『ぶらタモリ』とみていると、ダイナ・ワシントンの What a Diff'rence a Day Makes が、なぜかチラッと流れた。What a Diff'rence a Day Makes は、『縁は異なもの』という邦題の曲だ。
『縁は異なもの』? 邦題は、奇妙だが、このダイナ・ワシントンのヴァージョンは、名作だ。ベルフォード・ヘンドリックスの、ストリングとコーラスを効果的につかった、洗練されたアレンジ、抑えた表現のダイナ・ワシントンの歌の巧みさ……みごとな曲だ。
ダイナ・ワシントン What a Diff'rence a Day Makes http://www.youtube.com/watch?v=OmBxVfQTuvI&feature=related
この What a Diff'rence a Day Makes をタイトルにしたアルバムは、1960年のグラミー賞を受賞した。プロデューサーは、クライド・オーティス。黒人ではじめてメジャーレーベルのレコーディング・プロデューサーになった人だ。ミシシッピーからニューヨークに出てきて、昼間はタクシードライバーをやりながら作曲の勉強をして、32歳のとき、ナット・キング・コールに提供した曲がヒットしてソングライターとしてメジャー・デビューのチャンスをつかんだ。努力の人だ。プロデュースだけでなく、作曲家として800曲以上をミュージシャンに提供している。
上のオリジナルのレコードジャッケットは、60年代の後半から下のようになって、いまもCDは同じカバーで、上のダイナ・ワシントンのステージ写真は、つかわれてない。チャック・スチュワート撮影の写真がいいのだが……。
ダイナ・ワシントンのアルバム“What a Diff'rence a Day Makes ” をプロデュースしたクライド・オーティス(1924 年~2008年)。
この曲、“What a Diff'rence a Day Makes ” のオリジナルは、スペイン語の曲で、メキシコ出身の女性作曲家、マリーア・グレベールの作品なのだ。オリジナルのタイトルは、Cuando Vuelva A Tu Lado 、いまもヒスパニックのシンガーたちに好んで歌われるラテンのスタンダードだ。
"What a Diff'rence a Day Makes " のオリジナル"Cuando Vuelva A Tu Lado " を作詞・作曲したのは、メキシコ出身の作曲家、マリーア・グレベール(1894~1951)。父親がスペイン人、母親がメキシコ人。メキシコで生まれて、スペインで育ち、音楽は、フランスで、ドビッシーに師事して学んだ。ニューヨークに住み、ブロードウェー・ミュージカルや映画音楽の作曲家で、コンサートのアーティストとしても活躍した。
ルイス・ミゲール Cuando Vuelva A Tu Lado http://www.youtube.com/watch?v=TEOzGM5ZAcg
イーディー・ゴーメ&トリオ・ロス・パンチョス Cuando Vuelva A Tu Lado http://www.youtube.com/watch?v=ril5I8WsfZ0
(シンガーのEydie Gorme を、日本では、むかしから‘イーディー・ゴーメ’と表記してる。アメリカのシンガーだからそれでいいのだが、しかし、このトリオ・ロス・パンチョスとのコラボ・アルバムは、スペイン語の歌を歌ってる。アルバムジャケットの表示も、スペイン語だ。なら、スペイン風に、エイディーエ・ゴルメーと読むべきなのかな?)
クライド・オーティス・グループ http://www.tcomg.com/