Ommo's

古い曲が気になる

保育所にお迎えの母さんと、小さい娘さんかな?

2009-05-18 | 日記・エッセイ・コラム

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 夕暮れの境川遊歩道。保育所帰りの親子かな?

 

 境川は、江戸川から東京湾にそそぐ支流で、むかしは、川舟でにぎわった川だ。いまは、堰が鉄門で閉じられ、止水、とまった運河のようになって、濁っている。むかしは、子供たちが泳いだというが、いまはあんな水で泳ぐと、子供はきっと病気になる。そんな水の色だ。

 

 それは、北海道でもおなじだ。わたしの育った町を流れる帯広川でも、むかしは、子供たちが泳いでいた。しかし、わたしの時代でも、すでに、それはウツベツ川(弁慶川)の上流でなければダメだった。つまり、中心地からすこしはなれて、西8条に架かっている橋が境だった。だから、士幌線の鉄橋の下には、子供たちが集まって泳いでいた。

 

 わたしは、まったく泳ぎがダメなので、このはなしを長くしたくない。わたしが、最初に新聞に名前がのったのは、高校生のとき、札内川で溺れたときだ。溺れて、川底をただよっていた、わたしを、発見してくれたのは、三条高校同級生の戸倉くんで、人工呼吸をして蘇生してくれたのは、二ッ森くんと佐々木要くんだ。(この3人が、命の恩人だ)。

 

 わたしは、救急車で運ばれ、入院した。蘇生したのだ。数ヶ月、胸が痛く、からだに力が入らなかったが、高校生だ。すぐに回復した。(このはなし、ホラばなしのようだが、ウソではない。北海道新聞の古い縮刷版にあるはず。水難事故で助かった、帯広のまぬけな高校生の記事が)。

 

 死の、そのときを、リアルに体験した。意識を失う、そのときは、お花畑だ。けっこう長い。「もうダメだ。じぶんは、死ぬんだな」と、自覚してから、闇になるまで、けっこう長い。不快でも、苦痛でも、悲しくもない。ある解放感の快適さがある。その死ぬすこし前でも、「この解放感がなくちゃな」と、思ったものだ。

 

 空が青い。きれいだ。つまり、空ではなく、わたしが見ているのは、水の底からの水面なんだが。そして、わたしをさがしに潜ってくる友達の姿もみえる。わたしは、水の底に沈んだままだから、かれらを見ているだけだ。水をたっぷり飲んでしまって、もう呼吸もできない。動けない。終わりだ。でも、もう苦痛はない。そんなものだ。

 

 「この解放感、幸福感。死んでいくときは、こうじゃなきゃダメだな」と、わたしは、溺れて死んでいくとき、思ったものだ。(信じられないだろうが、けっこう長い思考の時間があるものなんだ。つまり、電球のフィラメントが最高に光って燃えつきるときだから、思考も最高に冴えるわけだ)。

 

生まれたところを遠く離れて 生まれたところを遠く離れて

 

  デビューしたばかりの浜田省吾の、北海道ツアーでのバック・バンドをつくろうとしたとき、メンバーになるのを断ったひとが何人もいる。帯広のひとたちだ。

 

 札幌のイベンターとか、放送局の連中とか、新聞社の記者とか、音楽雑誌のやつとかにも、バカにされたものだ。「帯広の田舎者だから、わけわからずに、浜田省吾なんかにいれあげるんだろ」と、というわけだ。

 

 浜田省吾の、会社の、CBSソニーの宣伝マンにもバカにされたはなしは書いた。

  浜田省吾  路地裏の少年 http://www.youtube.com/watch?v=_keQ2UUb5TM&feature=related

 

 もちろん、ボブ・ディランやビートルズの影響があるだろう。しかし、浜田省吾は、日本の詩歌の歴史で重要な存在になるだろう。石川啄木や、中原中也や、立原道造の詩歌の世界、もっというと、松尾芭蕉や西行につながる歌心、万葉集までたどることができる歌の心が、浜田省吾にはある。みごとだ。

 

 浜田省吾の歌う、そのドラマのシーンの主役に、男も女もなれる。感情移入そのものだ。そして、わずかな言葉で、ドラマの背景と情景が、鮮明に脳裏にうかぶ。浜田省吾の歌っている側の、悲しい立場で、そのシーンをたえる。その表現は、みごとだ。浜田省吾以外、こんなことはできない。かっての、日本の西行や芭蕉など偉大な詩歌のひとたちがやったことだ。

 浜田省吾 片想い http://www.youtube.com/watch?v=iXaQHkxDYYU

 

 帯広のひとで、浜田省吾のバック・バンドを組もうとしたとき、はなしにのってくれた若者は、東川佳人くんと、田中やすおくんだった。

 

 関西で新型インフルエンザの感染者が百人をこえる勢いだ。幼稚園から高校まで休みになっている。それで、カラオケボックスが、高校生であふれている、という。橋下大阪府知事は、7日間、静かに家にいてくれ、といっている。しかし、カラオケ屋は、休みになった高校生で長蛇の列だ、というのだ。狂ってる。