ぼちぼち日記

大切な日々のこと

『ずっーと ずっと だいすきだよ』

2005-12-31 15:17:24 | つぶやき
『ずっーと ずっと だいすきだよ』
作・絵: ハンス・ウィルヘルム
訳: 久山 太市
出版社: 評論社


今年もあとわずか。オセチも作ったし、後は、旦那の実家にお泊りに行くだけ!
今年は、念願だった(何度かノートを作っては挫折していた)、息子との読書日記をブログという、思いがけない形ではあるけれど、実現できて本当に良かったなぁと思う。だから、今年最後の日に、読書日記をつけたいと、強く思わせてくれた本を記しておこうと思う。

息子が小学校1年生のとき、2歳になったばかりの娘が亡くなった。
娘のお葬式が終わった翌日、息子は、生まれて始めて喘息発作を起こした。喘息が落ち着いた頃、今度は、チック症という病気の症状が出た。ビートたけしや石原都知事とかにもある、あの独特の症状の病気。インターネットで調べると、ストレスが関係するとか・・・
親として、何もしてあげられない無力さに呆然とした。だって、私も、自分自身を支えるだけで精一杯だったんだもの。

そんなとき、教科書に、この物語を見つけた。読んでみると、なんと、少年が、大好きな飼い犬を亡くす話。
かわいがっていた犬を亡くし、家族全員が悲しみにくれ、泣いてしまう。同じように、深い悲しみにくれる少年だけれど、彼には、一つ救いがあった。彼は、犬が生きているときに「ずっーとだいすきだよ」と言ってあげていたのだ。

悲しみだけの物語ではないけれど、とにかく、死がテーマということが、私には耐えられなかった。どうしよう!どうしよう!こんなときに、こんな物語を読んだら、息子は、どうなっちゃうんだろう!
だって、その数週間前には、先生が読み聞かせてくれたドラキュラの本のおかげで、その日の夜、怖い怖いと泣き叫ぶという事件があったばかりだったのだもの。おまけに、その頃の息子は、寝るときに電気を消すと、毎晩のように「ねえ、死んだらどうなるの?」「いつかは、おかあさんも死ぬの?」と繰り返していたのだ。
先生に電話をしようか悩んだあげく、結局、何もしなかった。泣き叫んだら、抱きしめてやるしかないんだ・・・って、腹をくくった。
何日かたって、さりげなく息子にきいてみた。
「先生は、この物語の授業のとき、何か言った?」「別に。」

息子の話では、子どもたちに読ませるのではなく、先生自身が、ゆっくりと読んできかせ、その後は、何も授業をしなかったらしい。息子の話だから、どこまで本当かはわからないけれど。やるじゃん!先生。なんだかほっとした。
そんなある日、息子が、二通の手紙を私と旦那に持ってきた。ただ、乱暴に手紙をわたすと、すぐに外に遊びに行ってしまった息子。汚い字で、広告の裏に書いてある手紙・・・。
『おかあさん、ずっーと、ずっと、だいすきだよ』それだけ書いてあった。
旦那に渡された手紙にも、同じことが書いてあった。『おとうさん、ずっーと、ずっと、だいすきだよ』

でも、それだけで、息子が、妹の死をちゃんと受け止めたということがわかった。その日から、毎晩の日課だった「死んだらどうなるの?」「お母さんも死ぬの?」の質問もなくなった。
死んだらどうなるんだろう?そんな不安にとりつかれていた息子は、この物語に、一つの答えを見つけたんだなと思った。
物語って、すごい力を持っている。
それはたぶん、大人が思うよりずっと・・・すごい力だ。