どんどん「ジミでいい」傾向になってしまうのが、ちょっと寂しい私です。


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6 コメント

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Unknown (古布遊び)
2019-03-08 07:44:19
確かにねえ~
今の着物は洋服感覚でまとめるということが多いですよね。
昔の感覚とは全く違っていていると感じます。

特に若い子の着物姿にそう感じることがよくあるのですが、ただ今どきの子に若いんだから赤がいいよと言っても納得しないだろうなあと思ったり。。。
なんだかすごく難しい時代になったなあと感じるこの頃です。
Unknown (陽花)
2019-03-08 09:44:08
人様の着物姿ってやはり着物が好きなだけに
目が行きますね。
電車で見かけたりするとあらっ素敵!私でも
着られそうな色柄だわと思ったり、もう少し
華やかなのを着られたらいいのに・・・とか
勝手なことを思いながらも着物姿っていいなぁと
見ています。
こんにちは。 (Unknown)
2019-03-08 12:04:33
今の、若い娘さんの、成人式でも、若いのに、そんな、どんよりした色の着物着なくてもと、余計なお世話ですが、思ってしまいます、私も、成人式で、祖母が、大島紬の、アンサンブルの着物を、買ってくれましたが、一度も着ることなく、買い取りしてもらいました。
Unknown (とんぼ)
2019-03-08 14:50:57
古布遊び様

基本的な感覚が違うので、若いから赤…というと、ダサいといわれます。
着物は残念ながら「赤いもの」は若いときしか着られないんですよね。
その洋服との違いは、年をってからわかる…です。
とにかく「ジブ好み」の若い方、それならそれで添えるものの色、を考えてほしいと思います。
難しいですねぇ。
Unknown (とんぼ)
2019-03-08 14:52:20
陽花様

なかなか見かけることがないので、
着物姿を見つけると「突然ストーカー」に変身します。
じろじろ見ちゃいけないと思いつつ、楽しいんですよね。
Unknown (とんぼ)
2019-03-08 14:53:48
Unknown様

着こなす、ということが着物と洋服は違う…が、
なかなか理解してもらえません。
「どんより」わかりますー。きになりますねぇ。

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