元旦、たのしみにしている実業団ニューイヤー駅伝をみていて、クライマックスのアンカー勝負になったとき、眠りこんだ。ジジイだ。目が覚めると、4位5位がゴールをしているシーンだった。ことしも、元旦早々、マヌケだ。
午後、手いっぱい正装して、近所の稲荷神社にでかけた。小さい神社だが、近隣の人たちが途切れることなく初詣にやってくる。こういうのが落ち着いていて、八百万の神とともに新年を祝うのにふさわしい。
毎年、靖国神社に初詣にいく。ことしは、あす、箱根駅伝の往路をみてから出かけることにした。
レコード屋をやっているときは、正月に休みはなかった。お年玉をもらった少年少女たちが、レコード店の開店を待って殺到する。だから、元旦から休まず営業した。きっと、中学生や高校生のとき、お年玉を握ってサウンドコーナーにやってきて、はじめてレコードを買った人たちがいることだろう。
夜は、酒を飲みながら、NHK教育で、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートをみる。これが最近の元旦だ。つまり、貧乏で、さみしく、孤独なわけ。ことしは、ダニエル・バレンボイムが指揮だった。じつにたのしい。
わたしが中学生とか高校生のときは、バレンボイムは、天才ピアニストとして有名だった。アメリカ人のヴァン・クライバーンと、アルゼンチンのダニエル・バレンボイムは、クラシック・ピアノのスターだった。長身、ハンサムと、日本で大人気だったクライバーンは、人気につぶれるようにいなくなったが、バレンボイムは、指揮者として評価され、いまはまさに巨匠だ。
「ミッション・インポシブル(スパイ大作戦)」のテーマ音楽の作曲者は、ラロ・シフリンだ。そのことは書いた。ラロ・シフリンは、アルゼンチンの人で、アルゼンチンの音楽大学を出ている。その音大で師事したのが、エンリケ・バレンボイム教授だ。今夜、ウィーン・フィルを指揮したダニエル・バレンボイムの父親だ。
ジャズもポップスも、ロックもタンゴも、クラシックも、音楽は……楽しければいいのだ。つまり、音楽はいつも、自分の死からの、この深刻な現実からの解放、カタルシスだ。