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古い曲が気になる

冷たい雨のふる日、なぜか、Many Rivers To Cross  

2009-12-12 | 日記・エッセイ・コラム

                          

ドナ・サマーは、18才のとき、アメリカからヨーロッパに渡り、ドイツ・ミュンヘンでデビューして、世界じゅうのディスコを席巻した。

ディスコとは、いまでいうクラブのこと。レコード(ディスク)をかけて踊る店だ。それ以前の踊り場は、生のバンドが演奏するナイトクラブだった。ビートルズに代表される1960年代のバンドは、はじめはみんな、こういうナイトクラブのバンドだった。生バンドのナイトクラブと区別して、バンドのない、レコードだけの踊り場を、ディスコテック(ディスコ)といった。最初は、ナイトクラブよりチープ、安っぽい店というイメージだったのだ。

1970年代になって、フランス、ドイツ、オランダなどヨーロッパで、この生バンドがいない、レコード(ディスク)の音楽で踊る大箱のディスコが大流行りした。バンド不足と、バンドのギャラや機材など経費の高騰が原因だが、皮肉なことに、逆にバンドのないのがうけた。切れ目なく音楽を流すことができる。ただ踊るのが目的なら、なまじ下手なバンドに合わせるより、断然レコードのほうが都合がいい、と、お客も経営者も気づいたわけだ。お客を煽るように選曲してレコードをかける、DJという仕事もうまれた。

Nightflight to Venus

ドイツ・ミュンヘンで制作して、世界じゅうでヒットしたドナ・サマーに続いて、ドイツからデビューしたのが、ボニーMだ。ドナ・サマーのヒットが、イタリア人のジュルジオ・モロダーというプロデューサーの仕掛けだったように、ドイツ人のプロデューサーがつくったブームだった。最初から、ディスコで踊ることを目的にして制作されたレコードだった。

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ボニーMの仕掛け人、ドイツ人プロデューサー、フランク・ファリアン。70年代の若いときと最近の写真。ボニーMのヒット曲、「ダディー・クール Daddy Cool」の作者だ。ボニーMのレコードの男性ヴォーカルは、かれの声だ。メンバーの黒人男性は、ダンサーなのだ。レコーディングでは歌わない。

1975

ドイツ人のソングライターでマネージャーのフランク・ファリアンが、ドイツで仕事をしていたモデルとシンガーの黒人女性3人を集めて、まず自分の曲でレコード・デビューさせた。3人の国籍は、イギリス、ジャマイカ、インドとさまざまだが、アメリカ人はいない。男性パートは、フランク・ファリアン自身が歌ってレコーディングした。この女性たちに、ライブのビジュアルのために黒人男性ダンサーを加えて、4人のグループにした。1975年(昭和50年)、ボニーMのスタートだ。

ドナ・サマーにつづいてボニーMも、ヨーロッパと日本で大ヒットした。ディスコでうけた。50才前後の人は、このグループやドナ・サマーの曲で踊ったことがあるだろう。

ボニーMのプロデューサー、フランク・ファリアンは、いまもドイツで活躍している。

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ボニーMがカバーしてヒットした曲に、「バビロン河のほとりで Rivers of Babylon」がある。これは、ジャマイカのグループ、ザ・メロディアンズがオリジナルだ。わたしは、ジミー・クリフ主演のジャマイカを舞台にした映画、「ハーダー・ゼイ・カム」のサントラで、はじめてこの曲を聴いた。これもジャマイカ発の名曲だ。

ザ・メロディアンズの「バビロン河のほとりで Rivers of Babylon」、オリジナルは、1970年。ボニーMのカバーが、1978年の発売だった。オリジナルより、カバーのディスコ版のほうが、圧倒的に売れた。ドイツ人とか、イタリア人が、売れる音楽をつくろうとすると、さすがにうまい。商売上手だ。数百年のクラシックの長い歴史があるところだ。洗練されている。ダンス・ミュージックの売れるツボを心得ている。さすがウインナーワルツの人たちだ。

ジャマイカの潮の香りがする素朴でローカルなサウンドを、世界じゅうのディスコで踊れる普遍的なエレクトリック・ダンス・ミュージックに仕上げている。じつにみごとなコマーシャル・センスだ。商売がうまい。

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    ザ・メロディアンズ The Melodians  "Rivers of Babylon" http://www.youtube.com/watch?v=o-5E6_qtXAw

      ボニーM Rivers of Babylon http://www.youtube.com/watch?v=Nm1g8FFRArc&feature=related

   リッチー・ルーツ Rivers of Babylon http://www.youtube.com/watch?v=rdhbqVslM0Q

                      

ザ・ハーダー・ゼイ・カム

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In Concert: The Best of Jimmy Cliff

わたしのレコード屋では、このジミー・クリフのライブ盤がよく売れた。1976年(昭和51年)の発売だ。きっと、帯広グランドシネマを借りて、映画「ハーダー・ゼイ・カム」を自主上映した影響だろう。わたしの店では、ボブ・マーリーとおなじくらいジミー・クリフが売れた。

映画「ハーダー・ゼイ・カム」のサントラでは、なんといっても「メニー・リバース・トゥ・クロス Many Rivers To Cross 」が、すばらしく美しい曲だ。

   ジミー・クリフ Many Rivers To Cross  http://www.youtube.com/watch?v=kGeCeK85sUg&feature=related

        ジョー・コッカー Many Rivers To Cross http://www.youtube.com/watch?v=-NK93kcCS9Q&feature=related

        アニー・レノックス Many Rivers To Cross http://www.youtube.com/watch?v=nN-jNmzSTok&feature=related

        レニー・クラヴィッツ Many Rivers To Cross http://www.youtube.com/watch?v=Tr1S8HWSWf4&feature=related

         エルビス・コステロ Many Rivers To Cross http://www.youtube.com/watch?v=S0IAkrAmrpU&feature=related

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   ジミー・クリフ The Harder They Come http://www.youtube.com/watch?v=xGE4dnrPPZQ&feature=related

   ジミー・クリフ オフィシャルサイト http://www.jimmycliff.com/v-css/home/

              

一日じゅう、冷たい雨がふっている。部屋にいて、ひたすら、Many Rivers To Cross の映像を繰り返しみていた。じつにいい曲だ。

 


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